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城内のとある一室、そこにはレストを含める4人の男女が集まっていた。


「それでは、リン。あなたのチームはスコルからの報告が来るまでは、主の周辺の警護をお願いします。」

「了解よ。誰であろうと主様の身を脅かすことは出来ないでしょうけど、主様のお手を煩わせる訳にはいかないからね。私のチームがしっかりと主様の身の回りのお手伝いをするわ。」

「ええ、私も後ほど合流します。それまでの間は身の回りの事もお願いしますよ。」

「わかったわ。まぁ、そんなに急がなくても大丈夫よ!私がいるんだし!!」


 リンと呼ばれた少女は腰に手を当て胸を張る。

 彼女の種族はハイヒューマン。外見はただの人間と同じだ。黒い瞳と黒髪でポーテールにしており、肩より少し下くらいまである。身長は160cm無いくらいで、性格は活発、周りの者には非常に優しく面倒見が良い。しかし、その外見やそういった普段の性格とは裏腹で、主の敵対者に対しては何の情も抱かずに排除する。以前敵対した馬鹿な者共を彼女一人で殲滅したこともある。一人でとは言ったが、彼女と行動していたもう一人は彼女の回復や補助に徹底しており、殆どリン一人で殲滅したと言ってもいい。


 ハイヒューマンはヒューマンの上位互換で、どのステータスも安定して伸びる。ただし、逆に言えば突出して伸びるステータスを持つ他の種族と比べると、その種族の特性を活かした職業では勝てない。一般的にはそう言われている。―――ただし、その『一般的』には彼女は当て嵌まらない。彼女は主に最初に創造された者であり、主が一番手を掛けたのも彼女だ。彼女は近接職、魔法職に向いている種族と一対一で戦っても余裕を持って勝てるだろう。主が創造した他の者達となら互角か少し有利に戦闘をすることができると言ったところだ。そんな彼女には主の側にいてもらった方が良い。主の言う事ならば従うし、暴走する可能性も薄い。


「では、早速主の下へ向かって下さい。」


 リンは私のその言葉を聞いて、部屋の外へ出て行く。

 恐らく外に待機していた者たちと主の下へ向かったのだろう。


 私は彼女が出て行くのを確認して、室内にまだ残る男女らへと向き直る。

エルダードワーフの男性ハウトと龍人の女性カゲミツだ。


 ハウトの方の身長は先程のリンと同じくらいだが、少し大きい。赤い髪で瞳は黒に近い青。

 体は少し幅広でスリムではない。幅広と言ったのは別に太っている訳では無いのだ。体は鍛えられており、黒い鎧を着ているのにその下から押し上げるように筋肉が隆起している。背中には彼の身長を超えるくらいのハルバートがあり、彼からだけでなくその武器からも威圧感を感じさせる。その風貌はいかにも武人と言える。

 エルダードワーフはドワーフの最上位種。ドワーフという種族自体が力が強く、頑丈だ。その最上位ともなれば主の配下の中でも一、二を争う。

 故に、主の配下の最強の一角だ。


 カゲミツの種族である龍人はドラゴニュートの上位互換。力はそこまで強くは無いが、防御力と素早さに長けており魔法もある程度使えるなど、レベルが同じくらいであれば敵に回すとかなり厄介だ。先程述べた力が強くないという事だが、それは隣のドワーフと比べてという事だ。平均的に見ると、全種族の中でも上位には食い込んでくる位の力はある。

 カゲミツの容姿は身長が160cm程度で、非常に引き締まった体をしている。白髪の中からは二本の短めの角が生えており、鋭い目付きで赤い瞳をしている。

 彼女も主の配下の中では最強の一角の一人だ。


 私を含めるこの場にいる三人と周辺の調査を行っているスコルを含めて主の敵などからは四天王などと呼ばれていたが、正直興味もない。

 そんな名前だけのものよりも主の役に立っているかどうかが我々に求められるものであり、主の役に立てなければ存在している意味が無い。


「それでは、ハウトはいつも通り近接職の統括を。カゲミツは魔法職の統括をお願いします。恐らく貴方達が後れを取るような者はいないと思いますが、油断は大敵です。敵が現れた場合の対処は任せますので、私は一度スコルの下へと行き状況を確認してから主の下へと向かいます。何かあれば主の下へ伝令を送って下さい。私かリンが常にいるようにしますので、すぐに連絡は取れると思います。」

「おう!実際に敵が来たら殺しても良いんだよな?」

「違うだろハウト。殺したら誰が裏で糸を引いているのか分からないから、殺す前に情報を吐かせるんだ。創造主様の敵は全員消さないといけないからな。」

「そうですね。殺すのは決まっていますが、主に報告して判断してもらった方がよろしいでしょう。主にも考えがあるかもしれませんし。」

「そうだな。敵は基本的に捕縛か無理なようであれば、殺すと言ったところか?」

「そうですね、捕縛が一番望ましいのですが難しいようであればそれも致し方ないかと。」

「おうよ!」

「了解。」

「ではお二人とも、行動開始して下さい。」


 ハウトとカゲミツの二人は私のその言葉で立ち上がり、部屋を出て行く。

 私はその二人が退室すると同時に立ち上がり、転移の魔法を使った。



 私は転移の魔法を使ってから周りを見回すと近くに集団がおり、その集団から視線が浴びせられる。

 私はその集団の中に目的の人物を見つけると、そちらへと歩を進める。


「スコル、調査の方は順調ですか?」

「まだ大したことは分かっていないわよ。」

「ええ、それでも構いません。現在分かっている範囲で構いませんので報告をお願いできますか?」


 彼女に対してそう告げると咳払いを一つして報告をしてくる。


「それでは、報告させてもらいます。現在、周囲の森を調べていますが遭遇する魔物は今のところ脅威と思われるものは見当たらず、私の使役する魔獣で十分に対処が可能です。遭遇した魔物はウルフ系の下位のものやゴブリンやオークといった雑魚ばかりで、時折その上位種であるジェネラルやロードも見かけましたがその程度です。探索している範囲がそれほど広くないので他の地域を探せばもう少しまともな魔物も見つかるかもしれませんが、こちらの意思が通じる相手とはいまだに会えておりません。」


 さすがのレストでも主の命であれば任務として真面目に働いてくれる。

 我々を生み出して下さった主に対して、我々は誰よりも篤い忠誠を誓っていると確信を持てる。

 たとえ、同じく主に忠誠を誓う仲間だとしてもその気持ちは変わらない。

 主に敵対する者が現れればその首を刎ね、主の身に危険が迫れば命を賭してその身をお守りする。それが我々、主に仕える者として当然の心構えである。故に、主への忠誠では同じ仲間であろうと他の者よりも忠誠を誓っていると誇れるし、他の者達の思いを理解することもできる。


「やはりあなたでも主の為であればしっかり働くのですね。」

「当然よ。あんただってそうでしょ?私たちの存在意義は主様のお役に立つこと。主様に少しでも認めてもらいたいと思っているのは同じでしょ?」

「ええ、確かにあなたの言う通りです。私も同じように思います。」

「そうでしょ。リンやハウト、カゲミツだけじゃなく主様に創造された配下であれば、誰であろうと同じ思いをしている筈よ。」





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