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《神賢》の力

 ―――《神賢》

 ―――別名:知らぬ理無し

 ―――この能力(ヴァルシア)を持つ者に全知を授ける。これはこの世の理に限らず、場合によっては未来の知恵すら知ることが出来る。



「おいおい、嘘だろ…」


 青年はそれしか口にできなかった。

 幸いにも狩りの帰りだったため周りには誰もいなかった故、独り言を聞かれることは無かった。


 が、それでも暫く放心するには十分すぎる衝撃であった。


 そして彼自身も《神賢》を発動した際、それらの知識がまるで吸い付く(・・・・)ように身に付いたのだ。感覚で言うなら長い間忘れていたものを思い出したという感覚に近い。

 今まで身についていなかった知識が前からあるような錯覚に青年は大きな困惑を覚えた。


「色々変な感覚だな…まぁ、今はこの《神賢》がどれくらいなのかな…」


 そこで青年は疑問に思う事を片っ端から聞いてみた。




 Q:今俺のいる国の名前は?

 バクラード王国。


 Q:今の国王の名前は?

 デルファーズ・ルイ・フォン・バクラード国王陛下。二つ名に『拳王』がある。


 Q:一番大きい街の名前は?

 どの国の街かは不明であるが、バクラード王国の首都を示すのであれば「王都バクラード」


 Q:首都ってなんだ?

 その国の中枢の街。又は国の統率者が住まう場所。


 Q:統率者って?

 群れなどを纏め上げる人物。主な例として、国王や皇帝。軍などで言うなら将軍などを示す人。


 Q:俺の生まれた村の名前は?

 アスタルの村。


 Q:俺の近くに魔物は?又は村の近くに魔物は?

 どちらにもすぐに迫るような魔物は今のところなし


 Q:古の勇者の名前は?

 旧姓アリスタール。勇者時の名前はラスタル・ヴァン・ミリエール。


 Q:どうして名前が違うの?

 当時のラスタルは自身が勇者としての自覚が無かったが、自分自身の覚悟を世界中に知らしめるために名前を変えた。


 Q:自身についての可能性は?

 少なくとも他の能力(ヴァルシア)持ちよりは有望ではあるが、そのまま行くと近い将来、権力者に囲まれ自由が奪われる確率は99.9%。もしもこのまま平凡でいた場合、夢を叶えられずに果てる可能性99.9%。


 Q:そうならないように立ち回れるとしたら?

 成り行きなどによっては不回避だが、何もしないよりは大幅に改善される。


 Q:俺は貴族になれるのか?

 どういう方法でなるかは不明であるが、可能。冒険者として行くか、貴族に弟子入りなどをするか、騎士になるか、雇われるなどの方法があり、それぞれが貴族になれる可能性は変動する。




「凄すぎるだろう…」


 それが青年が初めて口にした言葉であった。


 それぞれが適当に聞いたものなのだが、大半の答えは全て正解していた。


 そして青年は他の能力はどうなのかと思った。するとすぐに回答が帰ってきた。

 ソレはリストの様に目の前に出てきた。見た目で言うなら半透明のガラス板が目の前にある感じである。ただし、浮いている感じで。



 ーー<シンケンの使い手>能力リストーー

 1.神賢

 2.??

 3.??

 4.??

 5.??

 6.??

 7.??

 8.??

 9.??

 10.??

 11.??

 12.??

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あれ?殆ど分からない?」


(A:条件を満たしていないので表示することが出来ません)


 青年は殆ど分からないことに意味が分からなかったが、《神賢》による回答でそれなりに納得した。

 《神賢》が発動できたのは“疑問を持ったから”である。それが《神賢》という能力を発現させるに至ったのだ。

 となると、他の力も条件さえクリア出来れば解放されると青年は考えた。が、条件が分からなければどうにもならない為、今は放っておいた。


 が、それでも素朴な疑問は多くあった。

 人ならみんなあるであろう素朴な疑問。


 例えば「しゃもじってどうしてあんな形をしているのだろう?」と考える。

 それを答えるだけでも歴史的観点からどうやって発展したやらという話になる。が、ただちょっとした好奇心なのでそこまで気にすることは無いだろう。


 そういったモノは青年には多くあった。若い故の好奇心とも言えるが、それを全て答えてくれる…応えて貰えるのが《神賢》だというのを不思議と理解していた。だからダメもとで聞いてみた。


「…俺は……『強く』なれるのか?」


(A:…際限なく、能力の所持者自身が強くありたく行動する限り、永遠に強くなれます)


「そうか…」


 そこで青年は一度目を瞑り、そしてしばらく考えた後にその目を開いた。


 その目には、どこまでも輝かしい未来が見える目をしていた。

 青年は下ろしていた森で狩った肉を再び方に背負って宣言した。



「それじゃ、まずはこの狩った肉を村に届けるかな。そしてみんなに能力が開花したって事を報告しないと!」


(A:警告!それは非常にお勧めしません)


「うお!?」


 …宣言したのはいいが、《神賢》が頭に響くような警告を促してきた。


「え…どうして?だって、村の皆に俺が能力(ヴァルシア)に目覚めたって…」


(A:いいえ。それは絶対にしてはなりません。そして可能な限りアスタルの村から離れることを強くお勧めします)


「だから、それがどうしてなんだ?」


(A:村人…特に村長の所持者に対する考えが不吉を漂わせます。どちらにしろ長居は出来ないかと)


「主な理由は?」


(A:どうも所持者に対して良からぬ考えを抱いているようです。今晩、遅くても明日の朝にあなたを抹消しようとしています)


「え!?」


(A:今も現在進行中で所持者をどうやって捕縛しようか村人同士で考えているようです)


「嘘でしょ…」


(A:いいえ、これは冗談ではありません。どうやら親などはもういない、そして気になる幼馴染もいないようなので、もう村から出たほうが賢明かと)


「ううん…そんなこと言われてもなぁ」


 確かに青年には幼馴染やそういった関係の人たちはいない。が、彼が懸念しているのは仮に村から出るとしても今まで使ってきた家具やお金などの一部を全部持っていけないという事だった。それもこれから旅という事でどれを持って行った方が良いか分からないが故であった。が、それをあっさり《神賢》が解決した。


(A:もしも全部持っていけないという事であれば、私がこれからに必要な物を選別致します。そうすればどれがこれから先よく使うか、などが分かるでしょう)


「ああ…うん。お願い」


 これで青年の準備の大半は《神賢》が補うこととなり、急いで青年はアスタルの村に戻った。

さて、今回の主人公ですが、村人現地産の主人公故に、色々分からないことが多いです。それは語学も一緒なのでそこは勘弁してもらえると助かります。

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