第10話.All of the chains and led the
あと3~4話という所でしょうか。
次の作品のプロット練らないとー(;^ω^)
「よく来たな」
最奥部の扉の前に立った4人を迎える声。
魔力はまずまず。可能な限り体力も回復させてあった。
「この声は・・・・」
カインは、愕然とした。師匠のテシウスの声である。
「いや・・・そんなはずはないっ!」
「ああぁあぁぁあぁぁぁあぁおおぁおあぁ”ーーーーーーーーーーーっっ!」
「シオンちゃん!カインさん、シオンちゃんがっ!」
シオンは頭を抱え、うずくまって叫んでいた。
「まぁ、はいりたまえ・・・君らを一応は歓迎しよう」
前方の大扉が、きしんだ音を立てて奥に向かって両側に開いていく。
そこは巨大な空間が広がり、扉から奥へと赤い絨毯が伸びている。
「ようこそ!世界の中心へ」
絨毯の先に、玉座があった。その玉座に悠然と腰を掛ける人影が1つ。
「テシウス殿・・・・」
ランドルフが呻く。紛れもない、カインの師テシウスの姿がそこにはあった。
「あぁ?この姿か。これは私を解放した者の姿を頂いただけさ」
テシウスの姿をした者が言う。
シオンが叫びを止めている。
「解放・・・まさかっ!」
「ふふふっ・・・察しの良い人間はいいね。大好きだよ。早死にしやすくていい」
邪悪な笑みを浮かべて彼は言う。
「君の想像の通り、私こそが『魔王の王』というわけだ。」
「師は・・・テシウス師匠は、どうしたんだっ!」
「・・・それは、僕が答えましょう・・・兄さん・・・」
「シオン・・・」
眼を蒼く輝かせたシオンがカインの横に立つ。
「テシウスは、僕が封印しました」
『封印?!』
他の3人の声が重なった。
シオンはクン=ヤンを訪れた際、仙人たちに頼まれた事があった。
<月の翼の書>という禁断の書物の奪還、もしくは封印である。
「僕はクン=ヤンを出た後、<書>の行方を追いました。」
ホウライ、リーズ、プロキウス・・・・そしてシュバルツ。
リーズで盟友テシウスが<書>を入手したことをつきとめたシオンは、テシウスの後を追った。
出会った人々の助けを受けながら、とうとうあの雨の日に、シュバルツ北に広がる渓谷でテシウスに追いついたのである。
「だが、既にテシウスは<彼>の支配を受け初めていたのです。」
かつて神々も地上において戦いを繰り広げた時代に、『古城』を中心に繁栄を誇っていた巨人族の王が、ミルドガ大陸に襲来した魔軍侵攻の際、その「魔王の中の王」を辛うじて封印した。
その封印の要が、禁断の書<月の翼の書>である。
やがて巨人族は何処かへ立ち去り、<書>も仙人の国クン=ヤンで厳重に保管されることとなった。
永き刻の中で、大陸に住む者が、誰もその存在を忘れたと思われたときに、<書>は奪われた。
そして、テシウスは研究のため、『古城』で封印を解いてしまった。
「しかし、まだ魂までは落ちていなかった。だから、魂魄を分離し封印を施しました。」
だが、激しい戦いでテシウスが封印されたものの、一瞬の隙をついた『魔王の王』の魂は、シオンに致命的なダメージを与えて、肉体の残る『古城』へと舞い戻ったのである。
シオンが怪我により記憶を失い、時を稼いだ<彼>は軍勢を手に入れた。
残るは完全なる復活のみであり、そうすれば全世界の崩壊は確実な未来となるのだ。
各地で軍は押し返されていた。
「支えろ!後ろはもう首都しかないっ!」
死の風が吹き荒れ、空は闇に覆われようとしている。
希望が、未来が風前の灯火のように・・・
「師匠は・・・無事なのか・・・?」
「無事とも言えます。無事でないとも言えます」
「どういうことですか?」
「ねーさん・・・ねーさんなら分かるはずです。<彼>の中に息づく、人の魔力を。」
ドクンッ
「・・・まさ・・・か・・・」
「僕は魂魄を封印し、ある場所に隠したのですが」
「無駄でしたよ」
<彼>の横に、いつからかひっそりと立つ人影。司祭の格好をしている。
「ウォーレン様・・・?」
叫ぼうとする自分を黙らせる様に、ユミルは口元を押さえた。
「他の方は初めまして、ですか。聖教会第一司祭長のウォーレンと申します。お見知りおきを・・・といっても、すぐお別れですがね」
「残念ながら、僕にも聖教会に<月の翼の書>を持ち出した人間が居るとは思いませんでした。」
「何故ですか・・・!高潔で知られた貴方が!!」
「何故?愚問ですね、ユミルくん。力を求めるのに他に理由が必要だと言うのですか?」
「ウォーレン司祭長・・・」
カインもランドルフも名を聞いたことはある。最近、各地のアンデッド討伐で名を馳せる若き司祭の話を。
かなりの使い手で、高潔な人物だと評判であった。
「聖教会に預け置かれた、テシウスの魂魄は確かに我が君にお渡ししました。残念ながら封印まで解けなかったのですが。」
「まぁよい、ウォーレン。人の施した封印など、我が体内でまもなく崩れる」
「そこまでこだわるとは、てっちゃんは・・・」
「いかにも、我を封じた憎き巨人族の王の血を引く者よ。」
「そして、封印を解く最後の鍵ですよ」
ウォーレンが続ける。
「まもなく世界が終わる。私と我が君は世界をこの手に」
突如、背中から腕を生やしたウォーレン。
「な・・・ぜ・・・?」
「人間風情が、我の側にいるなど許されはしない。ご苦労だった、ゆっくり休め」
「貴様っ・・・!!」
「裏切り者の死すら悼むとは・・・つくづく人間という者は理解しがたい不完全な存在だな」
「人の命をなんだと思って」
「お前らの言葉で言えばゴミだ。チリだ。虫けらだ。殺すのになんの痛痒がある?」
「ふざけるなっ!」
「ふっ、お前らの国の滅びる様を見せてやろうとも思ったが、気が変わった。先に逝くがいい!」
魔力が溢れ、その余波が部屋を駆け抜ける!
「カイン、もう節約はなしだっ!」
「あぁ分かってる。全開でいくよっ!!」
「神のご加護を!」
「もう逃がしはしない!!!」
その力は世界を壊すために
この力は全てを守るために
闇が血で紅く染まるとき
永劫の果てより光が訪れる
『愚者の烙印』
第十一話【死闘】
全てが滅びに染まってしまう・・・




