勇者召喚
ライの話はまた今度です。
「何?異世界から勇者を召喚した?」
突拍子もない話だと感じたユドルはギルドのソファーから身体を起こしてしまった。
今日は寝とこうと思ってたのにちくしょう。
「ああ、なんでも反魔王派の勢力がどんどん増してきているらしくてな、こりゃあもしかしたら戦争もありえるぜ。」
「なんだってそんな事しやがんだ。今のままで全然平和だってのに」
「かなり昔の魔族の考え方にかなり昔の王様の考え方が混ざったみてえな感じなんだろうなあ。力を持つ者こそ正義で、力を持ってるんだから世界は俺のものだみたいな。」
「はークソだな。めんどくせぇったらありゃしねえ。」
実は今の世の中はかなり平和になっていた。
数年前、今の王様が魔族と平和条約を結び、ついに種族同士の睨み合いがなくなったのだ。
奴隷制度はあるが犯罪者と自ら志願してなった者のみ、後者に関しては暴力等を行っていないか、衣食住が成されているか定期的に調べられるほどであり、とうとう2年前には差別は完全になくなった。
ハーフだからと言って虐げられていた時代もあったそうだが、そんなものはとうに昔話になった。
で、平和を願い人間の王様と平和条約を結んだ魔王に反対する勢力が現れた。
昔までは服についたホコリみたいな扱いであったが、ついに見過ごせない程力を付けてきたとのこと。それで勇者を召喚したらしい。
まあ魔王程ではないが魔族にも知り合いはいるし戦争なんてやりたかねえからさっさと片付けてくれるとありがたい。
「んで?勇者ってのはどれくらい強いんだ?」
「それがなあ、ピンキリらしいんだわ」
「ピンキリ?1人じゃねえのか。」
「なんかたくさん呼ばれたらしいぜ?20人くらいって噂だ。あ、全員16か17歳だと、んで、そん中でも強い奴はもう剣術Lv3を持ってたり全属性魔法を扱えたりするらしい。」
「そりゃ末恐ろしいな。確かにそれなら何とかしてくれそうだ。んで?弱いやつはどんななんだ?」
「そうそう、聞いて驚け。弱いって言われるやつは2人いるんだがな、1人は『スキル無し』もう1人は……」
「適正検査Lv5だ。」
なんてこった。
事件ってのはこの勇者召喚です