第一話 異世界へ転送されました、JKです
お風呂に入りながら思いついたネタです。
はっきり言ってこれはないと思った。これはおかしい。どう見てもおかしい。私ジョブチェンジした記憶がないのだけれども、どう見ても私はJKの格好をしていない。これはまるでどこかの童話や絵本に出てきそうなお姫様が着ているドレスだ。
華のJK生活、高校二年生。そこまできらきらしたものでもない。これは本当。よく「高校生になったら彼氏できるよね!」という考えは甘いのである。実際は彼氏なんてできなかった。期待しただけ無駄だった。
しかし、私には二次元という素晴らしいものが存在している。その二次元には、男同士がいちゃいちゃしていたり、男女がいちゃいちゃしていたり。なんでもありなところなのだ。素晴らしい。とてもすばらしい。
何を隠そう、私はオタク女子なのだ。
もちろん、腐女子でもあるし夢女子でもあるが、そんな私は現在布団の上にいます。布団というよりもベッドです。とても豪華な天蓋付きの、女の子という女の子ならば誰でもあこがれるあの天蓋付きのベッドの上です。
どうして私はこんなところにいるのだ。わからん、わからんぞ。まったくわからない。頭の回転速度が間に合いません。助けてください。そもそもこれは夢だと、だれか教えてください。私本当にジョブチェンジした覚えがないのですが……。
まさか、仲間を集めて魔王を倒しに行きましょう。君はさっき生き返った。みたいな展開だったりとかしてしまうのでしょうか。それは困ります。仲間を作ろう、は私の中では地獄です。仲間なんてできません。無理、無理。コミュ障こじらせちゃった私には無理です。どうか神様、それだけはおやめください。どうかどうか、よろしくお願いします。
もしこれが夢だとしたら、頬を引っ張ってみたら痛くないはず。私はぐっと力を込めて、頬を引っ張った。
「いたぁぁぁぁい!!!」
痛い、とても痛い。いや、きっとこれは感覚があるタイプの夢なんだ。きっとそうだ。そうに決まっている。そうじゃなきゃ、私がやってられない。ゴロゴロと広いベッドの上を転げ回る。
「こんなのあんまりだよ……」
突然現実へ戻される。
私、RPG系統のゲームなんてほとんどやらないし、やっても恋愛ゲームかリズムゲーム。そういえばまだあのキャラとか攻略してなかったなあ。フルコンボなかなかいかなかったなあ。思い出が走馬灯のように流れ込んでくる。おっと、これは夢から覚めるチャンス! 大丈夫、すぐに目が覚めて起きたら授業中だ。先生には怒られてしまうけれども、そのほうが安心できる。今の状況だとね。
「何を一人で喋っていらっしゃるのですか」
あれ、おかしいなこれは脳内モノローグのはずだよ。声に出ているわけがないじゃん。どうして喋っていることになっているのかな。
「頭のほうは大丈夫ですか?」
「っ! す、すみません! あの、もしかして……」
「ええ、一人で喋っていましたよ。楽しそうに」
「すみません……」
要するに脳内ではなく、口に出していたということだ。独り言を喋る癖がここでも出てしまったか。何たる不覚。
「それで、体のほうは大丈夫ですか?」
「え、あ、はい。特に何もありませんが……あの、あなたは誰? ここはどこ? ってこれテンプレですよね」
「よかった。君、忘れちゃったの? 僕は君の夫のアーロン、ここは僕の部屋だよ」
これはどういうことなのでしょうか。目の前にはイケメン、しかも私の夫。ああ、神様。これは夢だと言ってください。
続きがガンガン思いつく限り連載はやめません! よろしくお願いします。