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第5話 カエルは先生にお茶を出す。

私がダンスの練習をしている時間は、先生は書庫にこもって本を読んでいるようだ。

うちは小国だが、歴史は長い。よくもまあ、両隣の大国に飲み込まれずに王政を維持してきたものだと、歴史を習っても感心する。もちろん、何度もその危機はあったようだが。

うちの図書館には古代語の書物なども収容されている。昔から両大国と行き来もあったので、その国の古い書物も残っている。ブリアは一度王都が戦火に見舞われているので、古い書物のほとんどは燃えてしまって無いらしい。


ダンスの練習が終わって着替えてから、図書館に先生を迎えに行く。

薄暗くなり始めた図書館の階段椅子に座って、微動だにせずに本を読んでいる先生を見つける。厳かで、美しい絵画を見るような静かさだ。

すらりと伸びた脚。肩にかかる長い髪。整った横顔…。


(しゃべらなかったら、本当に素敵な人よネ?しかも…お父様と同級生?そうは見えないなあ…。ドミニクは独身貴族って言うのは若く見えるもんなんです、って言っていたけど。)


アンジェリーヌはしばらくの間見とれて…声をかける。

「先生。お茶にいたしましょう?」


先生がゆっくりと私を見て…微笑む。


「ダンスはどうだい?」

椅子から降りてきた先生が、古めかしい本を一冊小脇に抱えて聞いてくる。

「…まあまあ…だと思います」


お茶も、何とか上手に入れられるようになってきた。実はこっそり、ドミニクと練習している。まあ…先生に褒められたことはないけど。

そっと先生の前にカップを運ぶ。

「ああ。ありがとう」


お茶を飲むしぐさも、100点満点だ。先生をマネするべきところはたくさんある。

どうしたらそんな風に…無駄なく、力まず、上品にお茶が飲めるのか?

そんなことを考えながら、アンジェリーヌもカップに口をつける。








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