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日本軍最後の抵抗  作者: 宵月 星華
第一章  に号作戦

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14/22

第十三話 蒼き殺人者

6月20日11:34

 アメリカ軍高速戦艦部隊はいよいよ機動部隊に高速で近接してきていた。

機動部隊の戦艦は36㎝砲搭載の伊勢、日向の2隻のみ。

一方、アメリカ軍側はアイオワ、ミズーリ、サウスダコタ、ワシントンなど、

41㎝搭載艦が6隻。

確実に敗北するのは目に見えている。

だが、高速戦艦部隊はこのときはまだ気づいていなかった。

高速戦艦部隊の進路の海域には、蒼き殺人者を備えた伊号潜水艦が待ち構えていることを...



奄美大島付近海域 第一潜水戦隊旗艦 伊401

「機動部隊旗艦より報告!

偵察機「彩雲」によると、米軍部隊はこの海域を通過する様子!

部隊は戦艦5,重巡3隻、2つの水雷戦隊から構成されると考えられるとのことです!」

通信員が艦長に嬉々とした様子で報告する。

「了解した。よし総員、戦闘配置!」

ラッタルを駆ける音が鳴り、魚雷が装填される。

通信員は米軍のやり取りに耳を澄ます。


 そして、その時はやってきた。

「米軍部隊を発見!戦艦6隻、巡洋艦8隻、駆逐艦17隻、方向は97度その他…」

機動部隊の報告と同じだ。伊401は艦首を敵艦隊の方向へ向けた。

潜望鏡の十字の中心に戦艦のシルエットが重なった。

「魚雷発射!」

引き金が引かれ、魚雷が艦首から8門、無気泡で放たれた。全力攻撃である。

「弾着まで9分」

潜水艦のりの生きがいが、ここにあった。

魚雷は次々と深く沈み、戦艦に向けて突き進んでいった。


 酸素魚雷。それは、日本軍が開発した、最強の魚雷である。

航続距離に優れ、炸薬量も多い。

加えて、雷跡が発見しづらいという特徴があった。

酸素魚雷といえば駆逐艦に搭載された「61㎝九三式魚雷」が有名だが、

潜水艦の「53.3㎝九五式魚雷」も、駆逐艦に負けないくらい強かったのである。


 米軍機動部隊 旗艦 アイオワ

突然のことだった。

 アイオワの右舷の方向にいたサウスダコタの右舷でキラッと閃光が光ったかと思うと、大きな水柱4本と轟音が上がったのである。

水柱はゆっくりと、崩れ去っていった。

 サウスダコタは沈没こそまぬがれたものの、艦首と機関に損傷があり、

12ノットでしか航行できなくなってしまった。作戦続行は不可能である。

こうしてサウスダコタは、機動部隊のマストを見ることもなく、

数隻の駆逐艦とともに沖縄によろよろと戻っていった。

 しかし、それだけでは損害は終わらなかった。

なんと、サウスダコタに当たらなかった魚雷4本がそのまま直進して、

後続していた艦隊の駆逐艦1隻と巡洋艦に命中し、

駆逐艦は轟沈、巡洋艦は大破してしまったのである。

駆逐艦群は直ちに潜水艦に対し爆雷攻撃を行ったが、

戦火を確認することができなかった。


 



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