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第三話 いきなりできた夫が束縛系だった件について

主人公は重大な事実に気が付いた……らしい。

 話をしよう。私はいきなり異世界に転送され、さらには彼氏を飛び越えていきなり夫ができたオタ女子だ。二次元が大好きなのだが、今目の前にいる夫はどうも二次元と同等のイケメンかそれ以上なのだが、先ほど束縛系だということがわかった次第でございます。いや、私も何を言っているのかさっぱりわからんが、とにもかくにもそういうことだ。そういうことで済まされる話ではないが、とにかくそういうことにしておいてくれ。私の語彙力では表現することができない。できるはずがない。

すごく長い彼の語りはほとんど右から左へ流したが、どういうわけかところどころ印象に残っているのである。

「わ……わぁお……カンタンデスネ」

 思わずカタコトになってしまった。いやいや、実は私、束縛系男子が大好きで、よくゲームでも束縛系のキャラがいたら必ずと言って良いほど沼に落ちるというか、沼という表現がオタク語だということは十分承知しているのだが、沼としか言いようがない。いや、あるか。沼というより、好きになるというニュアンスで合っているはずだ。

「でも、少し予定を詰めすぎだと思いませんか……」

「ん? そうでもしないと、君は僕のもとから逃げようとするはずだからだよ。僕は君のことを離したくないし、失いたくもないんだ。他の男に取られたりするのも嫌だ。だから、僕のそばからできるだけ離れないでほしいな」

 なんだろう。仕事を多くして疲れさせて動けなくしよう作戦のような、そんな気がしてきました。これは確実に、危ないと思う。しかし、相手は束縛系で私の好きな感じ、そしてイケメン。さらに私の好みを理解していらっしゃる。この際私の最も好きなタイプのヤンデレ属性を持っていらっしゃる可能性が高くなってきている。この人には私がいなければ駄目なの思考になりかけてきているぞ、私。そろそろ本気で冷静になったほうがよろしいのではないのでしょうか。冷静になれだって? 無理に決まっている。

「そ、そうですか……」

 そうですか、じゃないよ! 人生の危機だ! 

「うん。わかってもらえた?」

「は、はい。なんとなく」

「よかった。これでわかってもらえなかったら僕がもう一度同じ説明をすることになって大変になってしまうからね。君は物分かりがよくていい子だね」

 頭をなでなでされた。イケメンに頭を撫でられている。話している内容は危ないが、頭を撫でられているという奇跡。イケメンに頭を撫でられることなど現実では絶対にない機会だ。ありがたく撫でられていよう。ありがたや、ありがたや。そしてあまり褒められなかった私が褒められている。成績は平均的、顔も平均的、何もかもが平均的なモブ的な位置付けをされているこの私が褒められている。これは明日にも槍が降ってくるのではないのだろうか。降ってきても困るだけなのだが。月から飛んできたりとか、宇宙にいたメカ的なものが投げてきたりとかそんなことはないだろう。そんなSFのような展開は望んでいない。

「大丈夫? 顔、真っ青になってるよ」

「ひぇっ、だだだ、大丈夫です! ハイ。元気ゲンキ!」

「やっぱりここの生活、慣れない?」

「い、いえ。むしろ、快適というか……」

「そう? ならいいのだけれども」

 やはりひっかかる。自分が二次元大好きなオタクな女子で、JKだったことは覚えているわけなのだが、名前が思い出せないのだ。私の名は。

「やっぱり体調悪い?」

「体調は悪くはないのですが……」

「悪くはないけれど、何?」

「自分の、名前を忘れてしまって」

「……なら僕がつけてあげる」

「え?」

「君の名前が思い出すまでの間、名前がないのはあまりにも呼びにくいでしょ? だから、仮でも名前を付けてあげようと思って」

「あ、ありがとうございますっ」

 あなたが神か。夫だよ。

 


次回、夫のお母さんに遭遇。修羅場の危機!?ま、まさかっ……

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