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2話

 廃墟の外を歩いていると思った以上に人がいることがわかった。


とはいっても実際に人とあったわけではない。廃墟の中から気配がするだけだ。


「まだ太陽が出ている時間なのに誰も外を出歩いていないのか」


 しかも廃墟にの中にいる人たちも活動している様子が見られない。


 確かに魔法による探知は出来ていないが、それでも勇者として培ったセンスだ。多少は動いている人がいるかもしれないが、ほとんどの人が活動していないのは確かだろう。


 と、そんなことを考えながら廃墟を進んでいるとやっと2人活動をしていそうな人を見つけることができた。


「とりあえず、情報を集めるためにも活動していそうな2人の場所まで行くか」


 2人が活動していると思われる場所まで進んでいくと、薄汚れているのは間違いないが、それでも周りの廃墟に比べれば新品に見えるような建物を見つけることができた。


 2人もその中で活動をしているようだ。


 そのままその建物に向かい進んでいくと、中から2人が出てくるのがわかった。


「止まれ!今日の配給はもう終わった。それ以上こちらに来るようなら、動きを止めさせてもらう」


 出てきたうちの片方、背の高い赤髪の釣り目の女性がこちらに対し警告を行ってきた。


 もう片方のこちらも背が高い黒髪の女性は無言でこちらに銃の標準を向けたまま動かない。


 銃とは言ってみたものの僕が知っている銃とは少し違う。まず、魔力が使えないこの地獄で何を発射するのだろうか?


「む?識別不能? 貴様識別番号は何番だ」


 識別不能?識別番号?彼女は何を言っているのだろうか?僕はまだ地獄に来たばかりで識別番号も囚人番号も貰えていない。


「すみません。僕、まだここに来たばかりでその識別番号というものが何かわからないのですが。よかったら教えてもらえませんか?」


「何を言っている?はやく識別番号を言え!」


 識別番号とは当たり前のものらしい。だが僕にはそんなもの心当たりがない。


 ここは今の状況を説明してなんとかその識別番号とは何かを教えてもらうべきだろう。


「すみません。僕にはその識別番号と言うものがわからないのです。僕は死んだと思った次の瞬間目を開けたらここから20kmほど離れた場所で一人立ち尽くしていました」


「その後とりあえず、この地獄での案内人を探そうと人の気配がする方へ向かって歩いてきたらここにたどり着いたというわけです」


「そして、僕が死ぬ前にいた場所ではその識別番号などというものはありませんでした」


 取りあえず、今の状況を説明してみたがわかってくれるだろうか。おそるおそる赤髪の女性のの顔を見てみると、何言ってんだこいつという顔をしていた。


 まあそうなるだろう。僕もいきなりこんな話をしたら相手の頭が狂ったのだろうと思う。だがここは信じてもらうしかない。


「きっと彼、存在しないはずの子供だよ」


 存在しないはずの子供?黒髪の少女が僕に銃を向けながらそんなことを赤髪の人に話しかけている。


 いや僕は存在しているんだが。いやまあそういう意味じゃあないんだろうけど。


「ここらに施設があったって噂は聞いた事はないが」


「20km歩いてきたって言葉が本当ならこことは別地区でしょ。情報が入ってこなくてもおかしくはないと思うよ」


「む、確かにそうか」


「それに、さっきまでの話、特に死んだと思ったら別の場所にいたってNPCチャイルドとして育てられたってことじゃないかな」


「あっちの世界で死んだNPCチャイルドはその後は廃人になるからすぐ捨てられるって聞くし」


「だがヤツは廃人にはなっていないぞ」


「なにかの拍子で目が冷めたんだと思うよきっと。何かはわからないけど」


「廃人になって捨てられてなにかの拍子で目がさめたのを次の瞬間と勘違いしてるんだと思う」


「だが......」


 僕には何1つ理解できないが、どんどんと話が進んでいく。でもいい方向に話が進んでいっているっぽいし取りあえずは静観しておいたほうがいいだろう。


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