チー牛
チー牛って言葉を考えたヤツ、手ぇあげなさい。先生、怒らないから。
お前らさぁ、どんだけ定食屋に迷惑かけんだよ。
これはチー牛とメスガキの話。
◆
「四色チーズ牛丼大盛り。温玉もつけてください」
いつもの定食屋でお気に入りのメニューを注文する俺。
今は22時、よい子は寝る時間だ。
残業に疲れ、家で自炊する気力体力はないので、外食ですます。よく転がってる話だ。
店内には、俺の右斜め前、少し離れた席に少女が一人。スマホをずっとイジってる。こんな時間に出歩くなんて、けしからんな。
店員はワンオペだ。こんな時間だしこんなもんだろう。
やがて注文してたモノが運ばれてきた。俺はルンルンで割り箸を割った。
そんな時――
「うわ。マジでチー牛っているんだ……。都市伝説だと思ってた」
少女――メスガキがそうのたまった。俺は最初意味がわからず、なんとなくメスガキをチラ見して食事を進めた。
なぜか店員もこちらを見て笑っている。感じ悪いな……。
「チーズ牛丼うめぇ! やっぱコレだわぁ」
気まずくなると独り言をつぶやいてしまうのは俺の悪い癖だ。
「陰キャってこれだから……」
『ふぅ』と大袈裟にため息をつき、メスガキは勘定を済ませ店を去って行った。
――朝起きたら、枕がびっしょりしていた。俺、夜中に泣いちゃったみたい。