* Log No.3
この話しで、楽しんでいただきたいですねぇ…
ザクザク バラバラ……
ザクザク バラバラ……
逃げることも、躱すことも出来ないこの状況で、俺はただ、自分の周囲に落ちてくる矢の音を、目を閉じて聞いているしかなかった。
逃げなきゃ、逃げなきゃいけない。
縄が掛けられてる。足が竦んでる。
でも、それでも、逃げなきゃいけない……
宝を奪って。
一秒が一年に思えるくらい、一本ずつ放っているはずの矢が降り止まない雨に思えるくらい、俺は焦っていた。
チッチッチッチッ……
チッチッチッチッ……
この船室に無いはずの時計の、秒針を刻む音が聞こえた気がした。
ふと気が付くと、矢の雨は止んでいた。
耳にはまだ、矢が床を打つ音が残ってる。
ヤバい。俺、ビビってる。
海賊やってたら、こんな状況に陥るのは、日常茶飯事なのに…、こんなことがあっても、どうにか出来るくらいの力は身につけたはずだったのに……
死ぬのが怖い。死にたくない。
俺には、目標がある。
生きたいという意思がある。
やり遂げなきゃいけないことを、済ませない内は、死んでも死にきれねぇ。
それに、俺はまだ若い。伸び代も沢山ある。
こんなところで、俺の人生は終わらせられない。
・☆・☆・☆・☆・
さて、今、この涙を誘うようなクサい話しを、俺がしたと、最後まで信じてくれた諸君、ありがとう。
そして、ごめんなさい。
…いや、これは、俺の意思そのものであるのだが、それと同時に、ホエフッタが代弁してくれたことでもある。
こんな説明じゃ、理解出来ねぇよな。
つまり、矢の雨が止んだ後、何があったかというと、だ……
・☆・☆・☆・☆・
矢の雨が止む。
何時間と思える時間が過ぎたように感じた。
俺は、ゆっくり目を開けた。
俺、ホエフッタ、誰か分からん奴…
この変な三人組の間を、やはり変な緊張感が駆け抜ける。
…もしかして、この "変な緊張感" って、俺しか気付いてないんじゃないか?
なんか、二人とも天然なのか鈍感なのか、ちょっとにこやかだぞ。
最初に口を開いたのは、ホエフッタだった。
ちなみに、情けない話しでこの時俺は、縄で縛られているにも関わらず腰が抜けていて、自分から口を開く余裕はなかった。
「おい、若者よ。……目を瞑るでない。情けないぞぉ」
…言われなくても、知ってる。
しょうもない、じじいから譲り受けたんだからな。
「わしの矢を真っ向から、見据えよ」
……出来たら、苦労してねぇよ。
今までの状況、ちゃんと理解出来てます?
そうして、俺は、何故かホエフッタに、延々と説教され、先程の話しをぶつけられたのであったと…。
まぁ、ホエフッタの説教内容の大半は、右耳から入れて、左耳から流してたようなもんだから、ここには、書かない。
そして、今に至るわけだが……
隣を見る。
何故か、例の見知らぬ奴が、腰を下ろして、ホエフッタの説教話しを、俺と一緒に…ってか、俺の代わりに…聞いていた。
何なんだ、コイツ⁇
ここで、ホエフッタの説教に感動して、自分を仲間にしろ、なんて言ったら、面白いけどな。
ハハハ……、俺も巻き込んじゃったりしてさ…。
「ホエフッタ船長、俺を、仲間にしてください!」
…と、得体の知れないヤツ。
………⁇
いやいやいや…、ちょっと待たんかい‼
うん、分かった。ホントに、俺が悪かった。俺がこうしたら面白いとか言ったから、お前、そんなこと言ったんだろ、な?いやぁ、ノリ良過ぎじゃない?
ホラ、「今の、冗談でーす」って、言ってごらん?
だってさぁ、仲間になって、どうすんのよ?
答えは簡単。「得が無い」これで決まり。
だから、そんな考え捨てて、さっさと宝持って逃げようね。はい、マジで。
いや、俺さぁ、お前と違って、このチャンス無駄にする気、さらさら無いんだわ。
頼むから、ね?
「お前も、そう思うだろ?」
俺のキモチを無視して、アイツは俺に面と向かって、言いやがった。
何?あれか、俺がすぐにでも、「はい、そうですか。そりゃあ、イイですね、そうしましょう」なーんて、言うとでも思ったのか?え⁇
こりゃ、もう……
カットーーーッッ‼‼‼
俺は、久しぶりに、口を開いた…
読者諸君も、知りたがっていたであろう、禁断(⁈)の質問……。
その疑問を、今、読者に代わって、俺がぶつけてみたいと思う。
緊張ほぐしに、深呼吸____。
フーーーー。
スゥゥゥ……
「お前、だ__…」
「お主、誰なんじゃ?」
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