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13 罪ノ糸口
窓が軽く振動すると突如その前に、黒霧が湧いた。
たすき掛けして、本棚にはたきをかけていた数え音が慌てもせず、顔をしかめる。
「来るなら横着しねえで現世用の体動かして玄関から訪ねて来いよ、地蔵坊。冥府の気をばらまいたら家具が傷むじゃねえか」
霧が艶治な僧衣の女人姿に変わり、頭を下げる。
「申し訳ありませぬ。しかしそれがしどうやら引きを当てたようで、取り急ぎご報告に参った次第」
時に男時に女に移り変わる奇妙な声が急いたように語る。
その言葉を聞いて、数え音の顔がきりりと引き締まる。
「こないだのヤツはこっちで計量違い起こしてたか? 極楽帳からなにか出たか?」
「いいえ、そちらとは違う件なのですが。手掛かりどころか、恐らく大本命ではないかと」
数え音の 黒目がちの目に炎のように怒りが揺らめく。
「冥府への策謀者を見つけたか。生者か死者か、神か仏か魔か怪か」




