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何か、転生した

二話目です

 ──私は転生者だ。

 しかし、何故死んだのかが全く分からない。

 務めていた会社は所謂ホワイト。過労ではどう考えてもない。そして、交通事故にあった訳でもない。会社からの帰り道は勿論、私が住んでいるのはアパートの2階。どう頑張っても事故れない。


 にも関わらず、死んだ。

 もしかしたら全部夢と言う可能性が無きにしも非ずだが、既にこちらで15年も過ごしている。流石に夢ではないだろう。


 まあそんなことはどうでもいいのだが。


 自分の死因を考える事ほど面白くない事はない。誰が好き好んで自分の死に方を考察せねばならんのだ、気色悪い。


 転生した私は頑張った。

 将来のんびり過ごす為に。何処か遠い所で静かに過ごす為に。

 具体的には勉強を頑張った。なにせあらゆる言葉が、「ちょっと何言ってるか分からないですね」状態なのだ。ある意味四面楚歌である。


 だいたい転生ものでは“幼い頃から優秀”というのが多いが、そんなことは無かった。小学校みたいなとこで勉強したが、まじで一からやり直しだった。私は馬鹿だからとても大変だった。なんで私には翻訳機能がないんだ!(切実)

 でもまあそのお陰で目立たなかったのはありがたかった。人前に立つとか無理。多人数の視線を一気に受けるんだぞ?死んじゃうよ、そんなの。


 だけど、地獄はそこからだった。小学校(もうめんどいから小学校でいいや)を卒業した後、やっぱりあった中学校っぽい所に入学した。そこはまあ、あんまり変わんなかった。問題はこの後、高校に入学する時だった。


 そこでクラス分けのために『魔法』を使うことになったのだ。


 私はとても驚いた。確かに料理が出来るのがやたら早かったり、窓も空いてないのに風が吹いたりしてたけど(鈍感)


 とにかく、魔法を使えと言われた時、どうすればいいのか全く分からなかった。感覚とかで分かるのかもしれないが、私は元々他の世界の住人、·····他の世界の住人ってカッコイイな。じゃなくて、この世界の感覚など分かるはずもない。


 困った私は、某RPGゲームの火の呪文を思い浮かべた。最悪何も出なくても良かったのだが、きっちりと火は出た。

 いや、出てしまった。


 私のイメージと共に現れたのは、私が思い浮かべたのよりも二段階ぐらい上の大きさと熱さを持った火の玉だった。教師の人は口をポカーンと開けてた。

 私は内心ダラダラだった。

 想定外の目立ち。非常に不味い。死ぬ。主に私のメンタルが。私の表情筋は、とにかく目立たないことを目的とした結果、9割方死んでいる。いやほら、リアクション大きい人って目立つじゃん?だからあんまり反応しない方がいいかなって。


 最終的に私は、なんか首席になった。

 フッ、必死にした勉強が生きたな(震え声)


 馬鹿かな?馬鹿だったわ(再確認)


 いやだって、どうせなら良い点取りたいじゃん。頑張った成果を褒めて欲しいじゃん!というか周りもっと頑張れよ!なに外来人に負けてんだよ!(責任転嫁)


 入学した後は、勿論たくさんの人が詰めかけてきた。雪崩のように押し寄せる質問達に対し私は、「別にすごくないわ」と「偶然よ」で乗り切った。COOLネイティブ系をイメージしました。どうよ。


 そのあとは、とにかく目立たないように努めた。魔法は合格ギリギリになる程度に。体術もあったけど、私には無理だった。なんだよアレキツすぎだろ···。筆記は自重しなかった。そこはまあ、ええやろ(慢心)


 そして何やかんやあって高校も卒業。

 国の騎士団?に入るか、それとも………みたいな感じ。クラスの男子共は、『国を守るぜ!』って奴が多かった。女子の方も2割くらい騎士団。残りは家を手伝うとかそれ以外のお仕事。私は辺境に一人で引っ越した。

「そんなに魔法が使えるのになんで!?」って言われたけど当たり前や。自分から危険に飛び込むなどアホのやること。私は逃げる!なんか最近魔物とかいう化け物共が活発になってるらしいし。怖いやん?


 ただ、そうなると両親が心配だった。

 両親は私の事を本当に愛してくれていて、誰よりも大事に思ってくれている。

 え?なんでそんな事を分かるのかって?心を読んだからだよ!その時の私は罪悪感で死にかけました。今でも思い出す度に死にたくなる。でもそれは両親が悲しむので絶対に駄目。


 魔物なんて、私が出ればただの雑魚だろう。

 国一つ息を吸うように破壊出来るのだ、ただの生物に勝ち目などあるはずもない。。魔力ってのが魔法発動には必要なんだけど、私はそれがほぼ無限にある。感覚で分かった。ほぼ間違いなく世界最強だろう。


 だから、私が騎士にならなかった事で両親に危害が及ぶのだけは避けなければならない。ならないのだが、出来ない。正確にはやりたくない。

 だって目立つやん。私に死なないように、だけど個性を出さないようになんて器用な事は出来ない。だから、必然的に目立つ。すると視線が集まり私は死ぬ(くそ雑魚メンタル)。


 しょうがないので、二人には簡単な結界を発生させる指輪を(国宝級)。家にもバリアを貼った(太陽ですら溶かせない)。どっちも見つかったら大騒ぎなので、隠蔽した(勿論普通出来ない)。


 そして現在。テレポートしてきた私は、どっかの田舎にいます。

 頑張って1人で生きてくぞー、おー!


 ☆☆☆


 リール、···魔術学園を首席で卒業した彼女は、天才だった。


 魔法は王国の魔道士を上回り、その頭脳は大人よりも優れている。常に冷静沈着でその表情を崩さず、周りが騒いでいても、静かに勉強、または本を読んでいる。


 入学直後、様々な質問にも簡潔に答えるだけで、直ぐに会話を切ってしまう。俺がした、「どんな訓練をしてきたんだ?」という質問にも、「偶然よ」で返されてしまった。


 授業では教師の話を片っ端からノートに取り、わからない所は質問する。流石に、「この世界の常識を教えて下さい」という質問には驚いたが(彼女は至って真面目です。ちょっと常識が破壊されてるだけです)。


 実践訓練では、魔法の制御をわずか1週間で完璧にこなしており、誰も言わなかった、というか驚きすぎて言えなかっただけなのだが、内心驚愕していた事だろう。しかもそれを平然と行うのだから恐ろしい。


 体を使うのは苦手な様だったが、それを差し引いても、他の分野では、天才的な結果を出していた。

 欠点と言えば、良くいえば真面目。悪くいえば冷たいところだろうか。


 何処までも冷静で、真面目で、一見して誰よりもひ弱そうなのに、その実誰よりも強い。


 そんな彼女が、俺は、



 嫌いだった。


そら転生なんて摩訶不思議現象を体験したら常識も破壊されますよ。


タグは増えると思います。

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