表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編小説集10 (451話~最新話)

ウェーイ

作者: 蹴沢缶九郎

若さとは、時として強さがあり、かけがえのないものである。そんな若さを兼ね備えた数人の男女が、辺り深緑豊かな山奥の河川敷でバーベキューに興じていた。

誰か一人が「ウェーイ」と言い、また別の誰かが「ウェーイ」と言った。きっと、「ウェーイ」ではなく、ひょっとしたならハッキリとした言葉だったのかもしれないが、他者からすれば、それは何故か「ウェーイ」としてでしか捉える事が出来なかった。


しばらく経ち、ポツリポツリと雨が降りだした。雨脚は次第に強くなり、強風が木々の枝を揺らした。

しかし、若者達は楽しいバーベキューを止める事はない。そこへ、パトロールにやって来た巡視員が言った。


「おい、君達。雨風が強くなってきた。ここは危険だからバーベキューはやめて避難しなさい」


「ウェーイ」


若者達は誰一人として巡視員の警告を聞き入れる様子もなく、ビールを飲んでいる。


「いいね、早くここを立ち去るんだよ」


巡視員は若者達に念を押すと、その場を去っていった。巡視員が去った数時間後、上流で決壊したダムの水が若者達を襲い、若者達は帰らぬ人となった。



「ウェーイ」


あの世で、最近閻魔になったばかりの若閻魔と、水害で亡くなった若者達がビールで乾杯をしている。そんな様子を見ていた地獄の鬼達は、「これも時代の流れなのだろう」と思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 地獄でも酒盛りする若者が、リアルでよかったです。 [一言] まあ、閻魔様も鬼たちも、ツッコミどころがありすぎて、手がつけられなかったのでしょう。注意しても、また、”ウェ~イ”と、鬼たちは乾…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ