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第34話 教導演習 3

——太平暦1724年 1月20日 ベルドリン演習場


「諸君、今日がアグレッサー部隊との最後の演習だ、本日まで諸君はよく頑張ってくれた。皆最初に比べるとかなり腕をあげている。今回に限り、私とマーガレット中佐も参加することとなる。よって指揮小隊は私の元に戻す。……皆、最後の演習だ。今までの中で最高の演習にするぞ!」


「「おぉー!」」


 士気は十分、練度もかなり高い、練度はここまでの演習結果からほとんどアグレッサー部隊に勝ちを譲らないほどまでになった。正直サルヴィアとしてもここまでの成長を見せるとは思っていなかった。大変うれしい誤算だ。


 斯くしてサルヴィアは自分の機体、Sf109メーヴェに乗り込み、離陸する。


 上空に上がると次々に大隊員が離陸し、編隊を組む。編隊を組むのもかなり様になっている。はじめのころに比べかなり綿密で正確な編隊が組めるようになっている。


「全機そろったな?」


『こちら第一中隊、揃いました』


『こちら第二中隊、全機編隊を組み待機中です』


『こちら第三中隊、前期の離陸を確認、編隊も組めました』


「よろしい。……中佐、こちらの準備は整いました。始めますか?」


 サルヴィアの問いかけにマーガレットの無線機越しの答えが返ってくる。


『よし、演習開始!』


 斯くして第201特別大隊とアグレッサー部隊の最後の演習が始まる。


 両部隊の距離はおよそ十五キロメートルほど離れており、幸か不幸か今日は雲一つない晴天。グロリオサ中尉の囮戦術は使いにくいといったところか。

 そんな中サルヴィアは副官のストレリチア少尉に話しかける。


「今回参加しているマーガレット中佐はかなり腕が立つ、いきなり狙うのは避けるべきだ。あの先頭にいる機体が中佐の機体だと思われる。故に最初は敵の中隊長クラスから狙うぞ」


『了解。……中佐殿は大尉よりも強いのですか?』


「あぁ、士官候補生時代は勝てたことがない。中佐とやるときは貴官を頼りにしているぞ、ストレリチア少尉」


『はっ! お任せください!』


 副官の頼もしい返事に思わず頬がほころぶ、ストレリチア少尉は普段は抜けているところもあるが、戦闘面ではかなり腕が立つようになった。やはり彼女の成長速度は目を見張るものがある。今回も大いに頼らせてもらおうとサルヴィアは考える。


 そうこうしているうちに彼我の距離は五キロほどになる。そこでサルヴィアは無線機越しに命令を飛ばす。


「第一中隊は左から、第二中隊は右から攻めろ、そして第二中隊から一個小隊は第三中隊の援護に回せ。私たちは正面から行く!」


『『了解!』』


「第三中隊は隊を二分し、上空に上がれ、隙があれば制空戦に参加してもいいが無理はするな。そして機を見てグロリオサ中尉の指示のもと爆撃しろ」


『了解!』


 今になってはグロリオサ中尉の方がサルヴィアよりも急降下爆撃のプロフェッショナルだ。爆撃のタイミングは彼女に任せた方がいいだろう。


 彼我の距離は約一キロ、双方の射程ギリギリでサルヴィアはマーガレットの機体を狙うかと見せかけて一気に機首を下げ、敵編隊の下に潜りこみ敵の第二中隊の隊長機に模擬戦用のペイント弾を浴びせかける。


「一機撃墜」


 サルヴィアがそう言うとストレリチア少尉も『一機撃墜』という。他にも指揮小隊の一人が一機やったようだ。これで少なくとも三機は撃墜した。

 残る敵は二十二機。


 だがそのうちの一機はマーガレット中佐だ、彼女一人だけで一個小隊に勝るほどの腕は確実にある。


 それゆえにサルヴィアたち指揮小隊、厳密にはサルヴィアとストレリチア少尉で墜とさねばならない。最悪墜とせなくとも、足止めをしなくては確実に負ける。


 そうしてマーガレット中佐の駆る機体を探していると明らかに一機だけ動きが違う機体が目に入る。チラリとみている隙にもう二機も撃墜判定をくらっている。間違いない、あれがマーガレット機だ。


 そう判断するとサルヴィアは自分の小隊に呼びかける。


「今から敵の隊長機を墜としに行く、向こうはかなり腕が立つ。おそらく私だけでは負ける可能性すらある、諸君らの援護が必須となる。特にストレリチア少尉、貴官にはかなり頼らせてもらうぞ」


『『了解!』』


 そうしてサルヴィア率いる指揮小隊はマーガレット機に向かう。

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