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転生物語  作者: 木賊チェルシー
幼少期
21/29

第十六話 何でコレ?

今回頑張りました!


寝る時間削って!


 少し前に戻ってリティーがちょうど出撃した時間、そしてパーティー開始直前、リシルは二度目の人生で数回目の難関を迎えていた。


「……やっぱりこれを着るの?」

「その様です」

「……」


 リシルは戸惑った様子であるモノを見下ろしている。リシルの目の前に置かれているあるモノとはパーティー用の衣装だ。

 この世界では当たり前の服でもリシルにとってそうではなく、はかなり着るのに勇気がいる服がある。その筆頭がパーティーなどで着る衣装だ。

 見た瞬間コスプレと言う言葉が脳裏を過ぎる。

 オタク要素のある人ならリアルで見れる&着れることに喜ぶかもしれないが、生憎リシルにはその様な要素は全くない。

 どちらかと言えば、パジャマのようなものばかりで過ごしてきたのだ。


 前世も現在も。


 昔は普通の服を着る事なんてめったに無かった。今も、時々外へ出るときに着るのは締め付けがあまりないゆったりした物が多い。

 この世界での衣装はまさに《中世ヨーロッパの服》。

 一部の人が見たら真っ先に思いつくのはきっと〇執事。

 分かる人は分かるはず。



「リシル様に着こなせないもの等ございません」

「……目を逸らしながら言っても説得力無いからね」


 ちなみに今、リシルと話しているのはリシル専属筆頭侍女モルティナ・サフレー26歳、きっちりと青色の髪を後ろに一つでまとめ、水色の鋭い瞳には隠すように眼鏡をかけている(まったく隠せていないが)。リティーの上司にあたる人物だ。リシル一筋。リシルに危害を与えようものなら一国の主にですら牙をむく。

 ちなみに、一度殺りに行ったが、リバメンス家当主(セディー)が必死に止めたおかげで事なきを得た。

 はっきり言って最強のメイド様だ。


 基本装備無表情。


 ダメな所が探しても余り……全く見つからない完璧人だが、リシルの為となると非常識な事だろうがなんだろうが平然とやるため、周りの人間が苦労することが多々ある。


 おもにリシルの父(セディー)が。


「……しょうがないか?」

「何事も慣れでございますよ」


 『慣れてどうするのさ……』と呟きながらリシルはまた目の前の衣装に視線を落とし、溜息を吐く。

 客人達はもう全員到着してしまっている。どう考えても(時間的に)逃げ場はないが、覚悟を決めかねていた。


《ドレス》を着るための。


 ……リシルの母が朝嬉しそうに持ち込んだコレ。


 まさかの《ドレス》



 『これしか衣装無いから着てちょうだい。もー、私気合い入れてデザイン決めるの頑張っちゃったんだからぁ♪』


 満面の笑みでこの爆弾発言を言い放った。


    『あんた息子をなんだと思ってる!?

             息子に変な道に走らせたいのか!?』


 フェルマンの心の叫びでした。

 慌ててセディ-の元へこの緊急事態を伝えに行ったが帰って来ないのだ。足止めにあっている可能性有り。


「迷っててもしょうがないし……」


 時間がないのもあるが、寝間着の中にもワンピースの様なものもあるし、ズボンははいていたがドレスもそんな変わらないような気もする。……いけるか?


「……よし」


 いけるかも。


「お待ちくださいっ!」

「……あれ、フェルマン何でそんなボロボロなの?」


 リシルが決めてはいけない覚悟を決めそうになった瞬間、バンッと大きな音とともにフェルマンが扉を蹴破る様な凄い勢いで開け、部屋へと駆け込んできた。


「ま、間に合った……!」


 ゼイゼイと息を切らすフェルマンは、服の一部が裂け、体の所々に切り傷ができている。

 どの傷も部屋を出て行った時には無かったものだ。


「遅くなって申し訳ございません!メリエラ様の妨害に会いました。……セディ-様の所へ助けを求めることを、どうやら予想していたようです」


 何とも恐ろしい方だ。

 そう最後に言うと、フェルマンは身震いする。何か恐ろしい目にあった様である。


「メリエラが何か企んでいるとは思ったが……」


 さすがにこれはやり過ぎだな。

 リシルは突然聞こえた声の方向を見ると、厳しい顔をしたセディ-が扉を開けて部屋へと入ってくる所だった。

 モルティナは礼をし、すっと自然な動作で後ろへと下がる。


「父上!」

「リシルはかわいいな~」


 厳しくなっていた顔がリシルを見た瞬間でれっと崩れ、リシルの頭を撫でながら頬ずりをする。

 威厳が何処に行ってしまった状態のセディ-に、いつもなら『顔が崩れていますよ』と忠告するフェルマンだが今日は余裕がない様子で言う。


「そんな事してる場合じゃ無いでしょう!」


 焦りを隠せずにいるフェルマンをセディ-は見ると、一つうなずく。


「大丈夫だ。何かやらかすとは思っていたからいろいろ準備しておいたんだ」


 セディ-はリシルを抱き上げると優しい笑顔を息子へと向ける。


「安心しなさい」






この言葉は、実の所悪魔からの言葉だと気付くのは少し後のことである。







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