西の恋
中学に入ってから、2回目の転校。
季節は夏で、学年は3年。
私は父親の転勤の関係で学校巡りをしていた。
友達は全然出来ないし、学校の雰囲気に慣れることも出来ない。
私はそんな毎日の中でいじめにあっていた。
「にぃ~しぃ~むぅ~らぁ~さん」
また始まった、いつもの言葉攻め。
私はこの3人がとても嫌いだ。
私が少し勉強が出来るから、、、
ただそれだけで言いがかりを付ける。
そんな3人が私は嫌いだ。
そんなことを思っていた時だった。
「なぁ?転校生いじめて楽しい??」
っと学校一強い男の子が、声をかけてきたのは…。
「俺さぁ…」
「お前等見たいな奴キライなんだよねぇ~」
「なんつーの?」
「虫酸が走る?」
「まぁ、そんな感じだからさ…」
「ここから立ち去るか、俺になぶり殺しにされるか決めてくんない?」
「ごめんね? 秀君…」
「ほら!行こ!!」
っと、私をいじめていた人達のリーダー的存在の人が言う。
噂によると、リーダーである栗崎水塑は、最強と謳われる神田秀也が好きらしい…。
だから、もめるのではなく、逃げることを選んだのだろう。
私は神田君に守られた。
しかし、これが初めてではない。
私はこれまでに、もう一度助けられたことがある。
それは、登校初日だった。
私は登校初日で、事務室がわからなかったので、その辺にいた女の子たちのグループに尋ねた。
「あの…事務室ってどこですか?」
すると彼女たちは、ケンカ口調で私に返してきたのである。
「はぁ?」
「何お前?」
「ウザいんですけど?」
私はここで止まってしまった。
返す言葉がなかったのである。
すると、そこを通りかかった彼、、、
神田君は、「お前転校生?」と私に聞いてきた。
私は、それに対し、「そうです」と答える。
そうして、彼女たち、、、
ウザいんですけど集団ともめるのを避けてくれた…。
彼は助けるとか、そんなおこがましい事は考えていないのだろう…。
しかし、私が助かったことは事実。
そして今回も助かった…。
私は、彼に聞いた。
「なんで、、、」
「なんで私を助けるの?」
すると、彼は言ったのである。
「助けるのに理由がいるのか?」
「それに、俺は助けたわけじゃない」
「気にくわないことに口を出しただけだ」
「それが結果的に“助ける”という形になっただけ…」
「俺はいろんな意味で恐れられているからな…」
「少し話しただけで、人は逃げていく…」
「便利だろ?嫌いな奴を追い払うには…」
私は言葉が出てこなかった…。
彼は良い事を言っている。
そんなことはわかっている。
けれど、そんな彼の姿が、私の目には悲しく映った。
だからかな…?
「あなた、無理している…」
っと、私はお節介なことを言ってしまった。
するとである、、、
「うるせぇ!!!」
「お前にかんけーねぇーだろ?」
「俺が無理している?」
「そうだったらなんだって言うんだよ?」
彼が言うのは、もっともなことであった。
しかし、私は余計にお節介?を焼くのである。
「あなたのことが好きだから…」
「私はあなたのことが好きだから…」
自分でさえ知らなかった本当の気持ち…。
私は、それを本人に向かって言ってしまった。
その後、彼は言った。
「あぁ、そうかぁ、、、」
「俺も同じだ」
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「嘘!!」
「あなたが?」
「あぁ、、、」
そうやって始まった、
最強と最弱の恋の始まり、、、
私はこの生活に満足している。
主人公の本名が出てきてないですね…。
ちなみに、本名は、西村唯香です…。