第九話 東京大空戦
震電はは雲の下から飛び出すと、そのまま突き上げるようにしてB29に標準合わせた。
「よ〜く狙って…ここだ!」
30mm機銃が火を噴き、B29がバタバタと落ちていく。
しかし、震電のスピードは590km程で、マスタングに比べ、大幅に劣っていた。
B29の銃座やマスタングのブローニングが一斉にドドドっと火を噴く。
先頭の一機から黒煙が出る。
「煙が出たぞ!やった!」
「このまま次の一機も撃ち落とせ!」
しかし、震電はそんなんでは落ちなかった。
震電の装甲は厚く、ブローニングで簡単に貫けるはずがない。
とはいえど、燃料タンクに穴があき、ガソリンが漏れているのに気付いた時、パイロットは青ざめた。
「クソっ!引火しちまう!」
引火しなくとも、燃料は帰還するまでに切れて、墜落してしまう。
パイロットはB29の一機に目を向けて、叫んだ。
「どうせ死ぬなら、お前らも道連れだ!」
震電はまっすぐB29へと飛んでいった。
B29は目的に気がついて、銃座をこちらに向ける。
だが、装甲の厚い震電に、有効打が正面から出せるわけが無かった。
そのまま震電は、B29に突っ込んでいった。
大爆発が起こり、B29や震電の残骸が雲の下へとバラバラになって落ちていく。
それを、他の震電は飛び回りながら敬礼をした。
一機の震電に後ろからマスタングがつく。
「やべえぞ!背後を突かれた!」
震電はヘッドオンには強かったが、背後の方は装甲がなく、弱点となっている。
マスタングのパイロットがブローニングの引き金を引こうとした時、
後ろから20mm機銃弾が飛んできて、マスタングは回避行動を取らざるをえなかった。
パイロットは後ろを向いて叫んだ。
「単発機だ!たくさんいるぞ!」
局地戦闘機主力 月光や彗星艦爆、零戦や雷電、隼や飛燕など、ずっと日本本土を守り続けた精鋭達の到着である。
彼等は単発機でマスタングを、双発機でB29を攻撃した。
彼等は今までやられた分をやり返すかのようにアメリカ軍に襲いかかっていった。
たちまち単発戦闘機はマスタングと旋回戦に、双発戦闘機はB29に一撃離脱で、バタバタと落としていった。
「このままでは全滅する!めいいっぱい弾幕を張れぇ!」
ブローニングは日の丸に向けて、九九式二号二〇粍機銃は星のマークに向けて弾を撃ちまくった。
20mm機銃はアメリカ軍にとって脅威だった一方で、
日本側の紙装甲の戦闘機にとっては、ブローニングでも脅威であった。
しかしやがて、マスタングやB29の数は明らかに減っていき、攻撃隊司令官は一つの命令を出した。
「このままでは全滅する!雲に隠れて帰投せよ!」
こうしてアメリカ軍機は雲の中に高度を落としていった。一方、日本軍の方も、これ以上の攻撃は機体と燃料の関係から難しいと判断し、各基地へと帰投していくのであった。
次回、いよいよに号作戦が発令されます!
ゴジラ-1.0面白いですね!




