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21 道塞ギ歌ノ夕方



夕刻。

凶は家を出た。


顔には緊張がある。

実は今朝、夫が出掛けた後、夫宛の電報があった。


《サクヤ オクガタ ジョウホウモトム サンニングミ アリ》


親展指定があった(本人のみ開封の意)が、まだ物慣れぬ配達夫だったため、凶が受け取ったのだ。

彼女の瘴気でこの辺りの担当は顔ぶれがよく変わる。


誰かが自分を調べているらしい。あの害意を感じる視線の主だろうか。公安も引き下がったとは思えない。


自分を見張る信者たちは、すぐに撒くことができる。

彼女は自分の背後も視覚がきく。

さらに、自分が一度食べた(・ ・・)人間の位置は近距離なら感じ取れる。



不幸。

それを自分が食べているのだと、人間たちは言う。

そうなのだろうか?


捨てられた子犬や子猫を彼女はよく拾って帰ったが、あの子達に食欲が湧いたことはない。

あの子達が不幸を感じていないとでも?


人間特有の何かが混ざっていなければダメなのかもしれない。

だとしたら、自分が食べているのは本当に不幸なのだろうか。


道の途中で子どもたちが遊んでいる。



「ひとーつ、一の鳥居は竜宮海界

おみやげ持って帰しましょ


ふたーつ、二の鳥居はあるよなないよな

父様母様知らぬふり


みっつ、三の鳥居はぱちぱち燃えて

お城が落ちた まっくらけ


よっつ、鳥居はありませぬ

四方無辺の暗がりに

四方闇牢番、つり目をいからせ

地獄の小町がつかまえた──三の鳥居!」


きゃっ、といって手を叩いていた子が、鬼役らしき子に捕まる。

「まっくらけー、まっくらけー」

残りの子どものお囃子(はやし)が入る。


ふと、視線に気づいたのか一人の男の子が言った。

「お姉さんも遊ぶ?」

いつの間にか、見入っていたらしい。

だが、後ろの幼い女の子が青い顔で凶を見て泣き出したので、慌てて首を振って再び歩き出す。


速足になった。


気を取られているうちに、たくさんの害意、気配がすぐそこに迫っていた。

姿は見えない。


(早くあの子たちから離れなければ)


小さな子どもを巻き込まない場所、誰も巻き込まれない場所へ。


夕光はもう消えようとしている。


路地に入ると、

しっぽが道をふさいだ。


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