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紅茶が冷めてしまっても

いよいよここまで来ました。最終話です。

そこから全てが1週間で終わった。


どうやら、アーノルドはマリ姉に貴金属を扱うバイヤーを紹介して貰う約束をしていたらしく、早速資金を作って来た。


お父さんは商社マンとしての手腕を限りなく発揮して契約をまとめてくれて、あっという間にコンビニはアーノルドと私のものになった。


「結婚式には戻ってくるから、早めに日程決めなさいよ」と言ってマリ姉は大量のお土産と共にイギリスに帰った。もちろん、車で空港まで送って行った。


お父さんもあまりに無理矢理お休みをもぎ取って日本にやって来たので、上司が怒ってると慌ててニューヨークに帰って行った。


私も大学に行かなくてはいけないが、毎日ではないので今日はアーノルドとコンビニに来た。


新オーナーという事で改装のため臨時休業にしていたのだが、明日からまたオープンする。


「アーノルド、これから私達でこのコンビニを切り盛りするんだよね。大丈夫かな?バイトさん達はそのまま残ってもらったけど。て言うかコンビニを経営しなくても、建物さえあれば向こうに転移できるし、いいんじゃないの?」


「いや、コンビニはちゃんと続けるよ。俺に考えがあるんだ。そして強力な助っ人も呼んだ」


コンビニの奥から出て来たのはお姉さんだった。

「店長の田中梨花です。オーナー、よろしくお願いします」


「お姉さん。。。やっとコンビニの仕事から解放されるって大喜びだったのに」


「数日家にいたらもう飽きちゃったわ。文句言いつつ、この仕事が好きだったみたい」


とても心強いが、バイトさんももっと沢山雇って無理のないシフトで働いて貰わないと。


アーノルドは私の手を引っ張り、バックヤードに行く。


「流石に休憩室の扉だと、梨花さんやバイトのみんながが間違えて向こうに行っちゃうかもしれないから、ストックルームに扉を設置したよ」


あの有名な未来から来たロボットの話に出てくるドアに似たものがストックルームの奥にあった。


それも気になるが。ストックルームの冷蔵庫の中に大量に積まれたケースが気になる。


「アーノルド、あの箱にスイートポテトとモンブランって書いてあるように見えるんだけど。あんなに発注して、賞味期限切れになっちゃう」


「大丈夫、俺には考えがあるって言ったろ」


そう言いながら、扉を開けると。


お義父様、お義母様、お義兄様たちがコンビニスイーツを囲んでお茶会をしていた。


「あ、アーノルド。あのスイーツを売る窓口が完成したからもう販売できるぞ」


元レストランの入り口付近に駅の売店のようなものが出来ていた。


「こっちの世界でもコンビニをオープンする事にしたよ。色んな美味しいものや便利な物を提供して、俺がこの世界でも認めて貰えるようにするんだ。そうすれば魔女の血は不吉なものではなく、人々の役に立つ物を運んでくるって思ってもらえる」


アーノルドの顔は希望に満ちて生き生きしてとても格好良い。


「そうなると良いね。私も全力で手伝うよ」とアーノルドににっこり笑いかけると。


アーノルドは真剣な顔をして、私の手を握って言った。


「ユリ、俺が25歳になる日に結婚してくれないか?ユリと一緒に暮らして行きたいんだ」


「私もアーノルドと暮らしたい。アーノルドは今年25歳になるのよね、いつが誕生日なの?」


「明日」


「普通に無理でしょ。明日、私は大学あるし」


アーノルドはちょっとしょんぼりしてしまったので、みんなに聞こえないように囁いた。


「明日はすごいプレゼントを用意するから、期待しててね。時間がないから、プレゼントにはリボンをつけただけになるかもだけど」


アーノルドはちょっと考えた後、上機嫌で私を抱きしめてきた。


結局、結婚式は3ヶ月後の私の誕生日にする事になり、コンビニの経営、卒業論文の仕上げ、結婚式の準備で目が回るような忙しさだった。


コンビニのリンデン国支店は大繁盛した。しかし、アーノルドの業績が認められたのはコンビニスイーツではなく、コンビニコスメだった。


お義父様が国民に魔女の奇跡で王妃が生き返ったと発表し(元々生きてたけど)、私がコンシーラーでお義母様の頬の傷をかくしてお化粧をしたら、更なる奇跡とが起きたと大騒ぎになり、不吉な魔女の話は吹っ飛んだ。


これでアーノルドも堂々と外に出られるようになり、迫害から逃れていた魔女の末裔達も徐々に国外から戻って来た。


私達の結婚式にはおばあちゃん、マリ姉、お父さんと婚約者さん、梨花お姉さんとアンさんが来てくれた。アーノルドが本当の王子様と知って、みんなびっくりしていたけど。

アンさんは久しぶりにこちらに来てとても嬉しそうだった。


「おばあちゃんがボケたと思ってたけど、全部本当のことだったのね」


私達は大好きな人達に囲まれて最高の結婚式をする事ができた。


そして結婚式の後、アーノルドと私はまた塔にやって来た。

紫と茶色のティーセットで2人でゆっくりアールグレイティーを飲み。お母さんとエリック叔父様の写真に向かって結婚の報告をした。写真の前にはあの金の腕輪とお花を飾った。


今日はティーコージーを使わない。


もう紅茶が冷めてしまっても、アーノルドは私の隣にずっといてくれるから。



やっと書き終わりました。このエンディングは始めから決めていたのですが、途中は思いつくままに書いたので、読みにくい所があったと思いますが、最後までお付き合いありがとうございました。

この話を書いている時にMrs Green Appleさんの「Doodle」という歌を聞いていたのですが。歌詞がアーノルドの事を歌ってるようでこの歌のような力強い主人公になったと思います。

次は歌の歌詞から想像した話を書いてみたいなと思ってます。



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