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第10話 カエルの相談。

「…というわけで…私はリベンジを誓ったわけです。いつか跪かせてやる!って一心で、厳しい家庭教師の指導にも耐えてきたんです。カエルの逆襲なんです。」


ふんすっ、と話し終わって鼻息を吐いたアンを、二人が驚いた顔で見る。


「あり得ないわ。レディに対して…太っているとか、カエルみたいだとか…フールの男たちは女の子のことはひたすら褒めるわよ?子供だろうがおばあちゃんだろうが…いいところを探しまくって、ほめちぎるわ。ブリアって、女の子に対してそんな感じなの??」

「え?」


笑い話のつもりで昔の話をしたアンは、困惑した。

今は可愛いから問題ないわよ~とかお世辞を言ってくれても良かったのに…。


「そうですね。ブリアはまだ男尊女卑がひどいですからね。女は男の所有物でしかありません。子供の頃は父の物で、嫁に行ったら夫の物、です。フールと違って、女性の働く場も少ないですから、そうならざるを得ない。一番それを現わしているのが、あの、異常に細いウエストのドレスですね。男から見て、か弱い女が理想なんでしょうね。」

半ば呆れたような口調でイレーネが言う。


ああ。確かにブリアのドレスのウエストは細いわね?そういうデザインではないの?

ウエストと男尊女卑になにか関係が??しかも…物、って…。


「しかも…今は王子かもしれないけど、いずれは王室を去らなければいけないわけでしょう?婿に迎えていただく、って謙虚な気持ちは…お持ちじゃないのかしら?まあ、プライドは大事ですけどね。」

「そうねえ…必要なプライドと不要なプライド、ってありますからね。たとえばよ?あの人ならアンの国に行ったとしても、俺はブリアの王子だぞ、って一生言い続けそう。もうあなたでいいから、早く決めてほしいけどね。」

「……」


…なるほど。言いそう。

それにしてもイレーネ…あなたでいいとか…どうなのその言い回し???



*****


ディーは転送されてきたアンの手紙を開いて、思わず笑ってしまった。


ちょうど、スペーナ国まで足を延ばしていた彼は、滞在中の知り合いの屋敷で手紙を受け取り、その知り合いに教え子が書いてきた内容を読んでやった。


【そのスペーナの王太子ってのが6つ上なんだけど、もう愛妾を3人も抱えてて…子供も4人もいる。そこに正妃に入るわけよ、ってマリーアンジュ様がおっしゃっていました。大国は大国でいろいろ大変なんですねぇ。】


「は?」


赤い髪をした彫の深い男が、ソファーにだらしなく座っていたが、転げ落ちる勢いで僕の読んでいた手紙を奪い取った。


「え?何で?…なんでそんな話になってるわけ?」


何度も何度も同じところを読んで…その男は情けない声を上げる。


「いや…そりゃあ、お前の日ごろの行いだろうな」

「え?」


…と、救いを求める捨て犬のように僕を見たその男はスペーナ国の王太子、フラビオ、その人だ。


「ま、ま、ま…確かに、恋もしたし、それなりのこともしたかもだけど…俺はマリー一筋なんだけど???」

「くくくっ。そう言うのを一筋って言わないという認識なんじゃないのか?」

「だって…愛妾が3人に、子供が4人って…いないから!それをマリーが信じてるの?」


「そうみたいだな。」


膝から崩れ落ちた見目の良いその男から、アンの手紙を取り戻して読み進める。

もう一人はブリアの公爵令嬢ねえ…婚約破棄までして…あのタヌキおやじ、何を企んでるんだか。


それにしても…なかなかいい友人が出来たようだ。学生時代にしか話せないこともあるから。女の子は特にそうだ。嫁に行ってしまうと、自由が利かなくなるだろうから。


「そ…そう言う先生だって、このところ未亡人遊び自粛してるんじゃないの?ダリア夫人とレイナルダ夫人が俺に探りを入れてきたぞ?誰か…良い人みつかったのか?って」

「あ?」

「その手紙だってここに来てからもう3通目だろう?先生の恋人か?その子がマリーの友人なのか??」

「…いや。お前と一緒で、僕の教え子だよ。お前より優秀だがな。ふふふっ。それに、僕の同級生の娘さんだ」

「ん?先生の国では、年が離れていると、恋しちゃいけない法律でもあるのか?」


…こいつは…脳みその中まで自由と愛が詰まっているな。


「それに、その子はベル国の王女なんだが、ブリア国のクリストフ殿下を婿に取りたいらしくてね」


「へええ…あの子を、ねえ」


「ふふふっ。初めて会った時、印象が悪かったようでね?リベンジの準備中なんだよ?」














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