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転生物語  作者: 木賊チェルシー
幼少期
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第五話 リシルは有名

 やっぱり、色んな髪色の子が居るな~。


 フェルマンが思っていた理由とは少し違うものの、リシルは試験を受けた子供達に興味を持っていた。

 前世では絶対にあり得ない色が、花畑の様に今眼前に広がっているのだ……花では無く髪だが。

 しかも、全部天然の色だ。この世界では《髪を染める》という概念が無いからだ。

 前世でのリシルが生きていた場所では、黒髪に黒目の人ばかりだった。病院から外には出られなかったから、たまに見る外人さんと、テレビに出てくる外人さんくらいしか、自分とは人種が違うとはっきり分かる人は居なかった。


 しかし転生してからと言うもの、周りには前世ではお馴染みだった色を持っている人は滅多に居ない。居たとしても片方だけが多い。

 でも、転生してから余り沢山の人を見た事の無かった事もあってか、リシルは色んな色の髪や瞳を見れるのは結構楽しい。と思っていた。

 様々な色の瞳は、同じ色であっても色の濃さ等によって変わって見える瞳は綺麗だと。

 黒目ばかりの場所に居たからこその感覚ならではこその考えかもしれないが、リシルに分かるはずもない。


「やっぱり、良いな~」


そんなリシルを周りの者達とは少し違う目で見つめている者が数人…リシルはまだ気付かない。




++++++++++++++++




「ねぇ! あれってフェルマン・イスマール様じゃない!?」

「え?嘘っ、どこどこ!」


 初めに気付いたのは数人の少女達だった。その少女達が気付き、こそそこと話しては、一方に熱い視線を送っているのを見た周りの者達が『何だろう?』と、視線を送っている方向を見て気付き、また次の子達も…と少しずつ気付き始め、最終的には全員が気付き視線を送っている状態になっていた。


 そして、皆すぐに隣に居る一人の幼い男の子を見つけた。そして皆直ぐに気付いた。この幼い少年こそが、リバメンス家でも飛び抜けて強い魔力を持って居たため、天才だと言われているレオナール・ディア・リバメンスをも圧倒的に凌ぐであろうとまで言われているリバメンス家の末の息子。


 その魔力の大きさ故に、人前に出る事が出来ず、療養の様な生活を送っているのは、陣形術関係の者達にとっては当たり前の事であった。それは子供だからと言っても例外ではない。

 リシルの存在を知って居ても、細かい事までは知らないというのは、陣形術に余り関わる事の無い一般の民くらいであろう。

 各国の貴族や王族にとってこの事は一般常識になりつつある…そして本人はその事に、全く気付きそうにもない。

 そして、この場に居るのは陣形術士の卵たちである。そうなると、リシルの事を知らない者は居ない。どんな容姿を持っているかなどは全く知られて居なくとも、すぐ隣に術者としての階級が、上級の2位に上がる事が決まり、世間を騒がせている男が隣に控えているのを見れば分かってしまう事だ。

 そして、皆が尊敬や憧れの視線を注いでいる中に、数人の少年が顔を合わせ、一人の男子を筆頭にして視線の中心の二人に向かって歩いて行く。


 握手を求めるとか、そんな雰囲気ではない。


 その眼に宿るのは嫉妬・怒り…そんな負の感情が眼に宿っている。

 そして少年達は、リシルとフェルマンの4m程前に来ると止まり、怒りの表情をリシルに向ける。

 近付いて来ている事に、少し前から気付いていたリシルは、少年達の歩みが止まってから、ゆっくりとその少年達に視線と頬笑みを向け、話しかける。


「やあ、僕に何か用が有るみたいだね?」


 先ほどの好奇心に輝いていた瞳はなりを潜め、落ち着いた様子で大人びた表情を少年たちに向ける。そんなリシルに、少年達の一番前に立って居るといきなりこんな事を言った。



「何でだ!」



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