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BLIZZARD!  作者: 青色魚
第二章・急『英雄譚』
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interlude『英雄譚──終止符』

 ──まったく、何でこんなに柄でもないことしてたんだっけな。


 猛吹雪に晒され、身体は疲労で今にも倒れそうな状況で、冰崎(すさき)(かける)はそう苦笑した。


 翔の意識が朦朧としているのもむりはないだろう。身体は凍え、視界は舞い散る雪に遮られ、その白の弾幕の向こうには翔の()となる存在(けもの)がいる。そして何よりも懸念すべきことに、彼の後ろには守るべき対象(ひとりのしょうじょ)がいるのだ。


 ──って、あれ? 前にもこんなことなかったっけか?


 翔は自らが置かれているその状況にどこか既視感(デジャブ)を感じる。しかし、その正体(こたえ)に辿り着くより前に、目の前の敵から攻撃が繰り出された。


「うおっ!」


 その一撃を何とか避け、翔はその敵との距離をとった。一瞬でも余分な思考を自らがしていたことを翔は恥じ、改めて目の前の敵に意識を集中させた。


 ──集中しろ。そして、覚悟を決めろ、(ヒーロー)


 翔は自らが守っているものの大きさを改めて実感し、そう自分に言い聞かせた。


 翔は目の前のその敵に向かい合うのと同時に、一つの覚悟を決めていた。それは、自らの()()()()終止符(ピリオド)を付けるというものだった。


 ──今まで俺は、色んな苦しいことから逃げて、失敗して、それでもただ漠然と日々を過ごしてきた。


 翔は自らの歩んできたその日々を振り返る。それらは自分の眼から見てもなんとも情けない日々であった。それこそ、英雄(ヒーロー)などとは程遠いような。


 ──そんなみっともない日々を、終わらせるんだろ。


 翔は必死に自分にそう言い聞かせる。


 ──あの、弱かったころの俺という過去に終止符(ピリオド)を打つんだろ!


 翔はそう自分に言い聞かせ、そして自分自身に言い聞かせたその言葉から活力(エネルギー)をもらう。


 翔の覚悟とは、そのようなものであった。自らのことを英雄(ヒーロー)と呼びつつも、それに見合った努力はせず、失敗からは逃げ、ただ無為に日々を過ごす。そんな、自らの情けない過去と決別するために、翔はその場に立っていた。


 視界に舞う白が少しずつ晴れていく。目の前の敵との激突までそう長くはない。覚悟を決め、翔は後ろの存在(コハル)に語りかける。


「……安心しろ、『俺が絶対助けてやる』なんてカッコいいことは言えないが……」


 吹雪が晴れる、その瞬間、翔はニヤリと笑ってこう続けた。



「……お前を絶対死なせない、それくらいは約束するぜ」



 翔がそういったのと同時に、『新種』は翔に飛び掛かった。


 そしてそれと同時に、翔の戦い(えいゆうたん)は幕を開けたのだった。

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