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転生物語  作者: 木賊チェルシー
幼少期
20/29

第十五話 前話の続き

かなり間が空いてしまいました。


申し訳ないです……。


なんか謝ってばかりですね私。


 


 金属同士のぶつかり合う甲高い音が静かな森にこだまする。



 大剣を軽々と振り回すメイド姿の小柄な少女と、双剣を手に、コートで姿を隠した女性がぶつかり合う。


 木の枝や葉が次々と剣に切られ宙に舞う。


 時々、木の幹が真っ二つに切られ綺麗な切断面を見せている。


 かなりの速さで斬りあっているため、人の形をした影と影が斬りあっているように見える。


 その影が森の中を順応無尽に飛び回る。


 その目で追うのがぎりぎりの、ハイレベルな戦いを魅入られた様に呆然と見守る男女三人組。



 戦っている二人が交差したその時、



 コートを着ている女性が深く被っていたフードが、メイド服姿の少女が起こした大剣の暴風により、はらりと外れる。

 メイド服姿の少女はもう次の攻撃へと移っていたが、接近するにつれて月明かりに照らされたコートを着た女性の顔をはっきりと視認した瞬間、急ブレーキをかけるとバックステップで一気に後ろへと後退する。

 後退した時についた片膝を地面につけたまま呆然と女性を凝視する。



「ふふふっ、強くなったわね♪ 前より断然剣筋が良くなってるわ~」



 コート姿の女性の声を聴いた瞬間、少女は頬をひきつらせて悲鳴のような声で名前を叫ぶ。



「ミルフィーネ様ーーーーーーーーーーーっ!?」



 どうやら知り合いの様である。









==========================









「ごめんね?謝るからそんなに拗ねないでちょうだい」


「拗ねてなんていませんっ」



 頬を膨らませ、ふいっと顔をそらすリティーに向かって謝っているフィー……正式名では、ミルフィーネ・ネル・リバメント。

 歳は20で、リシルの実の姉である。

 悪気なんて雀の涙ほども無い様に笑うミルフィーネを見て、ますますリティーはふて腐れている。

 ふて腐れていると言うより、自分自身が仕えている主家の長女に剣を向けてしまった事での自己嫌悪中と言える。

 気付かなかったとはいえ、リティーは基本が真面目なのでかなり応えているようだ。

 今回の騒動はこうだ。


ミルフィーネの元にパーティーの招待状が来た。 →  友人OK?じゃあ三人を連れて行こう! →  友人を連れて行く事を、手紙で連絡し忘れる。 →  その後連絡していないことに気づくが、面白いことが起こりそうだと結局しない。 →  本家の方は友人OKと手紙に書いたものの、返事が来なかったのでミルフィーネ一人で来ると思い込む。 →  パーティー当日、リシルを狙う者やパーティーに来た大物を狙った刺客が紛れ込む可能性ありのため、屋敷の者は皆ピリピリしている。 →  パーティー開始寸前屋敷に近づいてくる者たちを感知、一人はコートで姿を隠した不審な四人組。 →  ミルフィーネは一人で来ると思われているため、この一団がミルフィーネの連れだと気付く者無し。 →  あやしい!とりあえず警告して、それでも退かなかったならば捕まえれば万事解決! →  リティー出撃 →  戦闘のさなか、こうなることを予想してコートを着て、姿を隠していたいたミルフィーネだが、フードが取ればれる。 →  不審人物の正体に気付いたメイド姿の小柄な少女……もといリティーの悲鳴。 →  今の状況。



 ミルフィーネの予想的中。

 ちなみに、不審者が屋敷への侵入を阻止するために屋敷の者が出てくると言うのがミルフィーネの予想である。

 誰でも予想できるなんてことは言ってはいけない。


「楽しかったわ~。 最近あんまり強い奴に出会えなかったし~」

「……はぁ」

「ため息吐くと幸せ逃げちゃうわよ~」

「誰のせいだと思ってるんですかっ」

「おほほほほ。 さぁ?誰のせいかしら~」


 リティーが何かを諦めた様に項垂れているのを、ミルフィーネが面白そうに見ている。

 一方、仲良さげ?な二人の様子をミルフィーネの連れであるガトーとリクとリナはこそこそと話していた。


「メイドの服を着ているという事は召使いですよね?召使いがいるという事はフィーさんの家は裕福なのでしょうか……」

「……(こくこく)」←リナ

「このメイド服の生地、かなりいい品っぽいぞ。

しかも、こんな森の中じゃ家とかの維持費もけっこう掛かると思う」

「……結局どういう事なのでしょうか?」

「……(キョトン)」


 すっかり思考が煮詰まってしまった様で、ガトーとリクはしきりに首をひねっている。

 リナはいつも道理だ。けれど色々疑問には思っているようで時折ミルフィーネの瞳をじっと見つめてきている。

 その訴えるような視線にミルフィーネはにっこりとほほ笑む。


「私の実家に着けば分かるからまだ内緒~」


 絶対教えてくれなさそうな雰囲気の笑顔で言い切るミルフィーネを見た男二人は如何したものかと顔を見合わせ、リナはこてっと首をかしげている。


「ミルフィーネ様……もしかして彼らに何も言わずに連れて来たんですか?」

「あ、ばれちゃった?」

「もしかしなくてもそうみたいですね……」


 生温かい目でミルフィーネを見た後、同情の念がこもった眼差しを三人へと向けると簡潔に言い切った。


「諦めってやっぱり肝心ですよね」


 男二人は、そうですねとばかりにうんうんと肯き、『分かってくれる人が居た』と嬉しそうにしている。その二人を見ながらリナはますます疑問符を浮かべている。

 見た目だけは良いミルフィーネは、もちろんのこと冒険者に人気がある。しかもかなり強い。周りから見ればミルフィーネと組んでいる三人は羨ましがられる事が多い。


『中身と見た目が必ずしも比例しないのを知れ!』と、羨望や嫉妬の眼差しで見てくる奴に声を大にして言いたいと何度思った事か……。


 もちろんガトーとリクからその他の冒険者たちへである。


「大丈夫ですよ。そんな心配するような事はありません。ちょっと特殊なだけです。ミルフィーネ様を見ていれば分かると思いますが……」


 リティーは、ちらりとミルフィーネの方へ視線を送ると、三人に視線を戻し綺麗な笑顔で言い切る。


「ちょっと一般常識からずれた人たちが自然と集まっているだけですよ」


「「……いやいやそれは大丈夫って言わないと思う(思います)」」


「……?」








 ミルフィーネの連れ三人組が驚きの真実を知るまであと少し。








次は早めに更新できるように頑張ります!


頑張りの成果が出るとは限りませんけど……。


間違いの指摘いただきました……本当に助かります。




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