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愚者の烙印  作者: 久我四門
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第5話.meets many disgusting swords ,a storm

試しに朝投稿です。まぁ予約ですが。

 シオンが港に降り立ったのは、嵐間近の事だった。

ホウライとの往復する数少ない航路で、ルーンヴァイス王国では見かけない品々が、急ピッチで荷下ろしされている。

グォォ~ン・・・・

「?!」

町中で、それも中心部からモンスターの雄叫びが聞こえてきた。

「襲撃か・・・?」

これから宿を取ろうという所であったが、最近はどうもどこでも物騒なようだ。

走り出したシオンの様に、やはり騒ぎへと急ぐ人影があった。

銀髪の騎士が騎乗用ペリオムで追い抜いていく。

前方に生ける剣が数本うごめき、薙払っていた。

「狼牙隊、八封陣!」

騎士が叫ぶと同時に、生ける剣を取り囲むように騎士達が包囲網を展開した。

「逃がすなよ!一般市民に被害が及ぶ。確実に仕留めろっ!!」

どうやら指揮官のようだ。彼は指揮を執りながら、自らも討伐に加わる。

その腕から放たれた槍がモンスターの間を駆け抜けては、戻ってくる。

『スピア・アガートラム』という、騎士の槍技である。

「すまん、おくれた・・・って、1匹逃げたぞ!ローガさん!!」

笠を被ったモンクが駆けつけ、剣を殴りつけながら、叫んだ。

「シゲンがちゃんと鎖に繋いでおかないからだろ!」

先ほどの騎士は、ローガという名前らしい。それはともかく、討ち漏らした生ける剣がシオンの方に向かってくる。

『にげろっ!』

シゲンとローガは叫び、シゲンが跳躍する!

(ちっ・・・)

シオンは内心舌打ちをした。すでにこの剣がミストルテインと言うのは一目でわかっていた。

しかしこの距離と移動速度を考えて、間に合うのは無属性のソウルナックルのみ。だが、ミストルテインに無属性の攻撃は無駄である。

幻縛沼グラヴィティ・バインドでもあれば、若干の時間も稼げるが、あいにくとそれは手札にはなかった。

迫り来る魔剣ミストルティン!

<斯くの如くあれ!>

瞬く間に練り上げた魔力が解放される。

ギュォ~~ムッ

どこか現実離れした声と共に、ミストルテインの刃がシオンに振り下ろされる。

ガキィーン!

突如、赤味を帯びた魔法陣がその間にわって入るかの様に発生し、ミストルテインの刃を受け止めた。

「ナイスッ!」

着地と同時にシゲンが回し蹴りをお見舞いする。

ほっと胸をなで下ろしながらも、シオンは他の剣を見据える。

亡霊剣エクスキュージョン、牙骸鬼ファング・オーガ・・・どれもこれも無属性が効きにくい。また元素魔法でも効果は微々たるものである。

しかし、出来ることはあった。シオンは再び魔力を練り出した。


「そのあと、シオンは支援に回ったのさ。あとで聞いたんだが、最初につかった防御系の紅霊護円陣セーフティウォール微治癒プティ・ヒールを掛けていったんだわ。」

微治癒プティ・ヒールだと?紅霊護円《(セーフティウォール》はまだわかる。なぜシオンに使えるんだ・・・?)

紅霊護円陣セーフティウォールとはソウルナックルをある程度修練した後に、習得・制御ができる魔法で、数度の攻撃を無力化する。

しかし微治癒プティ・ヒールは明らかに神聖魔法である。そしてそれは神との契約者である聖職者しか使えない。

「あれには驚いたねぇ」

シゲンも同じ思いを抱いていたらしい。

「なんでも、クン=ヤンの方で修得したものらしいね。『隠し球だよ』なんて言ってたよ。」

「クン=ヤンといえば、シオンがリーズに来たのも、半分はそれが理由って言ってたな」

「どういうことですか?」

「なんでも、クン=ヤンから何者かが禁断の書を持ち出してしまったらしく、回収をクン=ヤンの仙人に頼まれてきたんだとさ」

「そういやそんなことも言ってたねぇ。たしか<月の翼の書>とか。黒い装丁で赤い三日月だっけ?」

「黒い装丁で赤い三日月・・・・師が持っていた書です・・・」

「うはっ・・・、それって、テシウスさんとか言いません?」

「ご存じなんですか?」

「ご存じというか、シオンに頼まれて調べてみたら、首都の古書屋に納品されててねぇ。」

「相手がよりにもよって、シオンの知り合いのテシウスさんって人という事までは突き止めたんですよ。」

「!!・・・テシウス師とシオンが知人・・・冗談では?」

「・・・?・・・あぁ、年齢ですか?そいつはそうみえて22歳ですよ。」

『えっ?!』

ユミルとカインの声が重なった。

「クン=ヤンで学んだ中に、代謝を抑えるってのがあったらしいです。だから、実年齢より肉体の老化が遅いとかなんとか。まぁ、クン=ヤンで頼んだ人物が探索に時間が掛かることを予想して伝授したらしいです。」

そんな説明を聞きながら、カインは改めてシオンを見やる。

「そういえば、カインさん達」

ローガの説明に衝撃も冷めぬ二人に、シゲンが言った。

「シオンがセイジだって事も知らないんじゃ?」

「本当ですか・・・?」

「いや、嘘言っても意味ないですし。冗談ならもそっと気の利いた事いいますよ?」

セイジ──別名「賢者」と呼称される人々である。ルーンヴァイス王国の北に位置するエレクシア共和国。

その首都である、空に浮かぶ島々で構成された都市ジュナスに多く住んでいるという。

魔導師──ウィザードとは異なり、魔法の破壊力という面よりも、転用を主眼とした研究を行っているという。

武器への属性付与、天候操作、魔法の消去などである。

また肉体の鍛錬も行っているため、非常時には戦闘要員にもなるという。

その場に訪れた沈黙を破るのは、当のシオンのデザートを食べる音ばかりであった。

めくられるページ

それは過去か、それとも未来か

閉ざされるべきは人々の瞳か、それとも・・・

黒革の表紙が閉じられるその日まで


『愚者の烙印』

第六話【書と封じる者と】

開いてしまった扉は、誰が閉じる?

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