第十七話 帰り道
家までの道で人には数人あったが赤いペンキをかぶってしまったと龍也が言うとだれもがなぜか納得してしまった。ありえないだろとも思えるけどなまあ、世間はそんなもんだ。
「……本当に問題なかった。」
「そんなもんだろ。」
悟は驚いていたが、葵は受け入れ、佐奈はまだ起きてなくて、龍也はもちろん気にしてなどいなかった。
「お前らは着替えたりして、リビングで待っていてくれ。俺は血を流すのに風呂に入ってくる。」
「んん〜ん、はれっ?」
やっと佐奈が起きた。そんな佐奈に説明を頼むと言い残し龍也は風呂場に向かった。
シャー……
シャワーを浴びる龍也の体に当たった水はどんどん赤く変わっていった。髪の血はすぐにはとれず、さっきまでまだ赤色をしていた血は乾き、すでにどす黒い色で髪を染めていた。
「とれないな。」
龍也はどうでもよくなったのか、髪を流すのをやめてタオルで思いっきり髪をふいた。もう完全に固まっているのか、タオルに血がつくことはなかった。
「あのさ、お兄ちゃん。」
脱衣所の外から佐奈の声がした。
「お兄ちゃん、佐奈のこと怒ってる?佐奈のこと嫌いになった?」
龍也は何のことだかわからないようだった。
「佐奈ね、お兄ちゃんの言うこと無視しちゃった。なのにまた守ってもらって、そんな佐奈のこと嫌いになっちゃたよね。」
「そんなことで嫌いになるか。」
外で佐奈は本当に意外そうな顔をした。
「別に昔っから俺の言うことだけ聞いてたわけじゃないし、それに人の言うことどおりにしか動けない人間なんかにお前にはなってほしくないしな。だから嫌いになる要素なんて一つもないだろ。」
「で、でも……」
「大丈夫だ。お前のことを嫌いになんかならねえから、だからリビングで待っててくれ。」
「う、うん!!」
とてとてと離れていく足音が聞こえた。龍也もさっさと服を着てリビングに向かった。
「さて、説明だが、どこまでお前らには話したかな?」
「契約者についてのところまでです。」
「みなさーん、コーヒーでいいですか!?」
佐奈はいつものマイペースに戻り、重要な話の前に飲み物を用意するとキッチンに向かっていた。
「おれはそれでOK。」
「わ、私もお構いなく。」
ということで4人分のコーヒーを持ってきた。ちゃんとミルクと砂糖も持ってきている。
龍也はブラックコーヒーを佐奈はミルク、砂糖ともに大量に、葵はミルクを入れ、悟は意外なことに竜也と同じくブラックコーヒーだった。
「へえー、悟君がブラックとは意外だね。お兄ちゃんのはイメージ通りだけど。」
「そういう佐奈ちゃんはイメージ通りだな。」
そんな他愛ない会話を楽しんでいた。しかし、本題のことを忘れている。
「そろそろ本題に入ってもいいか。」
龍也の一言でやっと話が戻った。
「まずは襲ってきたやつらについてだ。」




