星々の囁き
宇宙人と人間の交流を描いてます。
舞台は近未来の荒廃した地球。
最初は、宇宙要素がなにもないですがいずれ宇宙船が活躍するかもしれません。長い話になりそうなので、二部構成くらいで書けたらと思います。
稚拙な文章なので変なところもあるかもしれませんが、ラストまで書いたら修正するつもりです。完結まで頑張ります。
「あっ、光った」
一つの星がキラリ。
光って暗闇に落ちていった。
瞬きほどの間だ。流れ星だったのだろうか?
何か願えばよかったと思いながら、僕は公園のベンチから空を見上げた。
そこには満天の星空が広がる。
この世界は不公平だと思い知らせられる。
美しい宝石を散りばめた天上と僕のいる窮屈な地上。それを、掴みたくて手を伸ばすが届くことは永遠にないだろう。
まるで彼女と僕のようだ。と、詩人のごとく呟いてみる。
「さむいな……」
自分も寒いが、気温も寒い。
いよいよ夜も深まる頃、僕の体は芯まで冷えてきた。しかたなく、僕は荷物をまとめて家に帰ることにした。
あまたの星々の輝きを飽きることなく、永遠に眺めていたかったが仕方ない。
なぜなら、僕は学生だから。
自由を謳歌できるだけの身分ではなかったからだ。
足早にそそくさと自転車に乗って、お気に入りの絶景スポットを後にする。
リビングのドアを開けると、妹がソファーでテレビを見ながらくつろいでいた。そして、すぐにこちらに向き直って僕の顔を覗き込む。
「ハルちゃん遅かったね。ごはん食べる?」
「あとで食べるよ」
「せっかく用意したのに」
「インスタントのレンチン並べただけだろ?」
「そうだけど~。でも、お風呂も沸かしてあげたんだよ。そんな優しい妹にお土産は?お兄ちゃん」
短く結んだツインテールを揺らしながら、いつものように催促される。そして、いつものように献上品を僕は妹に差し出した。
コンビニの袋は、あっという間にかっさらわれる。
「わっ!大好きなシュークリームだ。ハルちゃん有難う」
満面の笑みで、妹はシュークリームをほおばる。
う~ん。我が妹ながら可愛いな。
「ハルちゃん、もう八時だよ。一緒にニュースを見よう」
「うん、そうする」
僕は妹とニュースや世界ふしぎ発見系ドキュメント、ドラマを見る。それが僕達のコミニケーションだ。テレビを真剣に見ることもあれば、雑談しながらアレコレ日々の出来事を話し合う。
ソファーに僕は、座って妹と会話した。
「今日はどうだったの?」
「うん、すごく星が綺麗だったよ。時間を忘れるくらいにね。りこも来ればよかったのに」
「嫌だよ。こんなに寒いのに、星なんて見たいと思わないよ。お兄ちゃんの天体マニアには付き合い切れないなぁ。ところで今日はどうだった?」
「うん、すごく綺麗だったよ。もう見惚れちゃうくらいにね」
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「んっ?」
俺は自分のシュークリームを食べながら、妹を見た。
りこはペロリと食べ終わったところだった。
「いま、ちょっと別のことも考えてたでしょ」
「な、なんのことだよ」
ハルはギクリとする。
「告白したら?その人に」
「んぐっ」
驚いて、カスタードが飛び出してしまったじゃないか。
「なにを言っているんだよ。振られちゃうだろうが」
「お兄ちゃんこそ、なにを言っているの。その人のこと高校二年からずっと、その人のこと考えてる。もっとまえかもしれないけど。とにかく、もう高校二年の二学期になっちゃうよ。そろそろ、うんざりだわ。だから、勉強に身が入らないのよ。この不毛な初恋を終わらせましょう」
「終わらせたくない。だって、振られちゃうだろう。確実に」
シュークリームを完食した妹が舌をペロリとだして言い切った。
「だから、振られてきたらいいって言っているの」
「おまえはそれでも僕の妹か」
「まずは、進路のことも考えてよ。色恋沙汰は終わりにして、勉強して頂戴。ただでさえ、星があーだこーだとか言ってるのに。何のために苦労して、名門高に入ったの?」
「それは、その、環境省の公務員になるためだ」
「でしょ。だったらいつまもで恋とか言わない。恋愛が悪いわけじゃないけど、いつまでも叶わぬ恋なんてしてたら、体に毒よ。卒業時の成績に響くでしょ?その人は、お兄ちゃんにとって高嶺の花よ。諦めよう」
きっぱり言い切る妹をハルは苦い顔でみた。
「応援してくれないのか?」
「振られた日には、私がご馳走を作って慰めてあげるわよ」
「俺の繊細な心は傷ついたぞ。本当に妹か?」
「そうだよ。私はハルちゃんの可愛い妹のリコちゃんだよ」
美しい笑みで微笑むその少女は、まぎれもなく僕の妹だった。