* Log No.5
短いんですが、更新しないよりはいいかと思いまして……(汗)
ついでに、丹尭もヌンチャクを取り出した。
ヌンチャク使うヤツなんて、いつ久りだろうか。久しぶりに見たぜ。確か、最後に見たのは、俺の出身地・努鵞村で稽古つけてもらっていた時の、師匠だったかな。あの人、何でも使うから。
___ブチッッ!
俺は、短刀で縄を切り、自由の身になった。…いや、モトから いつでも逃げられる状態ではあったんだよ。でも ほら、この前にあったように、やっぱり お宝を頂戴してから逃げたいじゃんかよ?
まぁ、ホエフッタさんがこれに対して、全く驚いてないところを見ると、全てお見通しだったってこったな。
いやいや、そんなことより、ヌンチャクに素手で挑むなんて、ちょっと無謀じゃないか⁈不利だよ、二対一だし、なぁ……?
「悪いんだけど、…俺にも、武器使わせてな」
「あぁ、いいさ。フェアにいこうじゃないか。さっきは、丹尭も参戦するとは言ってなかったからな。
……まぁ、自分から言い出しといて、ちょいとかっこ悪い気がするがなぁ。情けない気も…」
苦笑、といった感じで、ホエフッタが言う。
「情けない」だと⁈その言葉、取り消してもらうぜ‼なに、苦笑なんてしてんだよ?
黙っていれば、さっきから、俺に向かって「情けない」なんて言葉、連呼しやがって……‼
俺にとって、その言葉がどれだけ傷つくものなのか、その身をもって実感するがいいさ!
たとえ、二対一でも、俺が勝つ!
俺は、「情けないヤツ」呼ばわりされるような器じゃねぇって事を証明してやるよ、お二人さん!
「始めようぜ」
俺は口火を切った___。
___ガキン!
冷たい金属音が響く。俺の髪が乾き切ってなく、その振動で水滴の飛沫が飛んだ。
俺が六本持ってる内、一番硬い、「陽ノ丸」と読んでいる短刀で、ヌンチャクを防いだ。
陽ノ丸は、硬いが その分重さがあり、俺自慢の軽い身のこなしに、少々 支障をきたしている。
ホエフッタも、参戦した。
矢は、とにかく手で確実に払えば、何とかなる。飛び道具だから、短刀と真逆で、接近戦は苦手なはずだ。…まぁ、短刀だって、離脱戦は苦手なんだが。
自分から仕掛けた戦いだからしょうがないんだが、やっぱり、二対一は 結構キツいぜ。
しかし、ここは敵船の上。仲間は居ない。要らない。それに、この不利な状況が俺をさらに燃えたぎらせる。
「そろそろ 辛いんじゃないか?」
…~~~~っ!
ホエフッタさんよぉ、アンタのそーゆーのがウザいっつってんだよ‼
「もう 楽にしてやろうか⁈」
「ンだと⁉」
俺がそう叫び返した時、今の流れからは絶対NGな事が起きた。
「ウソだろ……」
思わずそう呟いてしまうほどに。
ナント、ホエフッタは 矢を組み合わせた武器を拵えたではないか‼
「名付けて、貫倒刺。相手を貫き倒す、私の武器だ。」
……ハぇ?
聞いてないよ⁇何、アレ⁉矢羽って、鳥とかの羽使ってるから、矢羽って言うんじゃないの?
ホエフッタは、二本の矢を取り、矢羽同士を交差させて組み合わせ、接近戦に備えていた。
あんなにしっかり矢羽を組み合わせられるなんて、あの矢羽、鳥の羽なんかじゃないな。
しっかし……、あの武器は結構面倒クサそうだぞ。矢羽同士を交差させて組み合わせることによって、武器の右にも左にも、鏃があることになる。
__ヒュンヒュン‼
突然 目の前に、黒い塊が現れた。
~~~!……っと‼丹尭の存在を忘れてたぜ。さっきから、俺を馬鹿にしたような目で見てくるのがムカつく。
「舐めんなよっ!」
俺は、もう一本刀を取り出し、丹尭に振りかざす。
アイスピックのような形の、“突き”を重視して作られた短刀、「火影」。コイツは 餓鬼の頃、近所の鍛冶屋から買ったモンで、もう何年も使ってる。
「余所見してて いいのかい?」
軽い口調でホエフッタが言った。
「終わりにしてもいいんだが」
貫倒刺が、俺に襲いかかる。
サッ___
少し掠った。
頬に血が伝う。
戦闘のスイッチが入ったのだろうか。俺は、地を駆ける豹になった。
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