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074話 怒るぞ

 投稿の間が空いてすいませんでした。


※訂正(2018/10/8)

 物語の進行上、八人五列を五人八列に訂正しました。


 新入生に多大なインパクトを与えた入学式が終わり、在校生は解散となった。

 一方、俺達新入生は担任の教師が来るまで一旦その場待機と副学園長からアナウンスがあった。やはり、学園と言うだけあり担任の先生がいるらしい。もしかすると担任も冒険者で名を馳せた人かもしれない。


 何がともあれ、担任の先生が来るまで一時待機だ。暇な時間はどうするか……ま、そんなの一つに決まってるよな。


「カヤーおいでー――」


「ごろごろにゃ〜ん♪」


「あぁ何もかも忘れてカヤと幸せになりたい……」


「――既にフィーがカヤと戯れているだと!? しかも最近はずっと人の姿でしか遊んでなかったのに今は猫の姿に戻ってるし!」


『カナタうるさい』


「――はい! ごめんなさい!」


 カヤに怒られるとは……これはもう目から悲しみの涙が溢れ出てくるのは当然として、世界の終わりを見たような気持ちになるな。

 いやー、もうカヤに嫌われてしまったのではと思うくらい冷たい声だった。普段のカヤからは考えられない対応に、俺死にたくなったもん。……ほ、本当に嫌われたわけじゃないよね? ね?


 しかしそんな俺の気持ちは一切二人には届かず、二人だけの不可侵領域が出来ていた。


「物分りがいい人は好きですよ、ですか……私もカヤに好きって言われたいなぁ」


「みゃ〜ん♪」


「くぅ……甘い声でみゃ〜んと言われる方がキュンキュンしちゃいます。何でこんなにカヤは可愛いんでしょう」


「みゃ」


「『フィーが好きだから』? そ、そんなこと言われたら私幸せ過ぎて死んでしまいます……」


 フィーがそう言うとカヤはフィーにすりすりと擦り寄って『死なないで……』の目をする。そんな目を向けられた日には心臓がやばいだろう。現に、フィーは軽くフリーズしている。


「みゃ?」


「はっ! 今一瞬花園が見えました」


「心臓やばいと思ってたら止まってたとか何それこわい」


「みなさ〜ん! こちらに注目してくださ〜い!」


 フィーが臨死体験をしていたことに若干の恐怖を感じていると、前方から俺達に声がかかった。

 声をかけてきた人は服装からして先生で間違いないだろう。それと、その隣にいるもう一人も先生で間違いない。


 ちなみに、声をかけてきたのが女性で隣にいるのが男性。見た目だけで判断するなら女性が三十代後半、男性が二十代後半から三十代前半にかけてと言った感じ。どっちかって言うと、女性の方が活発そうではある。語尾が間延びしてるがちょっと気になる。まあ、その内慣れるだろ。


「私は二三三期生二組担当のマリリンで〜す。マリン先生って呼んでくださ〜い。私の隣にいるのは同じく一組担当のシーム先生で〜す。これからよろしくお願いしま〜す」


「「「よろしくお願いします」」」


「はい、早速みなさんを教室へ案内したいとおもいま〜す。一組はみなさんが座っている席の前半分、二組は後ろ半分で〜す」


 組み分けはどうするのだろうと考えていたのだが、既に組み分けはされていたようだ。ここの受付に行った時には既に決まっていたんだろう。

 後ろ半分というか最後尾にいる俺達は二組だ。どういう決まり方わしているのか分からないが、まあフィーと一緒だったらどっちでもいい。


 しかし、そうは言いつつも共に勉学に励んでいく級友となる人達のことは気になる。二組の面子を見てみるが、気象の荒そうな奴はいないが、鼻に着きそうなのがちらほら見受けられる。

 俺、中学高校のどちらも何もしてないのにそういう輩に絡まれてたりしてたし、ここでもそうなったら気苦労が絶えないだろうな。まあここでもそうなるって決まったわけじゃないけれども。


「みなさんは並んで各組の担任の先生に着いていってくださ〜い。規律を守れない人は冒険者には不要という事で即退学がルールですから気を付けてくださいね〜」


 この人いまサラっと重要な事を言ったと思うのだが。なんか規律を守れない人は即退学とかなんとか。まあ冒険者は自由度が高いが、その分反社会的な行動は慎まないといけないらしいからそれを忠実に守らせる為のルールなんだろう。

 他の冒険者達は即退学と聞いても何も反応しなかったし、むしろそれが当たり前みたいな感じだから、冒険者としての誇りは強いらしい。

 フィーは即退学と聞いてちょっと焦ってたけどな。アワアワしてるのが可愛かったです。


「では行きますよ〜。学園は広いのではぐれないようにちゃんと着いてきてくださいね〜。私の実体験ですけど迷子になったら三日は彷徨うことになりま〜す」


 うん。この人サラっと凄いことを言う人だな。これくらい普通みたいな感じで話してるけど、俺には非日常過ぎて驚きばかりなんだが。

 でもまあ俺クラスになれば、迷子になってもカヤが何気なく助けてくれるから心配ない。いや、端から迷子にならなければいい話なんだけどね。一応だ一応。


 それからマリリン先生に着いていく事二十分。ホールを出てから五分程で学園の中に入ったのだが、あまりにも広く複雑だったので教室に行くまでに十五分と結構かかった。先生が三日は彷徨うと言っていた事はあながち嘘ではなさそうだ。


「は〜い。着きました〜。ここが私達二組の教室になりま〜す。空調完備、机椅子は新品同様、後は各移動教室へのワープゲートがあったりしま〜す。ではみなさ〜ん、自分の名前が書いてある紙が置いてある机に着席してくださ〜い。HRを始めま〜す」


 教室は至って普通……では無い。窓際や廊下側のような感じで部屋の作りは今までの中学高校と似ているが、教室の中にいくつかの扉があったり、大きな空調機が置いてあったり、と違う所が多々ある。

 一番違う所といえば、黒板やホワイトボード的な書く所がないという所だろうか。教卓とかはあるからあまり不自然に感じない。


 ちなみに、二組は五人八列のちょうど四十人となっており、俺は廊下側の一番後ろ、フィーがその隣だ。そして驚く事に、俺の前にはホールの受付で見た双子の男の子、フィーの前には女の子がいる。

 同じクラスだったみたいだが、全然見かけなかったのにいつの間にここに来たんだろうか。不思議だ。


「みなさん着席したみたいなのでHRを始めたいと思いま〜す。まずはこれから配るプリントを後ろに回してくださ〜い」


 HRが始まり前から回ってきたプリントに目を通す。

 プリントの内容は大雑把に言うと学園生活を送る上での規則が書かれていた。どれも基本的なものであるから自由度が高く、学園と言うよりまんま社会の縮図。悪くて、集団での生活に慣れていないとちょっと苦労する感じだ。


「全員に行き渡りましたね〜? は〜い、では私から二つ絶対に守ってもらう注意事項がありま〜す。一つ目は学園の人以外に学園の存在を教えてはならないということ、二つ目は配ったプリントに書いてある規則を守れなかった場合厳罰が下りま〜す。ちなみに〜一つ目が守れなかった場合は教えた人と教えられた人は捕らえることになってるので気を付けてくださ〜い」


「マリン先生。宜しいでしょうか?」


 先生が注意事項を言い終わると同時に、手を挙げたのがいかにも委員長ぽい青年。体躯的に魔法使いだろう。


「は〜い、質問ですね〜?」


「注意事項二つ目はの処罰は妥当であると思いますが、一つ目はやりすぎではないですか?」


「いいえ〜。妥当も妥当ですよ〜。よーく考えて見てくださ〜い? 知らない人もいるかもしれませんが学園は周りを海に囲まれた孤島になってます〜。これは魔人にここを知られない為なんですよ〜? ここまで言えば後の事は分かりますね〜?」


「はい。情報が漏れた時点で学園の場所を特定され、襲撃される恐れが出てくるのですね。魔人に対抗するためにある学園は魔人にとっては優先的に排除したいはずですから」


「その通りです〜。ですから捕らえるのは妥当なんですよ〜。これも平和の為ですから〜」


「教えて頂きありがとうございました!」


 委員長ぽい青年は先生に頭を下げ、そこで質問は終了した。


 確かに青年の言う通り少しやりすぎなのではと思うが、学園側にはちゃんとした理由があるらしい。しかし、学園側が独断でそんな事をしてもいいのだろうか。国の代表とかに目をつけられそうなものなのだが。

 もしかして、学園が一国家よりも強かったりちゃっうんじゃ……今後調べてみよう。


「注意事項についてはお伝え出来たので、次はこれからの授業についてお伝えしま〜す」


「……カナタさんカナタさんっ! 授業ですよ授業!」


「はいはい分かってるから、落ち着け」


 フィーは授業と言う言葉を聞いて目を爛々と輝かせた。入学式は終わった後は気分が優れなさそうだったが、カヤと戯れてからそれが治ったみたいたな。いやぁ、結構結構。


「ここでの授業は一般科目に『歴史』『魔法基礎』『武器術基礎』『対人訓練』の四つと、選択科目に『応用魔法』『魔法技術』『応用武器術』『体捌き訓練』『魔科学』の五つがありま〜す。選択科目は最低二つ、多くて三つまでとれま〜す。選択科目の詳細については後日プリントで配布する予定なのでそれまで待っていてくださいね〜」


 一般科目が三つ、選択科目が最大三つの計六つ。一週間の内に一日休みを入れるとして残り四日。一日二教科ずつ午前と午後に分けて実施すればいい感じになるような気がする。

 時間割的なものがあれば楽なんだが、地球の大学の講義と同じ感じなのだろうか。


 まあ、それも含めておいおい確認していこう。


 ちなみに、俺が選択科目で気になっているのが『魔法技術』と『魔科学』の二つ。どちらも俺でも出来そうな感じがする。特に『魔科学』。科学があるかもと思ったら既に魔法と融合していたとは。

 後は特に何もない。選択科目を二つしか取ってないから『体捌き訓練』を入れてもいいかもしれないな。


「フィーは選択科目どうするつもりなんだ?」


「私は応用魔法と魔法技術、後は体捌き訓練の三つにしようと思ってます。そういうカナタさんはどうなんですか?」


「俺は魔法技術、体捌き訓練、魔科学の三つでいいかなと思ってるとこ。実際、体捌き訓練はなくてもって感じなんだけどね」


「一つ違いですか……私も――」


「もし俺と同じになんて思ってたら怒るぞ。俺はフィーに無理強いしたい訳じゃないし、フィーはフィーのやりたい勉強をしないと。なんの為に学園にきたのか考えるんだぞ?」


「……そうですね。私この学園でさらに強くなります。そのために沢山勉強してどんどん自分のものにしていきます」


 フィーに分かってもらえたようで何よりだ。俺のせいでフィーの可能性を摘むような事になって欲しくないからな。

 とは言っても俺がフィーと一緒がいいなと思っていたりするのだが、そこはしょうがないところだろう。


「ちなみに〜、私は魔科学を教えているので来た人はよろしくお願いしますね〜」


 魔科学をこの先生が教えるのか……大丈夫なのだろうか。心配だ。というか、魔科学がどれくらいのものなのか分からないし、概要でも説明してくれたらと思うんだが。


「とりあえず伝えることは伝えれたと想うので〜、これからみなさんには自己紹介をして頂きたいと思いま〜す」


 自己紹介か。入学初日に必ずと言っていいほど強制的にやらされる自己紹介は、学校生活を送っていく上で重要なものになる。もし、この自己紹介で失敗したのなら、スクールカーストの下位に行くことになり、スクールカーストの上位から隠れるように過ごしていかなけれはならないのだ。

 俺の高校時代は最下層……というか圏外みたいなものだったな。友達がいないしクラスメイトには居ないものとして扱われるし。思ってみればそれのおかげで会社にいた時の同僚の嫌がらせも耐えれたのかもしれない。やっぱり高校時代は大切だな。


「じゃあ、窓側の一番前からいきましょうか〜? よろしくお願いしますね〜」


 先生の指名と共に、自己紹介という名の悪魔が迫ってくることになった。

 無難にいくか、受けを狙うか。どう自己紹介をしようかと考えながら、自分の順番が回ってくるのを待つのだった。


 忙しくなってきたので中々書けないのに、スランプ気味という悪循環に陥って閉まってきつい状態です。スランプを脱するまで投稿送れるかもしれないので遅れたらすいません。

 それでは、次回もお会い出来る事を願って。

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