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ハルピュイアの厄払い  作者: 葉月 優奈
四話:temps retrograde poupee
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049

(GARUA’S EYES)

俺の目の前で、大事な相棒が倒れた。

一緒に旅をして来た、ハルピュイアの女。


この天空界で生きづらい黄色い翼で、一人で突き進んでいくレステ。

そんな彼女が、死んだ。呪いの力によって、首輪に首を締め上げられた。


倒れた彼女の亡骸が、俺の腕の中にあった。

敵であるテュポーンはいなくなり、風壺からスライムも消えた。

戦いは終わったが、俺は泣いていた。


「なんで、レステは死ななきゃ行けないんだよ!畜生っ!」

俺は、いろんなものがどうしても許せなかった。

レステに、呪いをかけたチュラッタを。

そして、レステを救うことが出来なかった俺自身を。


「ガルア……ごめんよ」

ヨロヨロになって、頭を抑えたパノム。

「ああ、パノムか」コートを脱いでセーターのパノムが、申し訳なさそうにしていた。

「うん、レッカも……パノムのことばかりで」

「俺は、レステを救う為にここに来た。

アイツは、危うかった存在だからな」


彼女は、ちゃんと言っていた。

追いかけたテュポーンが風泣きの塔の風壺に入れば、自分は死ぬのだと。

チュラッタの呪いにかけられて、テュポーンを追いかけたレステ。

必死で生きようとする彼女に、俺は強い哀れみがあった。


「確かに、あの子は危うい。

テュポーンを倒すことだけに、集中していた。周りが何も見えないほどに」

「生き残ることだけが、レステの全てだ。

黄色い翼で生まれたが為、レステは生き残ることさえ困難だというのか?」

「それは……」

「こんな差別だらけの世界を、俺たちは命がけで守っていたのか?」

立ち上がった俺は、レッカに問いただした。


俺とレッカは、白い翼だ。

優遇された白翼のハルピュイアだ。

何不自由なく育てられて、自らの意志でここに来た。パノムもそうだ。

でも、レステだけはただ一人違っていた。

黄色翼の少女は、生き残ることだけを考えていた。


「でも、彼女を救うことは出来ないわ」

「分かっている!」レッカの現実に、俺は憤っていた。

ハルピュイアも、首を締め付けられれば死ぬ。


レッカがつけていた首輪は、『北雲の大魔術師』チュラッタによるものだ。

魔法に詳しい者でなければ、彼女の呪いの解き方さえ難しい。

そして……それを出来るハルピュイアは帝都ウィンダリアの司教クラスでも難しい。


「それでも、彼女は覚悟の上ではないでしょうか」

「そうかもしれない」パノムの言葉は、同意できた。

でも俺は、それでも煮え切らない。怒りと悲しみの感情のやり場に、俺は困っていた。


「もう、帰ろう。テュポーンもいなくなったし」

「レステ一人救えない俺たちに……テュポーンも逃がした俺に……」

「それ以上、言わないでよ!」レッカが叫んだ。

悲痛の声で叫ぶレッカは、俺が抱きかかえたレステを見ていた。


「レッカだって、ハルピュイアが死ぬのは見たくない。

そいつが、たとえ黄色翼であっても」

「じゃあ、何とかしろよ!」

「出来るわけ、ないでしょ!」

レッカも、いつの間にか泣いていた。


「ガルアさん」そんな中、黄色い鉄のゴーレムが声をかけた。

「アイ……」取り乱した俺は泣いたまま、黄色く丸いゴーレムを見ていた。


「レステさんを、どうしても救いたいですか?」

黄色く丸いゴーレムが喋る声は、ハルピュイアの感情のある声に聞こえていた。



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