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転生物語  作者: 木賊チェルシー
幼少期
15/29

番外編 親馬鹿?


「貴様……、まだ私に仕事をさせる気かっ!」



 怒鳴り声が部屋の扉をびりびりと震わせながらすり抜け、廊下を通り外にまで響き渡る。


 

 この部屋には陣形術によって防音の術式が掛けられているのだが、怒鳴っている男の声に魔力が混ざったせいで術式を突き破り、部屋の外へと漏れてしまっている。

 普通なら混ざったとしてもそんな事は無いのだが、この声の主は普通ではない為、常識は全く通用しない。


「セディー……、仮にも一国の主に向かってそんな口きいていいと思っているのか?」

「問題無いわそんなモン。 むしろ問題なのは愛しの妻と息子に会えない事だ! それ以外に何が有る‼」

「……いや、そんなモンって、下手したら反逆罪になるセリフだぞ?」



 自分自身を一国の主と言った男は、呆れたと言わんばかりの表情でやれやれと首をふる。

 その呆れた表情のままその目で語っていた『この家族大好きっ子が』と。

 

 この城の奥に有る部屋。そう、口論を繰り広げているこの部屋には今、男が二人いる。

 怒鳴った男が、セディー・リラ・ル―メル・リバメンス公爵【上級の1位】。リシルの実の父である。

 呆れ顔の男が、ゼレノス・ルト・レーネ・ヴォルデニス国王陛下。リシルの家が使えているヴォルデニス王国の現国王である。

 そしてこの部屋は王の執務室。

 そして言わずとも知れただろうが、リバメンスと付く名前の公爵はリシルの父。王の幼馴染兼王の相談役みたいなもの。


 しかしその相談役の前には〝一応〟が付く。


 重要な仕事を押し付けられる事多々あり。

 相談役とは関係ない仕事を押し付けられる事、これも多々あり。

 最近家に帰れていない様子……、そろそろ我慢の限界が来ているらしいとはこの国の宰相談。


「可愛いいざかりの息子に会えぬこの気持ちが貴様に分かるというのかっーーーーーーーー!」


 最後に(怒)とでも付けておこうか?

 普段の穏やかな雰囲気を、周囲へと振りまく様子はとっくの昔に消え、黒いオーラと怒りに煽られた魔力が体から噴き出している。

 最初は切羽詰まったか表情をしていた。その次は表情らしきものが何もうかがえない無表情に。そして次はその無表情のまま黒いオーラを周りに纏いはじめた。そのままの状態で落ち着いてはいたが、これは押さえ込んでいただけで、ついに爆発してしまったらしい。

 人生稀にみる怒りをあらわにしている幼馴染を見て王は一言ぼそっと呟く。


「親馬鹿」

「ふんっ! 何とでも言うが良い‼ リシルは可愛いんだぞ!?」

「お前、末っ子以外にも子供いるだろう? 前はそんなでは無かった筈だが?」

「………」

「……どうした? 急に黙って?」


 親馬鹿の自慢話でも始まると思っていたゼレノスは、部屋の床に視線を落とし、急に大人しくなったセディーを訝しげに見つめる。沸点がかなり高いため、本当にめったなことでは怒らない幼馴染であるセディ-が一度怒るとなかなか冷めないのはもう人生の中で数回経験したことである。

 そんなセディ-が、怒っている最中に黙り込むなどあるわけがないはずなのだ。


「……あの子たちは何と言うか、……その、……幼い頃から冷静と言うか、……クールと言うか、……ドライと言うかね……」


 そして、何かから目をそらす様に呟き始める。


「……つまり?」


 さっさと言えと促してくる幼馴染に若干涙だ潤んだ瞳を向ける。相変わらず不公平だと何度友人たちに罵られただろう整った顔に悲しそうな表情をのせたその姿は女性なら年代かまわずコロッと落としそうなものだ、男性も顔を真っ赤にさせるぐらいのすさまじい刺激物。しかし、さすが幼馴染。もうベテランともいえる長い付き合い。

 何とも思わず平然と話の続きを「ほらほら」と促す。

 散々促されてやっと絞り出したのは一言であった。


「昔から冷たいんだ……」

「……(それをそこまで引っ張るか)まぁ、確かにお前の息子たちは我の見た限りでは甘える様な奴には見えなかったな……。あとな、涙目になるなよ。いい年こいて。いくら年齢不詳だからって気持ち悪いぞ」


 魔力の量が多ければ多い程老化が遅い。だからと言って200年も300年も生きる訳では無く、普通の人よりちょっと長生きする程度だ(この“ちょっと”の大きい小さいは魔力の量で変わる)。

 死ぬ時まで若い姿(20代後半)を保つ奴もいたらしい。

 その人物は、300年前の世界最強の男だったとか……。


 ちなみに、普段のリシルの父は黒髪に金色の瞳を持つ柔らかな雰囲気を纏う美形の男。歳は20代後半の姿に見えるが、実年齢は40をとっくにこえている。

 長男が23歳というのを考えれば当然かもしれないが……見た目で歳を当てられた事は無いらしい。

 美形なら何でも許されるものだ。いい歳で涙目になるのもその許されることの1つではあろうが、幼馴染には効かなかった。

 ただそれだけ。



「でも今となってはどうでも良いんだ! いくら冷たくても私にとってはかわいい子!」

「……良かったな。さぁ仕事だ仕事。この書類頼んだぞ」



 セディーの目の前にどさっと置かれたのは分厚い辞書ほどもある書類の束が7つ。まさに山の様だ。


 これを見たとたんセディーはワナワナと震えだす。


 そして、ちゃぶ台あったらひっくり返しているのではないか?というほどの勢いで絶叫する。



「話を聞いて無かったのか貴様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー‼」



 この叫びは、廊下を通り抜け城中に響き渡ったらしい。





☆このお話も編集しました!

文章が増えたのでよろしくお願いします!

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