茶色のティーセットと肉まん
何故、お母さんの名前がアーノルドの叔父様の肖像画の裏に。
これはお母さんにあげるために用意されたのか?
「アーノルド、ごめんね言いにくい事を聞くようだけど。叔父様って亡くなったの25年前って言ってたけど、アーノルドの歳ぐらいだったって事よね。何で亡くなったの?」
「。。。。叔父上は、塔に忍び込んだ刺客に刺されたと聞いた。その年は季節外れの雪が降って、収穫間近だった穀物が軒並みダメになって、叔父上のせいにされたんだ」
私が青ざめた顔をしているのに気がついたのか。
「大丈夫、僕は生まれてすぐに国外に出された事になっていて、ここにいる事を知っているのは俺の家族、赤ちゃんの時から世話をしてくれる侍女と家庭教師だけだから。安心して?」とアーノルドは言ってくれたけど、彼の表情も硬い。
「もう、上に行こうか」とアーノルドだがクローゼットから出ようとするので、慌てて彼をとめた。
「ちょっとこのティーセットをリビングに持って行っていい?」
リビングについて砂時計をチェックすると砂はまだ半分残っていた。
また熱いお湯をティーポットに注いだ。
落ち着いた所で茶色のティーセットを見ながら、今朝マリ姉に聞いた事をアーノルドに話した。
「。。。と言う事は、このティーセットを使えば、俺もユリの世界に行けるかもしれないのか?」
「多分。叔父様がおばあちゃん家にいたって事は」
アーノルドの方を見ると、アーノルドの目からポロポロと涙が落ちて来た。
「俺は外に出られるってことか?」
それを見て私の胸がぎゅと痛くなった。
「ねえ、行こうよこれから、私の世界へ。お湯もまだあるし。茶葉の予備もあるし。私は一旦向こうに帰るから、やってみて」
アーノルドにいつも、私がやっているやり方を教えて。リビングにあったキャンドルを乗せてあるトレイにティーセットをおいた。
「出来なくても、また明日来るからね。」と言って私はティーポットの蓋を開けて冷まして行く。砂時計の進みが早くなって、気がついたらキッチンにいた。
私はそのまま身じろぎもできずに、キッチンにあるテーブルを凝視していた。5分経っても何も起こらない。ダメだったかと思った瞬間、アーノルドが目の前にいた。
「本当にこれた」
「アーノルド!!!!」私はついアーノルドに抱きついてしまった。
「あ!ごめん!」即座に我に帰ってアーノルドを離した。
アーノルドは耳を真っ赤にしながら、大丈夫だとつぶやいた。
こうしてはいられない。すぐにお湯を沸かし、ティーポットに追加のお湯を入れた。
アーノルドは興味深そうにキッチンを見回している。
「アーノルド、何したい??」
「そんな事聞かなくてもわかるだろう。コンビニに行きたい」
外に出られるのかわからなかったけど、とりあえず出かける準備を速攻で終わらせる。アーノルドの格好は黒パンツにシャツだったが、一応お父さんがおばあちゃん家に置いて行ったセーターを着せる。
アーノルドは王子様オーラが出ちゃってるからな。
お財布を持って、アーノルドに言う。
「コンビニへ行こう!」
外には普通に出られた。そしてコンビニまで近くてよかった。
とりあえず自動ドアにびっくりして動けないアーノルドの手を引っ張って、コンビニの中に入り。カゴを持たせる。
「もう気になる物は何でも入れていいから。時間はないから後で説明するから」
アーノルドは圧倒されてたのか、初めは見てまわるだったけど、スイートポテトを見つけたら、あるだけ全部カゴに入れた。
本当に好きだったのね。
砂時計の時間がどれだけ残っているのかわからないので、私も適当にお菓子とかかごに入れて、レジに行く。レジでも肉まんを買ってアーノルドに渡す。
「暖かい方が美味しいよ」
「あちっ!何でこのパンはこんなにふかふかなんだ。中の肉もうまい」
おばあちゃん家に帰りながら、肉まんを頬張って帰る王子。
絵面的にいいのだろうか。
キッチンについたら、砂時計の砂がちょうど終わりかけていた。
私は慌てて買い物袋をトレイに乗せる。
「「また明日!!」」
2人で叫んだと同時に私の目の前からアーノルドとトレイが消えた。




