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8嫁 ルクシュナ外伝 後世の評価

『ルクシュナ(B.H12~A.H70)は、理想帝ジャン・ジャック・アルベールの妃。


 A. H4年結婚。


 オルジェ大陸の遊牧民族アルホンスの大酋長の娘として生まれ、A.H2年、オルジェ大陸で発生した〈死霊王の難〉を解決した理想帝への〈大臣従〉を機に、アルホンスからの服属の証として同帝の下に嫁いだ。


 先天的予知能力『先視』に優れ、理想帝の下に嫁いだ後は、その能力を活かし、現在でいうところの『予防屋』として民のために尽力した。彼女によって危難を逃れたり、未来を開かれた者は多く、後世のガイザスによる名著『流れ星の予防屋ウェルザ』は、彼女をモデルにしたものと言われている。


 元は彼女を慕う民が没後のルクシュナを偲ぶために始めた、精霊灯を消し星空を眺めて黙祷する行事――『黒姫様祭り』は、無病息災を願う民間信仰として各地に残っている。


 また、ルクシュナは、現代の天文魔跡学の前身となる『星視』にも優れ、当分野の研究においても様々な功績があった。


 代表的なものとしては、当時、混乱していた北半球と南半球の魔跡的研究を統合し、近代合理主義的魔跡学の扉を開いたといわれる名著『東西星視要綱』の執筆が挙げられる。


 さらに、理想帝によって制定された、プラネタリウム暦(由来不明)も、彼女の手によるものと言われ、現在でも改良して使われているほどの精度の高い暦として、大いに評価されている。』


  (アルビス モレーヌ キャンカム 編 『詳細 世界史人名事典』より抜粋)




 これであなたのも玉の輿!?


 月の女神イシュ☆タリアが送る、黒姫様の星座まじない♡


 初めまして今日から、ムーンの占いコーナーを担当させてもらうことになった、イシュ☆タリアちゃんですっ!


 ねえ、ルクシュナ様って知ってる?


 え?


 知らないって?


 でも、黒姫様なら知ってるでしょ。


 そう。昔にいたとっても偉いお姫様。


 黒姫様には、お星様やお月様から力を借りて、ステキな未来を引き寄せる、すごいおまじないが使えたんだって! 


 そのおまじないで、黒姫様はあの世界一の王子様――理想帝と結婚できたって言われてるの。


 なんと今日は、私、イシュ☆タリアがそのトクベツなおまじないを、あなたにだけこっそり教えちゃうね!


 心を込めて星空を見上げながらこのおまじないをすれば、ハイパームーンライトスターパワーが、あなたを素敵なカレシとの出会いに導いちゃうかも!?


                                              』

(月刊乙女ムーン 占いコーナー)



『――と、このように、我々のご先祖様であるルクシュナ妃の名を騙った、迷信じみた書物も多数出版されており、これらを偉大なる彼女の偉業を汚すものとして排斥せよと息巻く御仁もおられるのですが、私は賛成しかねるのであります。


 と、申しますのも、ルクシュナ様の説かれたお考えの中でも、もっとも重要なものの一つに寛容の精神というものがございまして、たとえ我々の気に食わないような考えを持つ人々がおられてでもですね、すぐに『けしからん』とどやしたてるのでなく、なるべく受け入れる方向で考えようというのが、ルクシュナ様のご遺志に適うのではないかと、私は愚考するのです。


 その寛容の精神でルクシュナ様が東西民族の融和を進められたからこそ、今もこうして、海を隔てた我々が、あれやこれやの問題がありながらも、言葉では一口に説明しようもない一体感のようなものを有しているのでありますからでして。


 そういった視点で見てみますとですね、それらの迷信的な書物も、ある意味で、人々のルクシュナ様への親しみのあらわれともいえる訳でございまして。悪意あるようなものはともかく、民間の雑誌のお遊び記事のようなものはですね、笑って見逃してやるくらいの度量を見せるのが、我々にふさわしい態度だと思うのであります』


(『東西交流1000年記念式典談話』より抜粋)



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