第十九話 迷子増量中
報告もなく、半年近く遅れて本当に申し訳ありません!
頂いた感想にも『続きを書いてほしい』や『楽しみに待つのだけは辛い』とありました。
本当に申し訳ない……でも、こんなに長い間待っていてくれた事に感激です。嬉しすぎて一人、身悶えしてしまいました。←作者気持ち悪い。
スランプにはまっていたのですが、抜け出せた気がします。
でも、完全にとはいっていないので更新がかなりゆっくりになりそうです。それでも頑張るので、この先もよろしくお願いします!
ぐったり。
この表現がまさにぴったりなリクとガトーを見てミルフィーネは、根性ないわねぇーと笑う。
「……あれだけ、人を着せ替え人形のように扱っておいてよく言うな」
「……そうですよぅ」
衣裳部屋から出た後、廊下を歩きながら男二人は泣き言を漏らしていた。衣裳部屋の中でドレスを見つめながらガトーとリクを見て、ニヤリと口を歪めた時のミルフィーネを二人は思い出し、身震いする。
あれはヤル気だったぞ、と。
リティーの制止がなかったらどうなったことやら。
そのヤル気満々だったミルフィーネは男二人の恐怖体験談に近いソレを聴きながらますます笑みを深くしていく。
この男の情けない姿やを見てのコトだったら、間違いなくミルフィーネにはSっ気がある。
「あんなの序の口じゃない?あれでへたばってる様じゃダメよ~」
そうさらりと言ってのけ、けらけらと笑うミルフィーネにリクとガトーは諦めた様に溜息を吐いた。
そして、ミルフィーネは先ほどの場所から少し移動した違う部屋の前で立ち止まる。
「私も着替えてくるからちょっとここで待っててね。下手に歩き回ると迷子になっちゃうからおとなしく待っててちょうだいな」
無駄に広いのよねこの屋敷と朗らか笑ってリティーと供に、扉の向こうへと消えていく背中を二人は何とも言えない表情で見送る。
完全に見えなくなったところで、リクは溜息の様な吐息交じりにぼそりという。
「……女性は恐ろしいです」
『リナも元気そうだし』とリクは心の中で呟きちらりとリナを覗き見る。
そこにはどことなく機嫌の良さそうなリナが……
「い、居ないっ!?」
「……いつの間にっ!?」
居なかった。
さっきまでは居たはずなのに……と、リクは呆然となる。
ガトーは眉間を揉みながら頭が痛い、と。
リナはよく消えることがあった。町の中や森の中、小さな村の中からですら消える。たまに走行中の馬車の中から消えたことすらあったのだから色々とおかしい。
あの時は本気でリナ以外の全員が焦ったものだ。『まさか、どこかで落としてきたか?!』と。
たいていの場合はいつの間にか戻ってきていることが多いが、今回はまずい。仲間の家と言っても、貴族の屋敷。それもこの国でも有数の大貴族の屋敷だ。
どこの貴族でもない少女が一人でふらついていたら不法侵入者として捕まる可能性もある。
ミルフィーネはガトーたちの事を家に連絡していなかったらしいし……。
「緊急事態だ」
「ぼ、僕が探してきますぅーーーーーー」
キリッ、とガトーが言ったのを台無しにする慌てっぷりでリクは走り去っていく。
「馬鹿かっ!? そんなことしたらお前も……」
そう叫んだ時にはリクの姿はなく「リナあぁぁーーーーーーーーーーーーー」という叫び声が、廊下に響いていた。
「…………」
走り去った方に向けて手を伸ばしたまま無言でガトーは停止する。まさに時間が止まったかのようにピクリとも動かない。息をしているのかすらも不安になる。
そんなガトーをミルフィーネが見つけたのはこの数分後であった。
「もう! そんな事があったんなら待たないで、すぐに知らせてくれればいいのに!」
「……すまない」
「自分じゃどうしようもない事が起こると動けなくなるの直した方がいいわよねぇ~」
「………本当にすまない」
ミルフィーネに発見されたガトーは揺すぶられ、それでも正気に戻れなかったせいで頬に綺麗なもみじ腫れを作ることになり、やっとのことで我に返った。
そして、すぐに事情を話し屋敷の中を探すことにした。
もちろん、ガトーだけでは確実に迷子になるのでミルフィーネと探すこととなった。
リティーは『あまり長く自分の持ち場を離れるわけにはいかない』という事で自分の仕事へと戻っていった。
「まぁいいわ。不審者として捕まる事は無いだろうし。リティーが連絡を入れてもう情報はいきわたってると思うし」
「……ずいぶん早いんだな」
「優秀なんだから、あー見えてね」
リティーだけじゃないこの屋敷の使用人は皆だ、と続けられた。
こんなの当たり前よ。そんな風に言うミルフィーネのせいでガトーは『貴族の屋敷では常識なのか』とか『メイドって強いんだな』と勘違いし、その勘違いに気づくのは一年後の貴族がらみの依頼を受けた時になる。
そして、『何とも非常識な屋敷だったんだなあ』とその際に呟くこととなる。
小説全体に修正を入れたりしました。
↑このせいで遅い更新がますます遅れてしまいました……。
これだけ待たせておいて、文章短いとか……本当にごめんなさい。
お怒りになっている方もかなりいるはず……。
でも、感想にきつい事を書かれてしまいますと、打たれ弱い作者がますますダメになるので、心の中で罵るだけで済ましていただければ良いなぁ~だなんて……思っています。ハイ。
と言うかお願いします。へこたれて次話の作成が……。
次話ではリシルが出せればいいなと思っています。ここの所数話はあまり出番ないので……主人公なのに。