第七話 ぎりぎり
「龍也くん……」
龍也は怒っていることがすぐにわかるくらいの目と、雰囲気を出していた。
「私の名は三船並木と申す。できればご同行を……。」
「知るか。」
「そうか。ならば、仕方がない。」
三船が右手をあげたのとほぼ同時に、龍也は葵を抱えて跳んだ。
ドゴッ!
さっき龍也のいた場所めがけて、土の槍が飛び出してきていた。
「私の契約主、ツァトゥグア様の力を見せてやる!」
龍也は無言で葵をおろすと、左腕に黒い日本刀を発生させた。
「討て!!」
ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!
無数の槍が龍也めがけてきたが、それを龍也は一振りで薙ぎ払った。
「ふ、ふはははは!!」
三船が急に高笑いをし始めた。
「何だ?おかしくでもなったのか?」
「いやいや、感心しているのだ、お前の力に。」
そこで三船は不敵な笑みを浮かべた。
「しかし、片腕で私に勝てるかな?」
「えっ!?」
「……気づかれていたのか。ならば隠しながら戦う必要もないな。」
龍也が右手を出すと、そこには血に染まった手があった。
「しかし、これぐらいならちょうどいいハンデだろ。」
「そうかもしれないな。だからこうさせてもらう。」
そこで龍也は何かに気づいたのかハッとした。
「逃げろ、神岡!!」
「もう遅い!」
ドゴッ!ドゴッ!
三船が右手をあげたと同時に土の槍が葵を襲った。
ドンッ!
龍也は葵を突き飛ばした。
ザシュッ!ザシュッ!
「ぐっ!」
「!!大滝くん!!」
見事に土の槍は龍也の足を貫いていた。
「これで終わりだな。」
「まだ左手が残ってるぞ。」
「ただの強がりだな。」
三船は余裕の表情でいた。
「だめっ!!」
葵は龍也と三船の間に入って、手を大きく広げた。
「これ以上大滝くんを傷つけさせない!」
「何やってる!早く逃げろ!」
「絶対に逃げない。」
意志のこもった強い声であった。
「ふははははは。そうか。ならば二人で仲良く死ね。」
三船は右手をあげた。
そのとき、龍也は何とか立ち上がり、葵を囲むように後ろから抱きつき、前には刀を突き立てた。
キンッ!
金属に当たったような音がしたが、龍也の刀には何もあたってなどいなかった。土の槍が空中で、まるでその間に何かあるかのごとく止まっていた。
その光景に葵や三船だけでなく龍也までもが驚いていた。
「大滝くん、何かしたの?」
「いや、おれは何もしていない。」
パカッ パカッ パカッ パカッ
どこからともなく馬の歩く音が聞こえた。
すると何もないところから急に、角の生えた白い馬が現れた。
「まさか、ユニコーン!葵、こいつの話を聞くな!」
しかし、すでに龍也の声は葵には届いていなかった。
どうも、東京に行って驚いた、作者のヒッキーです。
この話では龍也が活躍しませんね。早く活躍させたいな。次話でも戦ってます。
次でも会いたい、そう思っています。




