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第十話 エキストラユニークスキル

「ちなみにさっき言ったのは魔法の説明だ。これとは違って『エキストラユニークスキル』と呼ばれる特殊な能力についても説明する」

 エキストラユニークスキル? 今までたくさんの本を読んだ俺でも聞いたことのない単語であった。

「前にも言ったが全ての生き物の体内にはアギが存在している。モンスターが死ぬ時、周囲には一瞬だけそのモンスターのアギの波動が拡散する。モンスターと自分のアギが共鳴した時、エキストラユニークスキルを身に付けることができる。どうなるかっていうとな、そのモンスターの力を使うことができるんだ」

 し、知らなかった。そんなことが起こりうるのか。

「なるほど。では、もしも小生がドラゴンを倒した場合、ドラゴンの力のを使うことができるということであるな?」

「その通りだ。しかし、実際にエキストラユニークスキルを習得した人は少ない。それこそ、最高位魔法を使える人数より少ないだろう」

「先生! ムゲン君のおじいさまはその……エキストラユニークスキルを使えるんですか?」

 シャーリアが手を上げて質問する。

「いや、私もそこまでは……ムゲン、どうなんだ? それらしいのを使っているのを見たことはあるのか?」

「いや、俺も見たことはないですね」

 祖父が魔法を使うのは何度も見たことはある。だが、エキストラユニークスキルらしきものを使っているのを見たことはない。

「なら、ナハラ=アベイルさんもエキストラユニークスキルを習得してないのだろう。そして、エキストラユニークスキルは魔法と違って他者に与えることもできる……といっても与えられた人物が必ずしも使えるってわけでもないんだけどな」

 エキストラユニークスキルか……もしもそれを俺が習得できれば冒険者を志す気にもなるかもしれないが、生涯習得することはないだろう。




「いやー、長い一週間であったな!」

 今日の授業が全て終わり、夕食の時間にて俺達四人は食事を嗜んでいた。

「だな。しかし、オリモカ先生には全く敵わないな。鬼ごっこをするたび、先生の凄さを実感するよ」

「そうだね。それで、ムゲン君。一週間を通して何かいい作戦は思いついたかい?」

 この一週間、前に俺が考えたフォーメーションで鬼ごっこを行なっていた。

 俺とシャーリアが遠距離魔法で援護し、素早く動けるヤヨイは魔法剣術を使ってウィルをサポートし、オリモカ先生に現状唯一付いていけるウィルがオリモカ先生を捕える――しかし、もっといい方法があるのではと思い始めた。

「今日の鬼ごっこを通して思った。ヤヨイ、もう少ししたらお前がオリモカ先生を捉える役割を担うべきだ」

「小生が……であるか?」

 今期三人の中でオリモカ先生を捕らえることができるとしたらおそらくヤヨイだけだろう。

 まだ、ヤヨイは自身の移動速度を上げる魔法『アクセル』を使えないが、覚えたらウィルよりも速く動けると踏んでいる。

「僕もそう思うよ。ヤヨイさんならいずれ僕より速く動けるようになるだろう」

「そうであるか……よし! ムゲン殿の作戦に乗るであるぞ!」

「オリモカ先生を捕まえる為に各自の実力アップは必須ね!」

「うむ! 皆で切磋琢磨し合おうぞ!」

 明日の買い物を俺はとても楽しみにしていた。魔道具に関する本を読むたび、自分で作ってみたいものがどんどん増えていったのである。

 しかし、材料を持っていないため明日の買い物で必要な材料を買っていこうと考えていた。

「小生、街に繰り出したこともないのでとても楽しみであるぞ」

「そうなんだ。ねぇ、ヤヨイ。よかったら一緒に服とか見ない?」

「服……であるか? 戦闘に役立ちそうな服があるのであるか?」

「違うって! もっと、こう……可愛い服とかお洒落な服とか一緒に見ましょう!」

「うむ……しかし、そのような服とか着て一体どうなるのであるか?」

 ヤヨイは案の定というか、お洒落に疎いようだ。俺も人のことは言えないのだが。

 そんなヤヨイの様子を見たシャーリアは呆れたように大きく溜息を吐く。

「折角可愛い容姿をしているのに勿体ないわね……こうなれば、明日ヤヨイに服の魅力を教えてやるんだから覚悟しなさい!」

「お、お手柔わかにお願いしたい……」




 そして次の日の朝。俺達四人は校門の前に集まっていた。

「それじゃみんな、集まったことだし行きましょうか」

 シャーリアが先陣を切って、街へと向かう。バキアの中心街は学校から歩いて十分ほどの場所にある。

「おお。たくさん人がいるであるな」

 中心街の一つ、中央通りではたくさんの人が行き交っている。エルフや獣人など、様々な種族を目にした。

「それじゃ、お店に入りましょう!」

「うむ。では早速武器屋に向かおうぞ」

「へ? まずは服屋さんに行くでしょう?」

「俺は先に魔道具店を見たいんだが……」

 三人とも意見がバラバラであった。そんな様子を見て、ウィルはどこか可笑しそうに微笑む。

「それじゃ、あれだね。集合時間を決めて各自自由に店を見ることにしようか」

 ウィルが効率的な提案をした。さすがは最年長者である。

「えぇ!? 折角みんなで来たのにどうしてそうなるの?」

「まぁまぁ。シャーリア殿。良いではないか。小生もウィル殿の意見に賛成であるぞ」

「全くしょうがないわね……それじゃ、十二時にまたここで集合ね!」

 単独行動を開始した俺はある魔道具店に入った。ランプによって灯されている照明は薄暗く、ポーションや煙玉といった冒険者御用達アイテムや魔石や薬草といった魔道具開発に使われる素材が棚に置かれている。

「おぉ……」

 品揃えの良さに思わず目を見張った。

「お客様。何かお探しでしょうか?」

 店員がにこやかに笑みを浮かべながら尋ねてきた。

 おっと、忘れていた。まずは魔弾銃を作る為に必要な材料を購入するんだった。俺はすぐさまポケットからメモを取り出した。

「えっと、スチール石とチタン石、スカンジウム石……後、工具セットってありますか?」

「はい! 少々お待ちください」

 店員が商品を持ってくるのを待っている間、販売品である他の素材を眺めることにした。

「おお……これがドラゴンの目玉か」

 ガラスケースに入っている、まるでルビーのように綺麗に輝く赤い目玉を眺めた。

 ドラゴンの体内には隅々まで大量のアギが行き交っており、特に目玉には豊潤なアギが秘められている。

 この目玉を素材に強力な爆薬や、優れた回復薬を造れるだろうが、値段が高すぎて到底今の俺が手を出せるものではない。

「お待たせしました! こちらスチール石、チタン石、スカンジウム石、工具セットになります。合計で七千ロルとなります」

 この世界のお金は日本と同じように紙幣と貨幣が流通している。

 俺は財布を取り出し、一万ロル札を店員に差し出した。

「ありがとうございます。三千ロルのお返しとなります」

 購入品を手にし、魔道具店を後にした俺は他のお店を物色してみようと考えた。

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