表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハルピュイアの厄払い  作者: 葉月 優奈
四話:temps retrograde poupee
52/56

052

――10分前・風泣きの塔・風壺部屋――

(RESTE’S EYES)

あたしは、必死に戦っていた。

風壺の前には、あたしと、ガルア。それからレッカと……操られていたパノムがいた。

パノムには、テュポーンが乗っ取られていて……炎の壁が彼の目の前に現れていた。


(これって……あのときの)

炎の壁が、部屋を暑くした。

同時にレッカとガルアが、話をしていた。

レッカが自分の羽根を取りながら、顔を歪めていた。


「大体、これからどうするのよ?」

「俺の拳に合わせろ……後は俺が何とかする」

「格好いいこと、言ってくれるじゃない」

「なにせ俺は、本当に格好いいからな」

「うわ、それ自分で言う?」

レッカが氷の羽根を持ったまま、隣にいたガルアに声をかけた。


「よくわかんないけど、ガルア。アンタのその拳に、託していいの?」

「おう」ガルアが、右腕をぐるぐると回し始めた。

ガルアの目の前にも、立ち塞がる天井まで伸びた炎の壁。


「俺の風拳(トルナードポワン)を撃って」

放った、ガルアの渾身の一撃。


大きな風が、渦になって炎の壁に向かって飛んでいく。

それでも、巨大な炎の壁はガルアの風のうねりよりもずっと大きい。

そこにレッカが、三本の氷の羽根を飛ばした。


巨大な風のうねりが、氷を帯びていた。

氷の嵐のような突風が、炎の壁に命中した。


命中したとき、炎の空洞が一瞬見えて……それでも氷の嵐が徐々に弱まっていく。

再び、パノムが炎の羽根を使い、壁を増強しようとした。

その姿が、あたしにははっきり見えた。


「この一矢で……」

あたしはしっかりと、パノムの顔……頭の触覚を睨む。

そのまま銀の矢を構えて……放った。

放った銀の矢は、パノムの頭に生えていた右の触手に命中した。


(そうだ、これって……あたしがパノムを救った時の事だ)

あたしは、思い出した。

だとすれば……次の瞬間ヤツが出て来る筈だ。


「ぐおおおっ!」

あたしの放った銀の矢が、触手を貫いてそのまま折れた。

触手が折れたパノムは、苦しんだ様子でその場にしゃがんでしまう。

黒いオーラを放ちながら、パノムの背中には、黄色いイナゴの背中が見えていた。


(このテュポーンを……絶対に風壺に近づけさせてはいけない)

あたしは、すぐさま後ろに下がった。

奥にある風壺に近づきながら、あたしは叫んでいた。


「テュポーンは、風壺に逃げる!」と、あたしがはっきり叫びながら。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ