020
ゾンタの住宅街に、一際大きな鉄筋の家があった。
鉄筋の立派な家に、ガルアが連れて来た。
高さもかなり高い場所にある鉄筋の家に、ガルアに導かれて入っていく。
一緒に行動をしたアイは、工房に残したまま。
ジャックも、攻防にいるアイに付き添っていた。
「ただいま」
ガルアが言うと、女のハルピュイアが出てきた。
長い紫ロングヘアーの女は、少し老けた女性。
着ている服は、流石にエプロン姿。父子と違ってちゃんと服を着ていた。
「ガルア、ガルアなの?」
「お袋、戻ったぞ!」
「おかえり、大丈夫だった?心配なかった?」
「平気だよ」
ガルアを、心配する母親。
抱きついてきた母親に、安心させる顔を見せたガルア。
そして、ガルアがあたしの事を手で示した。
「それと、連れがいるんだ」
「連れ?」
「そう、俺と同じ旅をしていて風獣を追いかける仲間」
だけど、母の顔がみるみるうちに曇った顔に変わったのが見えた。
あたしは、母親の冷めた目に慣れていた。
「初めまして、レステです」
冷たい目を浴びせられながらも、あたしは挨拶をしていた。
それでも、構わずガルアがあたしの手を握った。
「今日、レステがウチに泊まるぞ。部屋は、開いているよな」
「ええ、開いているけど」
「あと、食事も頼む。レステは、俺の嫁になる女だから」
困惑する母親に、ガルアははっきりと言い放った。
真っ直ぐなガルアの顔を見て、母親は目をつぶった。
「分かったわよ。アンタが好きな人を連れてくるのは、初めてだから」
「それじゃあ、少し休もうか。今の俺たちには、休息が必要だから」
ガルアが、あたしの手を引っ張った。
引っ張られたあたしは、少し嬉しかった。
顔が照れていて、あたしはガルアに身を委ねていた。




