空腹魔王
ネタを思いついた当初は文字にする気等なく、文字になった今でも信じられない思いです。
深夜テンションとエイプリルフールネタ、そしてツイッターにてフォローさせてもらっている作家さんから貰ったテンションが合わさってできたこの作品。
普段ROM専なものでして、至らぬ点が数多くあると思います。
それでもよい方、暇つぶしにどうぞ。
もう何日、マトモな食い物を口にしていないだろうか。
恐らく今なら、どれほどささいな食物でもあさましく求めてしまうだろう。
あぁ……腹が減った。
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「魔王、覚悟!」
レベルを十二分に上げ、各地に封じられていた伝説級の装備と退魔の剣で身を固めた。不測の事態に備え、道具袋にはあらゆるアイテムを詰め込んである。
ここに至るまで荒れ果てた大地での野宿が続いたが、この程度でへばる様な鍛え方はしていない。万全の体調で今、魔王に挑む。
「……わ、ろ……」
「……なんだ、言いたいことがあるならはっきり言え」
「食、わせろぉおおぉぁあああああああ!!!」
いきなり獣のように突っ込んできた魔王にギリギリで反応し、その体にかろうじて剣を滑らせる。
『手ごたえが軽い、大した傷ではないハズ』
「いきなり襲ってくるなんて流石は魔王、外道だな」
「……食わせろ、寄越せ、匂う、そこだ。その袋だ」
『道具袋の事、か? 色々入れてきたと言っても魔王の注意を引くようなものは』
その隙を狙われた。
「ガァアアアァアアアアアア!!!!」
魔王が狂ったように叫び、魔王からのプレッシャーが跳ね上がる。
<真実のイヤリングが効果を発揮します>
<敵性存在のステータス変化を確認>
攻撃系ステータスが50%上昇
防御系ステータスが30%下降
早さが倍加
『さしずめ狂化でもしたって所か。こいつはめんどく、っ!?』
のん気に相手ステータスを分析していた油断を突かれ、一瞬で目の前に迫った魔王の拳に反応しそこねる。
『く、そっ…………』
勢いの乗った拳をまともにくらい、魔王が手を伸ばしてくるのを認識しつつ、意識を闇に落とした。
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「……っつぅ、くそ、何が」
「目覚めたか、先ほどはすまんな」
「あ? ……あ! 魔王!」
『くそ、装備をはぎ取られてる! なんとか隙を見つけて取り返さねぇと……』
「気絶から目覚めたばかりだというのに元気の良いやつだ。並みの者なら死んでいる程にはダメージを与えたハズなのだが?」
「黙れ! あの程度で根を上げるような鍛え方はしてねぇ! 俺の装備はどこに……ってそれ俺の道具袋じゃねぇか!! 中身いじくるんじゃねぇ!!!」
「それはできない相談だ、魔界では勝者が敗者のすべてを手に入れるのが道理。お前は我に負けた。よってこの食料は我の物だ。」
「食料とか幾らでも分けてやるから! ……って、食糧?」
「幾らでも分けてやる、と言ったな? ならば魔界全土を養えるほどの食料を貰おうか」
「は?」
「今の魔界は典型的な食糧不足でな。人間界のそれと比べると痩せた土地故、今までもこういうことが無かったわけではないが、今年のそれは特に厳しい。それこそ、飢餓に狂った魔族が人間界を攻めるほどに」
「……それって」
「勇者よ、お前に世界救済の方法を教えてやろう。なすべきことは、ただ一つ」
<真実のイヤリングが効果を発揮します>
<自分ステータスに変化を確認>
<ニュークエストが解禁されました!>
クエスト名:≪魔族の腹を満たせ≫
ちゃんと各セリフの発言者が伝わったでしょうか?
不自然な文法、誤字は無かったでしょうか?
そして何より、楽しんでいただけましたでしょうか?