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いつもの薬草摘み

前話の2人のエピソードも書きたいですね。

さて、今から残念ながらいつも通りクエストを受けることになったのでいい感じのものを掲示板から探し出す。


俺は基本的にはギルドで寝泊まりしている。酒場のいい席のソファーをベッド替わりにしているのだがそれは置いといて、

要するに宿代は一切必要ない。だから今日食うものさえ手に入れば良いって訳だ。


まあでも遠くに行くのはキツいし何より金がかかる。

王都にでも行けばその辺を全部負担してくれる太っ腹なヤツもいるだろうがこんな所にそんなクエストが来たら真っ先に取られちまうだろうな。

まあそういう訳だから大抵いつも募集されている薬草摘みにするか。


俺は何枚か重ねてピンで貼り付けてある薬草摘みの紙を1枚下に引っ張って取った。

……少し派手に破れてしまった。

んでそれを受付に持ってけば後の受注処理は勝手にやってくれる。



「いつものやつだ。頼んだ。」


「はい。承りました……ところでユドルさん?さっきのはいつにも増して酷くありません?前のおっさん達とはわけが違うでしょう?」


「ああ?…………変わりゃしねえよ。」


「何ですか今の間は!?やりすぎて人殺しして捕まっても知りませんからねっ!」


「あーはいはい。わーってるわーってる。」


「あ!?ちょっと!?まだ話は終わってませんよー!!」


おっと、ついギルドを飛び出して来てしまった。

今のはリリー。このギルドの受付嬢だ。


が、他の受付嬢とは少し違う。


ギルドには『専属受付嬢』の制度がある。しっかりとした働きを見せ、ギルドに多大な貢献をもたらした冒険者がギルドマスターから許可を貰い、1人指名出来るという制度だ。

専属と言ってもその冒険者を優先する、ってくらいだが。まあ気になる受付嬢とかだと冒険者のモチベーションが上がるしいい事なのだろう。


で、誰の専属なのかというとザックのやつの専属である。だが希望したのはザックではなく、ザックの嫁のヘレンの希望である。

何故なら……おっと待っていた人が来たみたいだ。

そいつは元気にこっちに走ってくる。


「ユードルー!おっはよーう!」

んでいつものように飛びついてくる。


「だから危ねぇから止めろっつってんだろ!」


「やーだねー!ボクが大きくなってもやってもらうからねー!」


こいつはライ。俺の師匠であるガイの……娘だ。

最近13になったんだったか。もうそろそろ女として成長して欲しいものだが。

俺の師匠のことはまた今度物思いにふけるとして、ライは俺が冒険者になってからずっとクエストには着いてきている。

どこから俺がクエスト受けたことを聞きつけてんのかは知らないが、コイツはかなり剣の腕が立つ。


13の今でもう剣術Lv3、元Aランク冒険者のガイの娘なだけある。


だからクエストに着いてきてくれるのは素直に助かっている。ちょっと1人だと危なかった事もあったしな。


「ほら、もう行くぞ。自分で歩け。」

「えー……はーい。」


手のかかる妹の世話をしている気分だ。


門番のおっちゃんに軽く挨拶をして森の中のいつもの場所に行く。

この辺りは雑草に混じって薬草が育っている。もっと深い所にいけば薬草だけが群生していると聞いた事があるが、まあ死にたくないしそんな所に行く必要はない。


「この辺なんにもいないからひまー、ボクも薬草摘みしたいー。」


「止めろ。お前に頼んだら生態系を壊しちまいそうって何度言えば分かる!」


「だってー」


「だってもなにもねえ!ちゃんと警戒してろ!」


「えー……あっ。なんか来てるっぽい。行ってくるー!」


「あっおい!……行っちまった。」


仕方ないのでもう少しと薬草を探していると軽い地響きがした。終わったか。


「ユドルー、手応えなかった。」

おうおう、こりゃまたでっかい狼だ。最近の森は物騒で困る。

「手早く解体しちまおう。おかげで今日は少し豪勢に食えそうだ。」

「えっへへー」


ライがにやけている。年相応な感じだ。生憎女を表現する語彙は持ち合わせてねえんだ。


解体し終わったら腹が減った。狼の死骸の鼻をつんつんしているライに声をかける。


「おい、昼飯食いに帰るぞ。」

「はーい。午後は?」

「なんも予定はねえな。ギルドで酒でも飲む。」

「ちえー、ボクはリリーさんと話しよっと。」


なんやかんや話していたらすぐに着いた。

門番のおっちゃんが声をかけてくる。


「なんだ、またでかいの狩ってるじゃあねえか。もしかしてユドルそれ狩りに行ったのか?」

「んな訳ねーだろ。ライだよ。」

「ふっふーん、凄いでしょー。」

「そりゃそうか、にしてもほんとに凄いな。おっと引き止めて悪かった。ギルド行ってこい。」

「ああ「またねー!」」


おっちゃんに褒められて鼻が高いのか少し小躍りしている。

あっ、リリーの話を聞かずに出てきたんだった。まあいいか。


ギルドの横にある素材買取のとこに入ると大抵いつもいる受付のおばちゃんしかいなかった。


「いらっしゃい。おっ久しぶりにでかいのが来たね。」

「これ頼んだ。」

「はいよ。……オオモリオオカミだね。解体もプロ程ではないが丁寧だ。でも珍しい素材はないから、こんなもんかね。はいよ。しめて銀貨70枚だ。」

「おおっ、いい稼ぎだ。これは美味いものが食える。」

「頑張ったのはライちゃんだろう?あの子に食わせてやりなよ!」

「バレバレか、わーってるよ。またよろしく。」


買取から出るとリリーが凄い形相で立っていた。あっ、ライのやつやりやがったな。


「ユードールーさーん?おはなししましょう?」

「お…おい、そんな顔してたら美人が台無しだぞ?落ち着け。」

「そんな事言っても騙されませんからね!お説教です!」

「あーっ。ねーユドル、ボクにも美人って言ってー!」

「わーっわーっ!やめろやめろ!ライは抱きつくな!あっリリー待て!待っうわああああああ」


昼飯はライはともかくリリーの分まで払わされ、ご機嫌取ろうとしたら買い物につき回された。今日の稼ぎもまた実質0だ。

ライの取り分は?と思うかもしれませんがリリーの買い物にライも着いてきており、服とか買わされてます。

ヒロイン回でした。

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