【1】
月曜日から金曜日までの、特別な日以外は例外なく強制的に行かなくてはならない学校も夕方を迎えた。長い一日もあと数時間と近づいているなか、静まり返っている教室でわたしこと黒瀬美海はついに数学の提出物を終わらした。そして、それ待ってました言わんばかりに、隣で退屈そうにしていたリサはわたしの作業が終わったと見るやすぐに身支度を始めだした。
「終わったなら早く行こうぜ」
窓から入ってくる風で綺麗な長い金髪をさらさらとなびかせる彼女は、わたしの幼なじみである木更津理沙。
私よりも背が十センチほど高く、スッと顔立ちが整っている。わたしの主観からはかわいい系ではなくかっこいい系、綺麗系に分類される。いや、実際にかっこよくて綺麗。ただ、スカートの中にはいつもジーンズをはいていて、いつでも動きやすいのがいいとリサは言う。なんだかなぁと、実にもったいない。
そんな幼なじみに急かされるようわたしもすぐに筆記具などをカバンに押し込んだ。
「待たせてごめんね」
学生の牢獄ともいえるこの教室をあとにするのは自分たちが最後のため、部屋の鍵がしっかり掛かったことを確認する。そして、わたしたちは憎き提出物を先生に差し出すため職員室に向かった。
挨拶をして入り、目的を済ませ、また挨拶をして職員室を出る。この動作の中に不満という感情を一切出さないようしっかりとやり遂げた。
……気になっていたわたしを見て、「怒ってんな」と出てきたばかりのわたしにリサは何故だかそんなことを言う。
「でてる?」
「めっちゃでてる。手鏡でも見るか?」
呆れたように微笑するリサを見て、右手を左右に振り不要だと伝える。
「マジ卍」
「マジ卍だわ」
そのまま愚痴をこぼしながら歩むわたしたちは部活動に行こうとしたりはしない。何故ならリサもわたしも帰宅部であるから。でも家に帰るという訳でもない。二人の趣味である本を借りるために図書室に行っているからである。
「その本どうだった?」
「良かったよ。複線もきれいに回収していたし、どんでん返しもそうきたかって、予想の上をいかれたよ。なんならこのままリサが借りる?」
「また今度にするよ。次に読もうとするやつ決めてんだ」
そんな会話が終わるころには図書室に着き、わたしたちは中に入ると辺りを見まわした。
目につくのは窓からあかね色に照らされる机くらいで、自分のクラスと同じく静寂に包まれたこの空間にも誰も居ないみたいだった。
「誰だよ仕事サボっている野郎は——」と呟きながらも、勝手のわかっているガラからは到底似つかない図書委員ことリサが、鼻歌交じりに自分の分とわたしの分を処理してくれる。傍から見るとリサは不良少女と思われかねない見た目をしてはいるものの、その中身は立派な文学少女なのだ。人は見かけで判断してはいけないうちの一人である。
「誰も居ないみたいだし中に入ってみてもいい?」
図書委員ではないと入ることはないだろう受付の向こう側に多少なりとも興味があり、どんな作業をしているのかと気になりはしていた。わたしの学校は本の中に紙を入れて記入する古いやり方ではなく、学生証に印字されているバーコードを使う。本も同じくバーコードで管理されており、コンビニのレジなどと同じように『ピッ、ピッ』と簡単に終わっている。
手を動かしながらリサは好きにすればと言わんばかりの軽返事で了承をくれた。
図書委員がいいと言ったなら大丈夫だろう。
ということでわたしは普段入ることのできない見えない壁の向こう側へと移動した。リサがバーコードを通すたびにパソコンの画面に本の名前が表示されていく。返却としるされたモニターで最後まで入力し終えると、右下にある決定ボタンを押して作業は終わった。いとも簡単な作業に少しばかりの感動を覚える。これならば借りるときも要領はまったく同じだろう。アホのよーちゃんでもできそうな仕事である。いや、どうだろうか……借りられているのにまた貸すといった荒業をエラーを起こしながらやってくれそうだ。
一通り見歩き、内側を確認し終えたころで、
「みう、こっち」手招きされるがまま、わたしは何事かと受付でしゃがんでいるリサに近づいた。
わたしも同じようにしゃがんで小さな空間に入る。その狭い場所で二人して何をするのかと思えば、奥にある扉を開いて、リサは「フフフ」と満足げに何がいいとわたしに尋ねた。そう、そこにあったのは学校にあるのがふさわしくないお菓子だった。といっても収納の関係上あるのは小さな駄菓子『うまい棒』『よっちゃんイカ』『十円ガム』の複数だ。リサが図書委員として働いている時につまみ食いできるよう、ここへ忍ばせているのだった。真面目にしようよリサと軽く心で呟き、わたしはすぐに言った。
「チョコとかないの?」
「おいおい、贅沢だな。それにチョコはちょっと——」
リサが言うまでもなくすぐに理解した。溶ける。
「そういうこと。これらで我慢してくれ」
「もらえるだけ嬉しいよ」
……本音だよ。
チョコはもしあったらいいなくらいな気持ちだよ。
ホントだよ。
わたしは近場にあった『よっちゃんイカ』を取り、リサは『うまい棒』を手にした。
それと同じくしてドアからガラガラと音がした。きっと誰かが図書室に入ってきたに違いない。わたしたちはお菓子を隠すことなく息をひそめた。頭のすぐ上は壁のため慌てて動けば危ないと判断したためだ。そして、食べるのを決して諦めない食い意地の張った女二人なのでした。
わたしはお菓子の袋に力を入れて破る。
これでいつでも食べれるぞ。内心うきうきさせて数枚をつまみだす。そしてわたしは気づいた。そう気づいた、気づくのが遅すぎた。ここで待機していたら今日の担当者が目の前にやって来ることに。
そうなった場合わたしたちはどんな顔をしてここから出ればいいだろう。にこやかに「あなたもどう?」とこちら側に誘い込めばいいのか、「もうリサ、なんでこんなところで寝ているのよ」と何食わぬ顔で片手に『よっちゃんイカ』を持ちながら友達を売ればいいのか、非常に悩ましいところ。
結局のところ食べることに脳の大半を費やし、危機的状況に頭が回らなかったのだ。
わたしはつまんでいるものを口へ放り込み、図書委員ではありませんようにと祈ることにしてリサに振り向いてみた。
驚いたことにリサは真顔でボーとしている。何かをするわけでもなく、困ったとも思えない顔で。
その天才的な頭でいったい今なにを思うのか正直知りたい。
そんなこんなで思いをめぐらしていると「誰も居ないのか。よし」そんなチャンスと言わんばかりの、好機ここにありといった声が聞こえた。
そんな偽りの幸運にわたしとリサは目を合わせて何事かと意志疎通する。それは男子の声だったが、耳をすませば女子の声もうかがえた。何かをやりに二人で図書室にやってきたようである。
故にわたしたちは恥ずかしい思いをせずにすんだのでした。
わたしたちは小声で「なんだろう?」と二人してバレないよう冬眠していたクマが、穴熊から地上に出るかのごとく、興味津々に少しだけ顔をのぞかせる。
そこには男子と女子が二人だけで話しをしている様子が見て取れる。ただ、予想以上に近い場所だったため、すぐさまさっきまでのお家に戻ることになりました。
「ちっか。あぶな」とリサは小声で胸をなで下ろす、わたしもそれとほぼ変わらなかった。
「あの二人、同じクラスの神崎くんと藤林さんだよね」
「ああ。いったい何をするつもりなんだ?」
近くで会話をすればバレる可能性があるのだけれども、わたしたちはこれに関してはプロレベルだと自負している。互いの耳元にギリギリまで口を近づけて、蚊のごとく小さな音で囁く。始めのうちはお互いに聞き取れず意味不明だったが、慣れとはすごいもので回数を重ねるうちについに収得できた。
無駄とも思えるこの技、なにのために使うのか……この時のためだと自信を持って言っておこうかな。
「実はお前のことが好きなんだ。俺と付き合ってくれない」
それは不意にやってきた。
わたしはあまりの驚きに体が動き、頭をぶつけそうになる。それを見ていたリサからアイコンタクトでなにやってんのと説教を受けると、わたしは片手で謝り、黙って行く末を見守ることにした。
突然の告白にどうするか考えたのだろう、しばらくして「ありがとう。嬉しい」と藤林さんは口にした。
わたしも「嬉しい」と言ってみたいものである。なんて冗談は別によく、
となれば二人はめでたく付き合うことになるのだろう。二人の門出を祝おうではないか。言い過ぎた。そこまでの間柄ではなくてもめでたいことですよ。うらやましい限りですね。ホントにね。
リサはどんな反応をしているのかと目を移すと、明らかに宴が終わり興が冷めたと思わしき様子で初めて『うまい棒』を口へと運ぼうとしていた。その瞬間、わたしは早業のごとく自分の指を生贄に差し出した。
——イタッ。
「ふぅぇ?」
わたしは噛まれた指を抜き取ると無事かどうかを確認してから両指で自分の口元の位置にバッテンを作った。リサは訳がわからなさそうにわたしを見つめる。
恋の成就の祝砲がうまい棒の『サクッ』では台無しすぎる。それ以前にここにいるのがバレるでしょうが、やめなさいよと目で訴えて、代わりに私のお菓子をリサの口に入れ込んだ。
野暮用のせいである程度の会話を聞き逃してしまったが、きっと今頃二人はラブラブなんだろうなと恨めしそうに聞くと、意外や意外、意外なことに。
「だけど、他に好きな人がいるから……ごめんなさい」そんな幸せの鐘が鳴り響いてきたのだ。
『ふられたー』と心の中で叫び、リサと目を合わす。リサも同じことを思っているのか口元がにやけている。終わったかにみられた宴はどうやら延長になったようだった。神崎君には可哀想だが他人の不幸は密の味とあるように、リサはまさしく美味しそうに堪能していました。
「そいつは誰?」
神崎くんは諦めが悪いのか食らいついている。そんなんだから振られるんだぞと心の中で呟くわたし。
「誰でもいいじゃん」
「よくない。そいつがいいやつではない可能性があるかもしれないし、教えろよ」
「そんなことないよ」
「同じクラスのやつか?」
「……」
「まさかお前もよーすけとか言わないよな」
「…………だったら何?」
「何ってあいつとは絶対に付き合えないんだろ? 女子同士で変な協定を作って、それで抜け駆け禁止。みんなの物って意味わかんねー」
それに関してはわたしもそう思う。その協定とやらが地味に邪魔で、たびたび迷惑と思うことがあるから。
「そんなの諦めて俺にしろよ、あいつを思うだけ時間の無駄だぜ」
「それでもいいの。それでもようすけ君のことが好きなの!」
「何で? だって本人達は否定してるけど絶対あいつ黒瀬とできてるぞ」
急に肘でつつかれる。
「わたしは美海ちゃんたちを信じる」
変に信じられても困るのだけれど安心してほしい。間違いなく付き合っていません。よーちゃんとはただの幼なじみです。
「信じるとか意味わかんねーわ」
「わたしは信じるの」
最後に彼女はそう言うと足早に図書室を去って行ったようだ。
「ふざけんなよクソが!」
大きな音がなる。
きっと椅子が蹴られた音だ。
そして、すぐにドアが強く閉められる音が響く。
わたしたちはバレることなくうまくやり過ごせた。
「いやー卍」
「うーん。卍だね」
その後はなにか後味が悪くなったわたしたち、次の本を借りて家に帰ることにしました。したけれど、わたしはおっちょこちょいだったようで、忘れ物を取りにダッシュで鍵を手にすると再び教室に戻った。
「みゆそっちじゃないよ」
リサの言葉でわたしは思い出した。今日の最後に席替えをしたことを。危うく全然違う人の席をいじるところだった。
ちなみに今さらながら、リサはわたしのことをみゆと言う。小さい頃は正しくみうと言っていたのだけれど、小学生のいつからか変わった。理由を聞いたところ「その方がなんか言いやすいから」となんともひどい理由。
しかし、もう一つ理由があるようで、それは「リサだけが使う名前だから特別感がでると思わない」と幼なじみであるが故に他の人との差別化をはかりたかったみたいでした。他に言いようがあるような気持ちもするけど、嬉しいような、そうではないような微妙な気持ちで当時のわたしはそれに許可をだした。
ただ、他の人が『みゆ』と言うとわたしはしっかり訂正します。リサだけが特別なのだ。
そしてわたしは自分の机からノートを取り出してリサと家に帰ろうとすると、クラスメイトの立川さんが教室にやって来た。こんな時間になんだろうとは思ったが、それはあちら側からでも同じはずなので特に理由は聞かずに鍵だけを託して帰ることにした。
日は変わり登校したわたしは今度こそ間違えることなく自分の席に座る。
そこで昨日のことを思い出しながら例の二人をうかがい見る。お互い元気があるでもなく、ないわけでもなく、差し支えいつも通りといったところ。
なーんだ、つま——妻夫木聡ってかっこいいよね。惚れるわー。
そんな女子中学生なら誰でも抱いている乙女感情を堪能しているところ、横から声をかけられた。
その声の主は妻夫木聡にすらまったく引けを取らない、かっこよさだけは天下一と噂の男。そうこれからしばらく隣同士となる新しい隣人である。
わたしもその隣人に挨拶を返した。
「おはよう。よーちゃん」
簡単に説明するね。
彼はわたしの幼なじみ。
以上。
終わり。
そんな幼なじみであるよーちゃんが椅子を引いて座ろうとしたとき、その後ろの席に座っていた人が急に声をあげる。
「ようすけ君待って!」
驚きつつも疑問符が浮かんでしまいそうな顔で、よーちゃんは「どうしたの? 朝日奈さん」と声をかける。無理もない、唐突にそんなことを言われたらわたしも同じようになると思う。
朝日奈さんは少しだけ立ち上がると前かがみになって手を伸ばした。その先はよーちゃんの机である。いったい彼女はなにをする気なのだろうと見守ると、前日に残された教科書などが入れられているところへと手を突っ込み、一つの紙を取り出した。
紙といってもよく見るとレターパックと思われるものだった。
それを手にした朝日奈さんは突如として怒りをあらわに「何これ? どういうこと?」とすぐに中身を確認しだす。
なんだ? なにが起きてる?
誰もが意味不明のなか、よーちゃんは朝日奈さんに言う。
「よくわからないけど、とりあえず返してもらっていいかな朝日奈さん」
「ダメよ。これは絶対に」
中の便箋を読み終えたのか朝日奈さんはそれを勢いよく自分の机に叩きつけた。
「裏切り者めー」
彼女はそう言った。
般若心経のような、今にも誰かを襲いかねない彼女は辺りをぐるんぐるんと見回します。
正直かなり怖い。
生徒会兼ようすけクラブ会長である朝日奈さんにとってこの件はきっと許しがたい行為だったに違いない。
「誰よこのラブレターを出したのは! 今すぐ名乗り出なさい! みなを出し抜こうなんていい度胸ね」
その怒鳴りにクラス中が注目し、突如としてピリついた空気が全体を漂うかと思った矢先、
「なんだなんだ? 朝から元気だな」
一瞬で緊張の糸は解け、たった今教室に来たと思わしきリサは怪訝そうにわたしのもとにやってきた。
ただ、わたしに話すでもなくリサは違う人に「それでだから何? いいじゃねーかラブレター出すくらい。そんだけこいつのことが好きで気持ちを伝えたかったんだろ」
最後に小さな声で「なにがいいんだか知らねーけど」とついつい心の声を漏らしている。
「よくないわよ。そんなのここにいるみんな一緒よ」
「いやいや、わたしも含めるな」
はーい。わたしもー。
「本当かしら、リサさんも黒瀬さんと同じくようすけ君と幼なじみなんでしょ、昔から恋心を抱いていてもおかしくないわ」
「勘弁してくれー。逆だわ逆。こいつの良いところも知ってはいるが、それ以上にクソみたいな部分もよくわかってんだ。恋心とか、うー、ゾッとする」
「なぁに、自慢かしら?」
目つきが鋭い、ガチでそう思っているに違いない。これだから恋する乙女は怖い。嫉妬されないように気をつけねば。
「あーもういいよ。わかった、わかった」
なにがわかったのかは理解できないが、なんとなくは予想できるが、リサは話を早急に終わらしたかったに間違いない。確実に言い合うだけ時間の無駄。
「差出人を知りたいなら名前を確認すればだろ、いちいち大事にする必要もない」
指で横を指して続ける。
「大事にするからようすけもさっきから困惑してんだ」
「うん、うん。そうだよ」
優しい声で考えなしに頷くよーちゃんにリサは素早く頭を叩いた、「なにがうん、うん。そうだよだ。意味わかんねーから。ちったぁ自分で収拾しろ」
さすがよーちゃんの家庭教師兼鬼コーチである。厳しい対応です。
「だってこれ名前が書いていないんだもの」
朝日奈さんがそう言うとリサは首を傾げる。
「書いてない? それじゃあなんのためにそれを書いたんだ」
返答を聞く気がないのか、すぐにリサは隙をつくようにレターパックと便箋を奪い取った。ここでわたしもこれはおもしろい物が見えると興味津々にリサの手で広げられている手紙をのぞいた。
『よーすけくんへ
……中略……
』
見てるわたしが言うのもなんだけど人の手紙は見るものではないよ。
プライバシーの侵害ってやつだね。わたしはどうかって? よーちゃんの幼なじみだからね、権利はあるはずだよね。
「なんだこれ?」
リサの最初の言葉はそれだった。そしてわたしも同様の感想だった。てっきりよーちゃんに対してあふれんばかりの気持ちがこもった物があると思っていたのだけど、いや、訂正すると気持ちはこもっているのかもしれないが、これは冷たい手紙だった。
手書きではなく印字。
気持ちは手紙でという昔の時代は終わり、lineで告白するのがおかしい訳でもない今だけど、手紙を出すにあたってワープロで打ち込むことはわたしには理解できなかった。だって自分の字ではないってだけで気持ちがまったくこもってないのではないかと思ってしまうから。
「リサちょっと俺にも見して」
よーちゃんが顔を近づけて覗き込んできたが、嫌がらせかのごとく、ようすけくんへと書かれたレターパックと便箋を自分のブレザーのポケットへとしまいこむ。
そしてむくれるよーちゃんをよそにリサは朝日奈さんに話しかける。
「確かに誰がこのバカに渡したかはわからないな。でもこれなら別に抜け駆けしたとは思いにくいんだけど、ダメなのか?」
「ええもちろん。これはゆゆしき問題。結果がどうのではなくこの行動に問題があるのよ」
ここで数名の女子たちから賛同の声があがる。
「面倒なやつらだなみゆ」
「……」
わたしはうんともすんとも言わずに苦笑いだけを浮かべる。なにせ迂闊なことを言って目を付けられたくないから。
「だからその手紙の差出人がわかるまでは女子は一人も帰さないからね」
そう宣言されるや否や、「えー」と女子みんなから不満があふれたのはまだ朝のホームルームが始まる前でした。
ほんと手のひら返しが早いな。




