【閑話休題】 ストラスの多事雑言
近藤信也が目を覚ますと、白い部屋に居た。
「ようこそ、真実の部屋へ」
鳥かごの中のフクロウが話しかけてきた。
「ストラスさん。結局、出番ありませんでしたね」
「・・・・・・そんなことより、質問したいことがあるんだろ」
ストラスは遠い目をしながら、話しを逸らした。
「小野寺さんが、心理状態がよく判らなかったんですけど・・・・・」
「作中では、明言されていないけど。小野寺さんにはトラウマがあったんだ。
大好き兄を亡くしたことにより、大好きな人を亡くすことを極端に恐れるようになったんだ。
その結果、大好きな人を再び亡くすくらいなら、大好きな人なんて作らない。
それが小野寺の心理状態だね。だから彼女は恋人なんか作らない」
「そうだったんですか。じゃあ、僕が振られたも嫌いだったからじゃないんだ」
「それはどうかな」
「・・・・・・」
「それに、問題はそこではない。
彼女の心は既に傷つき、脆くなっていたんだよ。
そんな小野寺に対して、君は『恋のノロイ』をかけて、自分を好きになるようにしたわけだけど。
君は魔法の力を使って、彼女の心の防護壁を越えてしまったんだ。
『恋のノロイ』は呪った人物の思いが強いほど、ノロイも強くなるんだ。君の思いは『小野寺のためなら死んでも良い』と思うほど相当強いものでだったから、小野寺の近藤に対する思いも、同様に強くなったわけだけど。
彼女が、なぜ、あんなに恐れたか理解出来た?」
「理解できました」
「結局、呪いを解く過程で、彼女は、再び大切な人を失ったわけだ。
記憶から亡くなったとしても、心の傷としては十分残ったわけで。しかも、自分の愛を偽りと言われた訳だから、小野寺のショックは大きくて、第二のトラウマになっただろうね。
君が小野寺さんに、どんだけ酷いことをしたか理解してた?」
「・・・・・・全然理解していませんでした。まずいですよね」
「まずいね。相当。もっとも、君と清水は、悪魔契約者で、その辺が疎くなっているからね」
「それにしても、この作品って、アクションものじゃないんですか?」
「そのはずなんだけどね。何でこうなるだろう。とりあえず、次の章で一段落かな」
「そうなんですか?」
「ネタはあるんだけどよ。休みが終わるし。ペースダウンですな」