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転生物語  作者: 木賊チェルシー
幼少期
8/29

第七話 少女乱入

「いい加減にしなさいよ‼」


 その怒声と共に乱入してきた少女は、リシルと少年達の間に入ると、少年達の方を向き、怒っているのがはっきり分かる鋭い声を出す。


「さっきから聞いていればっ!」


 少年達の方を【ギンッ】と睨むとまた怒声がその口から飛ぶ。


「あんたたち恥ずかしくないの!? 俺が落ちたのは試験官の所為だ? ふざけてんじゃないわよっ‼ あんた達が落ちたのは自分の所為でしょ! 人の所為にしてんじゃないわよ‼ しかもこんな年下の子に暴言吐こうとして……! 恥を知りなさい‼」


 リシルが『この子誰?』と思いキョトンとしていると、どうやら知り合いだったらしい先頭に居る少年が

『お前は黙ってろ!』と声を上げる。


「何言ってんだメイリーン! 俺が落ちる訳ないだろ! 学年トップだったんだ! お前は俺より下の2位だった! それに、落ちこぼれのキールですら受かってんだ! お前等が受かって俺が落ちるなんておかしいだろ!?」

「なに馬鹿なこと言ってんのよ! リバメント家は魔力の大きさとかだけじゃなく、他の事でも試験で見てるって言うのは皆知ってる事でしょ! 貴方が落ちたのは魔力云々とかじゃないわっ!

だから、そんなの関係無いでしょ!」


 リバメンス家の試験を受ける者達は、皆この暗黙のルールを知っていた。少年も例外ではない。

 その事を知っていた少年は、本当の事に言い返す言葉が無くなり、グッと押し黙った少年に続けてメイリーンと呼ばれた少女は言う。


「貴方は落ちたの! この事実はどうやっても変えられないわ! ちゃんと認めなさいよ!」


 押し黙っていた少年は絞り出すように反論する。


「俺のプライドにかけてそんなことは認めねぇ……! これじゃ負けるのと一緒だ‼」


 睨みながらも負けじとそう言う少年に、メイリーンはばっさりと言い捨てる。


「何言ってんのよ! そんな大人数で年下の男の子一人に押し掛けて置いて、そんな事言える立場じゃ無いでしょ! そんな軽いプライドなんて、有って無い様なモノよ!」


 メイリーンの言葉に、周りで成り行きを見ていた少年少女達が『そうだ!もっと言ってやれ!』と言う雰囲気が流れ始め、少年達には非難を思いっきり含んだ視線が突き刺さる。

 先頭の少年以外の子は、正当な事をはっきり言われ視線を泳がせていたが、非難の視線が刺さり始めると、それに耐えきれなくなった少年が、そのうち1人2人と散って行き、最後には、先頭に居た少年と普段から取り巻きをしている少年達しか残っていなかった。

 しかし、最後まで残っていた少年達だったが、周りからの非難の視線が強くなり、負けを認めざるならない状況になって。


「……………っ………くそっ!…………覚えてろよ…………っ!」


 ついに耐えきれなくなった少年達は、悪態をつくと散る様に去っていく。

 ふんっ、と腕を組み鼻を鳴らす少女にリシルは声をかける。


「…えっと…メイリーン……さん?」

「……は、はい!?」


 いきなり後ろから声をかけた所為で、驚いて声を上ずらがせながら返事をしたメイリーンに、リシルは頬笑みでは無く、笑顔を向ける。


「ありがとう。 貴女のおかげで助かりました。」


 今までで初めて見るような美少年の笑顔を真向に向けられたメイリーンは、呆けた顔をしたが、はっと気付き慌てる。


「…………っは!? い、いえいえそんな! お礼を言われるような事では……!」


 メイリーンは大勢の少年達相手に啖呵切った少女とは思えない位、顔を真っ赤にして慌てている。

 そんな、挙動不審なメイリーンをどうしたんだろうと首をかしげて見ていたリシルだったが、肩を〈トントン〉優しく叩かれ、叩かれた方を向く。


「リシル様そろそろ部屋に戻られませんと……」


 フェルマンのその言葉に少し残念そうな顔をしたリシルだが、最初の約束もある事だし『しょうがないな』と頷くと、メイリーンの方へ顔を戻す。


「メイリーンさん」

「は、はい」

「本当は、ちゃんとお礼したかったんだけれど、そろそろ部屋に戻らなければいけなくて……御免なさい。」

「いえいえ! 私が勝手にしただけですし!」


 年下であるのに丁寧なお礼を言われ、あわあわとしているメイリーンにリシルは苦笑する。


「僕の方が年下ですから、敬語なんて使わなくて良いですよ?」


 その言葉にメイリーンは『とんでもない!』と首を振る。


「本家のご子息にそんなこと出来ません!」

「僕は気にしないんですけど……」

「リシル様そろそろ………」

「分かっているよフェルマン……メイリーンさんちょっと」


 そう言って、リシルはメイリーンの手を取る。


「な、何……?」


 おどおどしているメイリーンに落ち着いて、とほほ笑むとリシルは術式を発動させる。


「……え?」


 青色の陣がメイリーンの手の平の少し上に現れ、光ったと思った瞬間、そこには……。


「青い……薔薇……?」


 メイリーンの手の上には、瑞々しい青い薔薇が残っていた。

 術を使うには、想像力が必要なため、この世に存在しないものは作れない。そして、この世界に青い薔薇は存在しない。



 メイリーンが茫然としている内にリシルの姿は忽然と消えていた





*****************************






「くそっ! あの餓鬼……覚えてろよ!」




少年のこの言葉を聞く者は居ない。











☆ここも編集完了!

あまり変わっておりませんが、所々「あれ?」と思う程度変えました!

まぁ、私の感覚でですが。

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