寸劇と演習の始まり
私の名前は風宮 舞。
冒険者学園に通う一年生。
今日はいつもより早く行かなきゃいけないのに寝坊しちゃった。
時間がないからメロンパンを食べながら行かなきゃ。
あまりにも急いでいたからなのか、
それとも大きな木が死角になって見えなかったのか、
不意に誰かとぶつかっちゃった。
「あっ。」
そのぶつかった相手は、
・・・気持ち悪い虫でした。
まぁこんなところに、いるわけないってわかってたけどさ。
朝から気分が悪くなっちゃうよ。
数時間前
「今から迷宮内にある森でのサバイバル訓練を受けてもらう。
期間は三日間。
チームに分かれて期間内にどれだけ、どんなモンスターを狩れるかの勝負だ。
勝敗をわかりやすくするためにポイント制にしたいと思う。
スライム 0ポイント 蹴兎 1ポイント
ゴブリン 2ポイント 吠狼 3ポイント
となっている。
今回は特別に『バークウルフ』のボスを解禁する、
自分の実力とよく向き合いながら挑戦するんだな。
それでは始め!」
「ようやく始まったね。」
「マイ、あなたに討伐数で勝つ。」
セツに急にそんなことを言われるとは思わなかったので、少し驚く自分がいた。
「私が勝っちゃうよ。」
「じゃあ、2人とも今から二時間ね。スタート。」
学園の午後の訓練と同じくらいの時間だ。
テンはそこまで考えてるのかな。
ていうか、早く行かないと負けちゃう。
あれから二時間ぐらい経ったので戻ってきた。
「はぁはぁ、どう?テン、私の方が多いでしょ。」
「はいはい、わかったよ。数えるからちょっと待って。」
モンスターを倒すと、ドロップ品と言って何かが落ちる。
モンスターごとに必ず、一個だけ落とす物があるのでそれを使って計算している。
最初は焦りすぎて足音が大きすぎたたのか、モンスターが寄って来なかった。
でも、少しずつ抑えることができてからは、モンスターによく会うようになった。
そのスタートダッシュの遅さがどのぐらい響くのか。
「数え終わったから発表します。勝ったのは、33匹でセツです。」
「ふふふ。」
「負けちゃったよ。さすがだね。」
「じゃあ何か暇を潰せそうな劇をやって。」
「えっ。」
負けた方が勝った方の言うことを聞くなんて聞いていない。
もしそうじゃなかったとしても、罰ゲームがあることを知らなかったのだから無効になるはず。
「やらないってことは・・・?」
「むり。絶対やって。」
酷すぎる。事前に言ってくれたのならまだしも、急にやってはひどいよ。
テンも笑ってるから知っていたのかもしれない。
だけどそんなことを言っている暇はない。
頑張って考えなきゃ。
劇をやり終わった後セツに、
「ないよりはマシだった。」と目を見て言われた。
なぜか今日のセツはよく喋る。
しかも、妙に煽ってきているような気がする。
テンは優しいから「面白かったよ。」と言ってくれるが、セツは思ったことをそのまま口に出しているみたいだ。
これもセツと仲が良くなったということでいいのかな。
そう考えるとちょっと嬉しいな。
ほっと一息ついた後テンが、「いい場所を見つけたから案内するよ。」と言って私たちを連れて行ってくれた。
何が良いかはよくわからなかったけど、ほんの少しだけ、耳をすませば滝の音が聞こえる。
この音量だったら心地いい。
今回の訓練はなぜか午後から始まったので、今はもう日が暮れかけている。
テンは私たちが狩ってきた狼の肉と野草みたいなものを出して、料理を始めた。
いつ作ってたのかもわからないジュースも私たちにくれた。
狩り以外は至れり尽くせりで何の苦もなかった。
夜の見張り番を決めてから今日は眠りについた。
・不定期投稿 ・急な失踪
などあるかもしれませんが頑張ります。
今回はマイ視点で書いてみました。
どうでしたか?