いちご大福と約束
主人公の名前を間違えて書いていたのに気がついて、書き直しとかしてました。念の為と思い物語の日付をチェックしていたら、やっぱり大晦日まで一日足りなかった。餅アイスとスイートポテトの間に書かれていない日があると思ってください。。すみません。
(話はユリとアーノルド別れたところに戻ります。)
アーノルドが帰った後、ユリは椅子に座り込んだ。
「ま。。間に合った」
家の外で時間切れになったら、どうなってしまうのだろう?
そんな事を考えていたら、沢山の袋を抱えたマリ姉が帰ってきた。
「コンビニの店員さんが。あんたが美形の外国人さんと買い物に来てたって言ってたわ。アーノルドさんだっけ?まだいるの?」
マリ姉、こんだけ買い物してもまだコンビニに行くんだ。
「もう帰っちゃった。明日来るかもだけど」
「あら、いいじゃない。お国に帰らないの?一緒に日本の大晦日とお正月過ごしてもらったら?」
「それもいいね、聞いてみる」
それから、マリ姉の買って来た食料品を下ごしらえして冷蔵庫に入れたので、明日の準備はバッチリ。あとはお節を午前中に取りに行けばいいだけ。
アーノルドはあのスイートポテト食べているんだろうか?と思いながら、家に帰った。
次の日の朝は電話で起こされた。
「もしもし。。。」
「何、まだ寝てたの?もう7時よ!マリなんか電話にも出ないし」
「おばあちゃん、冬休み中はそんな早く誰も起きないよ、今日は何時に帰ってくるの?」
「それが予定してた飛行機が悪天候で欠航になっちゃって、明日まで空席がないんだって。だから帰るのは年明けになっちゃう。ホテルもとるの大変だったし、本当に困るわ」
「それは困ったね。まさかのホテルで年越し」
「お友達もみんな困っちゃったけど、どうしようもないわね。お節のピックアップは9時だから忘れないでね。マリには任せられないし。お雑煮は私が作るわ。美味しいお餅も買ったのよ」
「わーー楽しみ。気をつけてね。あ、明日お友達呼ぶかも。地元に帰らなくて1人だから。おばあちゃん、良いお年をお迎えください。また明日ね」
「あら、賑やかになっていいわね。お友達に会えるの楽しみにしてるわ。ユリちゃんも良いお年を。新年に会いましょうね」
電話を切った後、マリ姉にメッセージを送ったが、既読にならなかったので、着替えて家を出た。
もう今年も終わりか。まさか年の終わりにこんな事が起きるとは元カレと別れた頃は想像もしてなかったな。
アーノルドの事を考えるとニヤニヤしてしまう。もし一緒に新年を迎えられたら嬉しいな。
無事にお節も受け取り、今年大変お世話になった(特にこの1週間ほど)コンビニにも寄る。
「最近、皆勤賞ですね。今日はあの美形の彼氏さんいないんですか?」とすっかりお顔馴染みになった店員さんに聞かれる。
「彼氏じゃないし、友達だから」
「えーー、お二人ともすごくお似合いでしたよ。”まだ“お友達って事ですよね」って笑いながら言われた。
「もう、揶揄わないでくださいよ」
ちょっと顔が赤くなる。
「あらあら、いちごみたいになっちゃって、いちごと言えば、いちごホイップ大福が入荷されたわよ。いつも人気ですぐなくなるからどう?」
お、それは良い。マリ姉もイギリスであんこが苦手な人でもいちご大福は好きな人が多いって言ってたし。
「また夜に来るかもしれませんが、会わなかった時の為に、良いお年をお迎えください。来年も宜しくお願いします」
「こちらこそ、来年もご贔屓に」
そのまま、おばあちゃん家に行ったら、マリ姉がキッチンでコーヒーを飲んでいた。
「お母さんから数回電話が来てたみたいだけど、怖くて折り返ししてない。何だって?」
「おばあちゃんの飛行機が欠航になったから、明日帰ってくるって。その歳でまだおばあちゃんが怖いの?」
「歳は関係ない、親はいつでも怖い。孫には甘いけど、娘には厳しいのよ」
真顔で言われたので笑ってしまった。きっとそれはマリ姉だからおばあちゃんは厳しいのでは。
「てことは、自由時間が増えたわ。アーノルドさん今夜来るって言ってた?」
「まだ聞いてない、午後に会うからその時」
「今時、スマホも持ってないの?どの国から来たんだか」
「い。。いや、ちょうど壊れちゃったみたいで」
「ふーん、じゃあまた100均に行ってくるわ。お正月入ったらお店は2日まで開かないし。そろそろお土産ショッピングのラストスパートしないと」
まだ買うんだ。。帰りも持ちきれないのでは?私が空港に送っていくのだろうか?と思いつつマリ姉を見送る。
今日はやっぱりアールグレイかな。
まだ時間があるので、2階のお母さんの部屋に行く。今はマリ姉の倉庫になりつつあるけど、アーノルドの叔父様のものが何かないかなと思って。
もう30年近く前の事だし、あまり期待はしてなかった。
そう言えば、何であのティーセットの箱にアールグレイの缶が入っていたんだろう。あれは賞味期限も切れてなかったし、比較的新しかった。だから、私もマリ姉のお土産と思ったんだ。
あの箱が置いてあったテーブルの下を見たら。写真立てが裏返しになって落ちていたので拾ってみてみると。
古いカラー写真の中で、アーノルドに似た青年と若い母が笑っていた。
15時になったので、いちご大福とアールグレイティー、予備のお湯と茶葉、さっき見つけた写真立てをトレイに置いて。砂時計をセットする。
目を開けるとアーノルドの他に、お父さん世代の男女がいた。
「え??あ、え?ごめんなさい、時間間違えた?」
アーノルドは慌てる私の手を取って、
「落ち着いて、大丈夫だよ。間違えてないよ。ユリ、来てくれてありがとう。紹介したい人がいるんだ。ユリ、僕の両親だよ」
両親。。アーノルドのお父さん。
こ。。国王陛下??お母さんは亡くなったんじゃなかったの?
理解が追いつかない私を見て、アーノルドのお父さんが言った。
「リンドン国王のアリスター・リンドンだ、こちらは妻のキャロライン。ユリ殿に会う事ができてとても光栄に思う」
アーノルドは私の手を握ったまま、ソファに座らせてくれて。そこからアーノルドのお父様の話が始まった。アーノルドは昨日聞いていたらしいので落ち着いて聞いている。
アーノルドを産んだ時に亡くなったとされていたお母様は本当は不吉な色を持って生まれて来たと生まれてすぐ命を狙われたアーノルドを庇って顔に怪我をし、亡くなった事にして、アーノルドが赤ちゃんの時から侍女としてずっとお世話をしていたそうだ。お父様も家庭教師として、アーノルドの側にいたと。
アーノルドは泣きそうな顔で私に言った。
「俺はね、生贄でも何でもなかった。父上と母上に命をかけてずっと守ってもらってたんだ」
私はついアーノルドを抱きしめて泣いてしまった。
お父様からスッとハンカチを出されて、我に返った。アーノルドのご両親の前で息子に縋りついて泣くなんて。
「お。。お茶飲みますか」
まあ問題はいちご大福が2個しかないこと。まあ大きめなので、私とアーノルド、ご両親のお二人でシェアする事に。
お茶はいっぱいあるし。
「美味しい!ユリの世界のスイーツはすごいのね、昨日アーノルドに貰ったスイートポテトも物凄く美味しかったわ」
「俺だって楽しみにしてたのに」
「アーノルドはまた買ってくれば良いだろう?金貨渡しておくから、余分に買って来てくれないか?」
なんか親子でコンビニスイーツ争奪戦が始まったし、コンビニで金貨は使えない。
お母さんとエリック叔父様の写真を2人に見せたら、アーノルドのお父様は顔をくしゃっとさせて、写真を撫でた。
「これがエリックのユキさんか、ユキさんは今何を?」
「母は4年前に病気で亡くなりました」
「それは残念だ。向こうでエリックと大好きだったアールグレイティーでお茶会をしてると良いんだが」
しんみりした空気になってしまったので、それを吹き飛ばすように、私はアーノルドに聞いた。
「あ、アーノルド。今夜、うちに来ない?マリ姉が一緒に年越ししようって」
「え、行きたい。でももうお湯もお茶もないよね。」
「大丈夫よ、私がそれまでに持ってくるわ。ユリ様、このお湯を入れてる容器をお借りしても良いかしら?」
「もちろんです、あとユリって呼んでください。王妃様に様って言われるのはちょっと」
「あら、私は今は侍女ですからね。私の事もキャロラインって呼んでくださいね。まあ、お義母さんでも良いわよ」
「私の事もお義父さんて呼んで良いぞ」
「父上、母上、気が早いです!!!!」
アーノルドが顔を真っ赤にして言った。
私も釣られて顔が赤くなってしまった。
そろそろ時間切れだ。
「アーノルド、じゃああとでね」と言って、私は赤い顔のまま帰って来た。
アーノルドのご両親はちょっとお茶目でした。金貨で苺大福はいくつ買えるのだろうか?




