第十一話 新型戦闘機の躍動
烈風と紫電31型のやつもくっつけました!少し長くなりましたが…
沖縄のアメリカ軍艦隊を攻撃した天城以下の機動部隊は、
攻撃隊を収容すると10ノットで北上していった。
一方アメリカ軍は装甲空母や残った空母、
高速戦艦などで機動部隊を攻撃しようと、出撃していった。
そして、F6Fベアキャットやヘルダイバー爆撃機などが、
機動部隊を攻撃しようと陸上基地や艦上から発進していった。
「南西から敵大編隊接近中!」
直ちに空母天城、葛城、隼鷹、海鷹から、零戦52型や62型、21型などに加え、
3種類の新型艦上戦闘機が迎撃のため発進していった。
「敵機動部隊を発見!戦闘機はジークに注意せよ!」
F6Fは少しずつ高度を上げていった。その時のことだった。
「ジークだ!」
雲の中から、零戦が飛び出してきた。しかし、その中には、52型でも、62型、21型でもない零戦がいた。
「なんだあのジークは?!エンジンカウルの形状が違う!」
その零戦のエンジンカウルには、胴体機銃用の穴が開いていなかった。
その戦闘機は、零式艦上戦闘機64型である。零戦64型は、
従来の中島製の「宋」エンジンではなく、三菱製「金星」である。
そもそも、零戦は十二試艦戦の際、共に千馬力クラスだった金星エンジン、
宋エンジンと選択する機会があり、視界優先のために今までは宋エンジンを使っていたのである。
その後、金星エンジンは二千馬力クラスに成長したが、
宋エンジンは依然として千馬力クラスであった。
そのため、重量増加によって馬力荷重が上がり、零戦の格闘性能は下がってしまった。
そこで初心に戻り、金星エンジンを選んだというわけである。
零戦54型はちょうど上昇中だったF6Fを20㎜機銃や13.2㎜機銃で一斉に射撃した。
たちまち3機ほどが火のスカートを広げて落ちていった。
しかし、アメリカ軍も黙ってはいない。F6Fは急降下し、ブローニング12.7mm機銃を浴びせてきた。
零戦とF6Fが激しい格闘戦を繰り広げる。
その時のことだった。
突然、雲の中から、2種類の戦闘機「烈風」「紫電31型」が勢いよく飛び出していった。
烈風と紫電31型は雲から次々と飛び出すと、グラマンF6Fヘルキャットに狙いを定めた。
烈風は海軍が三菱に零戦の後継機として設計させた機体である。
かの有名な堀越二郎をはじめとした人達が設計にあたり、零戦よりもさらに早く、さらに丈夫にと、生み出されたのが、烈風である。
烈風は最高速度は620kmほどで、日本海軍最速の艦上戦闘機である。
まさに零戦の立派な後継機だ。
ただ、史実では海軍のゴリ押しでエンジンを「誉」にさせられたり等、様々な障害があり、結果的に「ハ43」エンジンを搭載して、試作機を飛ばした程度で終わった。
ちなみに「ハ43」は烈風以外にもキ83、震電、キ74などに搭載されたらしい。
一方紫電31型は、紫電改に着艦用フックなど、航空母艦で運用するために必要な装備を装着した、いわば「艦上戦闘機版紫電改」だ。
武装やエンジンなどは紫電改と同じである。
こちらも終戦までに実戦に出すことが叶わなかった、残念な機体である。
とは言っても、仮に実戦に出せたとしても、運用可能な航空母艦は次々と戦没していったので、結局陸上機としてか運用できなかっただろう。
そんな烈風や紫電31型機体の操縦桿を握るのは、「元航空母艦乗りの戦闘機パイロット」達である。
第三四三航空隊などからかき集められた彼らは、元は赤城や飛龍、翔鶴や瑞鳳など、今は海の底に沈む空母を守り続けたエース達ばかりである。
今から自分達がアメ公に復讐をしてやるんだ、そんな気持ちで勇みながら、彼らは銃口をグラマンに向けた。
グラマンF6Fヘルキャットは次第に追い詰められていった。
高空では紫電31型が高空にいるF6Fを叩き落としてる。
低空でも烈風と零戦64型に旋回性能で、スピードも烈風に負け、次々とF6Fは撃墜されていった。
さて、さらに低空では、アメリカ軍攻撃機達が時折零戦に攻撃されながらも、機動部隊に接近してきていた。
しかし機動部隊には航空戦艦「伊勢」「日向」や秋月型駆逐艦など、多数の対空艦艇が待ち構えているのであった。36cm連装砲塔が、大きな音をたてながら敵編隊へと旋回していった。




