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第八話 お風呂問題とその後

やっと更新できた!!!!甘いです。当社比。

 突然ですが質問です。私の今の状況はどうなっているでしょう。


 正解は、イケメン(夫)と一緒に湯船につかっている、でした。正直死にたいです。死んでもいいです。

「で、君がまったく洗わせてくれないから湯船につかっている訳だけれども、君はいつになったら洗うのかな? やっぱり洗わせてくれないかな?」

「ダメです、嫌です。拒否です……」

「そこまではっきり言わなくても!」

「だって、恥ずかしいですもん、こんなことされたことないし」

 そう、ここに来るまでは何も恋愛イベントなど存在しなかったのだ。皆無! 私にもきっとできる彼氏、できない! と、そんな感じで、日々二次元に身を委ねて、パソコンとスマホに同化し、時間を溶かしていたのだ。それを考えると今の状況は、ゲームの中やパソコンの中の世界そのもの。世界はとっても広いんだなあ(棒読み)と、今痛いほど感じています。ずきずき。

「え? それって、今まで彼氏もいなかったってことだよね? そうだよね」

 彼、とてもうれしそうに目をキラキラさせていっていますが、これはどういうことなのでしょうか。もしかしなくても、喜ばせてしまっています。

「あの本当に信じてくれるかわからないですけれども、今まで彼氏とか、そんな関係になった人は一人もいません。ごめんなさい」

 素直に謝るべきだったのだろうか。この選択が間違っていたら、好感度が下がってしまう。あぁ、さようならハッピーエンド。一番良いエンド。私が一番大好きで、そのために全力を注ぐエンド。そして、彼曰く。

「なっ……本当に、本当にそうなのかい!? だとしたら僕はとても幸せ者だよ。君の初めてを全部ひとり占めできるのだから。うれしいな。ありがとう、僕のために初めてを全部残しておいてくれて」

「そんなことを言ってくれるのですね」

「ん? うん。僕は言うよ。うれしいこと。ちゃんと言わなきゃ、伝わらないでしょ。だから君もちゃんと僕に伝えてくれないかな。君が思っていること、感じたこと。困ったことでもなんでもいいから。伝えて欲しいな。でも、無理はしないで。君はあまりにも考えていることが多い気がするから。言いたくないことは言わなくていいよ」

「……っ! ありがとうございます」

 なんだか本当に夫婦として生活しているのだと、身に染みる。不覚にもウルウルと感動の涙が出てしまい、今までこれほどまでに優しくされたことはあっただろうかと思うとそこまででもなくて、尚更涙がぽろぽろと落ちていく。落ちるたびに、水面からぽとんと聞こえる。目の前がゆがんでよく見えない。

「ごめんなさい、こんなに優しくされたことなくて……」

「いいよ、いいよ。君はよく頑張ってきたんだね。えらいえらい」

 頭をなでなでされている。この行為はまだ慣れないけれども、心地がいいものだと思う。彼なりの愛情表現なのだろう。

「私はえらいですか?」

「えらいよ、君は。僕のためにいっぱい楽しみを残してくれたんだ。これから、いろいろ二人で楽しもうよ」

「……記憶、ないですけど。いいですか?」

「いいよ。それでも。僕の奥さんってことに変わりはないのだから、ね?」

「あなたがそう言うなら……」

 そういうのであれば、私はあなたの傍にいても怒られたりしないのでしょうか。


 数分泣いて落ち着いたころ、体を洗おうということになった。先程の慰めがなんとなく少しうれしかったため、今日だけと言って洗わせてあげたのだった。本当に今日だけという言葉は便利。

「君はどこもやわらかいから、すぐに壊れてしまいそうだね」

「そうですかね? 人間は頑丈なのです。少しのことでは壊れませんよ」

「今のは、守ってあげたいなって意味なんだけど。わかってる?」

「ソレハ、ワカリマセン」

「わからせてあげたいなぁ~」

「おやめください」

「君が嫌がるならしないけど」

「嫌です、今はそんな気分ではありません」

「はーい。でもいつかは、許してくれる?」

「考えておきます」

 いつかはきっと、そのような本当の恋人がするような愛の確かめ方をする日が来るのかもしれない。今までの私からは考えられない。


 そうしてお風呂化を出ると、あらまあご丁寧なことにめちゃくちゃかわいい、多分一生着ることもないであろう白い寝間着が用意されていた。寝間着といってしまうところがすでに昭和くさい。ネグリジェと言いましょうよ、現代人。それところどころにフリルが付いていて、全体的にふわふわしている。刺繍がまた美しくて、多分植物の刺繍だろう。いつもの寝るときのジャージとは比べ物にならない、高級なそれが用意されているのだ。

「これ、本当に寝るときに着るものなのですか……信じがたいのですが」

「うん、女の人はみんなそんなかわいいやつを着て寝るよ。ちょっと今日のやつは生地が薄いから、ちゃんと僕にくっついて寝てほしいな。君が病気にでもなったら嫌だよ」

「平気でさらっと言ってきますよね……あっ」

「ん~、素直になってきたね。かわいい」

「やめてください、死んでします」

「こまるなぁ~」

 慣れは恐ろしい。この人のペースがだいたいわかってきたような気がするのと、先ほどの件のせいでいろいろと緩くなっているようだ。ゆるゆるな人間にはならないぞ、と心に決めました。

「ほら、お布団行くから捕まって」

 またお姫様抱っこをされています。この人はやはり束縛したい人なのです。時間が許す限り傍にピタッとついていたいと。ほうほう、それはとてもいい考えですね。とてもいい考えですが、私にしてはとても困ります。こうくっつかれてしまうのは、苦手です。私は人間の体温は苦手ですから。でも、彼はひとつひとつの動作に真剣な表情をしてくれるような気がする。大切にされているということが、どことなく感じられて安心する。



「布団ついたよ……あれ? 寝ちゃった? 困ったなぁ。これから、ちゃんとお話ししてあげようかと思ったのに」

――でも、このことは黙っていよう。アリスは僕が、アリスの世界から僕の世界へ連れてきたってことは。


今後の展開が思いつきそうで思いつきません。困りました。

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