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悪魔と契約しちゃいました  作者: ガラクタ・エントツ
第2章 「恋のまじない」
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第4話 告白

 小野寺 瞳。

 彼女のことを好きになったのは、いつごろからだろう。

 正直言って、入学式で彼女を見ていてから、好きになっていたのかもしれない。

 でも、ただ思っているだけで、何も出来なかった。

 ただ、1年2年とクラスは同じで、共通の友人もあることから、何かと話すことは多かった。

 特に2年になると、席も近くなり、話す機会は格段に増えた。でも、それ以上進展することはなく、深く知り合う機会がなかった。

 ただ、遠くで見ているだけで時間が過ぎて行った。


「...そんなこと、突然、言われても困るよ」

 近藤が告白すると、小野寺さんは、そう言って、突然泣き出した。

 その言葉を言われた瞬間、文字通り目の前が真っ暗になり、世界は、ガラガラと音を立てて崩れ落ちた。

 迷惑か・・・確かにそうかもしれない。僕は自分のことばかり考えていたことを反省したが・・・もう、どうにもならない。


 近藤信也、16歳、高校二年生の恋の告白は終わった。

 そして、泣きだすと言う予想外の展開に、近藤は困惑した。

「私、近藤君のこと。良い友達だと思っていたのに・・・・・・そんなこと言われたら。もう、友達じゃいられないじゃない」

「ごめん」

「何で謝るの。誤るくらいなら、好きだなんて言わないでよ」


 その時、その言葉を彼女が、どんな顔で言ったのか、判らなかった。

 怖くて、彼女の方を見れなかったためだ。

 つくづく、だらしなくて、惨めな男だと思った。

 彼女に振られて、当然だ。


 惨めだ。


 こうなることは、判っていたはずだ。


 その時、ポケットの中に入れていた呪いの魔法陣を書いてあった紙が、突然熱くなっているのを感じた。

 慌てて、ポケットから取り出すと、屋上の床に放り投げた。


 まるで、意志があるかのごとく、折りたたんであった紙が開き始めた。

 紙が完全に開くと、突然激しく燃え始め、火柱が上がった。

 そして、火柱の中に赤い扉が現われた。

 扉がゆっくりと開き、ピエロが中から現われた。


 白い顔に、十字目。唇は不恰好な程赤く大きく、大きなまん丸の赤い鼻が付けられていた。二つ角の帽子に右半身が赤、左半身が青の左右で色が異なる服装。もう一人入りそうな程の大きなダボダボズボン。絵に描いたようなピエロの格好をしていた。


「なによこれ?」

 小野寺さんは脅えていた。


「契約に元づいて、おまえを助けに来た」

 そういうと、ピエロは、彼女に対して鎖付きの首輪を投げた。

 まるで吸いつくように、首輪は彼女の首にはまった。

「なによこれ? 私をどうするつもりよ」

「お前に説明する必要はない」

「さぁ、これで女は永遠にお前の物だ。そして、同時に、お前も永遠に女の物だ。そして、対価として彼女の心をもらっていく」


「ちょっと待ってくれ。違うんだ。僕は・・・彼女を自分の物にしたいんじゃない」

「では、何をしたいんだ」

「彼女に好かれたいんだ。彼女と一緒に生きていたいだけなんだ」

「綺麗事を言うな。おまえの望みは、あの女を所有し、独占し、SEXをして、子供を作って、幸せな家庭を築くことだ。違うか」

 近藤は、その通りかもしれないと考え、返答に詰まってしまった。


「拒否したところで、契約は履行させてもらう。それに今は拒否しても、じきに私に感謝するようになるさ。お互いにな」

 そう言うと、ピエロは鎖を引き、彼女を扉の向こうに連れて行こうとする。

 小野寺は抵抗するが、ピエロの引きは強く、小野寺はコンクリートの床を引きずられる。


「止めろ」

 近藤は鎖を持ち、ピエロの行為の邪魔をする。

「無駄な抵抗だ」

 ピエロは、大鎌を振り下ろすと、近藤の左手を手首から切り落とした。

 激しい苦痛の呻きを上げると、近藤は床にしゃがみ込んでしまう。


「現実世界に戻れば、痛みは忘れる。そして、今のこともな」

 ピエロは、そう言い残すと、小野寺を連れて扉の向こうへと消えて行った。


「運が良いな」

 そう言って、清水は近藤の手首を拾った。

「手を出せ、くっけてやる」

 近藤が彼女に左手を出すと、彼女は拾った近藤の手と切断目を合わせ、彼女の手をその上に添えた。

 彼女が手を離すと不思議なことに腕はついていた。

 痛みは消え、指もちゃんと動く。

「とりあえず、抱合はした。無理はさせるなよ」


「見てないで、助けれくれれば良いのに」

「今のは、過去の記憶だ。どうしようもない」

「一体何が起きたんですか」

「もう判っているだろ。お前の呪いが怪物を召喚したんだよ。そして、彼女の心は連れ去られた。彼女を取り戻しに行くよ」

「でも、どうやって?」

「そのために私は来たのよ。まだ扉が残っているでしょ。扉を通って、ピエロの世界に行くのよ」



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