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好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。  作者: 東野あさひ


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24/41

第24話 #真実の投稿

 夜の校舎。

 窓の外には街の灯りが点々と並び、

 グラウンドはもう真っ暗だった。


 部活帰りの声も、どこか遠い。

 俺は教室に一人で残っていた。

 机の上に置いたスマホが、静かに光っている。


 ――#秘密の恋人

 ――#七瀬ひより二股疑惑


 どちらのタグも、まだトレンド上位に居座っている。

 誰かが面白半分で作った投稿。

 けど、放っておけば“真実”になるのがこの世界だ。


 沈黙してたら、ひよりが一人で傷つく。

 だから、もう黙らない。


 指が勝手に動いた。

 StarChatの投稿画面を開く。

 画面の白が、やけに眩しい。


【真嶋蒼汰@2-B】

「噂は全部、誤解だ。

七瀬は何も悪くない。

俺が勝手に、好きになっただけだ。」


 ――送信。


 一瞬の静寂。

 次の瞬間、通知が爆発したように鳴り続けた。


───────────────────────

StarChat #真実の投稿

【校内ウォッチ】

「真嶋、ついに“好き”を明言!」

コメント:

・「#男前すぎる」

・「#公式告白」

・「#誤解から始まる恋の真実」

───────────────────────


「……バカだな、俺」

 でも、少しだけ肩の力が抜けた。

 ひよりを守るとか、正すとか、そんな大げさなことじゃない。

 ただ――“好き”を自分の言葉で言いたかっただけだ。


 翌朝。

 登校すると、教室が妙に静かだった。

 その中心に、ひよりが立っていた。

 両手でスケッチブックを抱えて。


「……見ました」

「……ああ、見たか」

「ありがとうございます」

「礼はいい。迷惑じゃなかったか?」

「迷惑だったら、今ここにいません」


 そう言って、ひよりはスケッチブックを開いた。

 そこには、昨日描いた絵――

 “二人の影が重なりそうで重ならない”あの絵が、

 少しだけ変わっていた。


 今度は、

 影がほんの少し重なっていた。


「修正しました」

「……直すの早ぇな」

「だって、昨日“真実”が届いたので」


 ひよりの笑顔が、

 本当に“届いた”って感じがした。


 昼休み。

 悠真が机に肘をついて笑う。

「お前、完全に主人公じゃん」

「誰がラブコメの台本書いたんだよ」

「現実が台本越えてるんだよ」

「うるせぇ」

「にしても、“好きになっただけ”ってセリフ、

 シンプルすぎて逆に刺さったわ」

「……狙ってねぇよ」


 ひよりがこちらを見て、

 静かに手を振った。

 その仕草が、“誤解”も“炎上”も全部溶かしていくようで。


 放課後。

 StarChatを開くと、トレンドの一番上には新しい投稿があった。


───────────────────────

StarChat #真実の投稿

【桜井先生@担任】

「“誤解”を恐れて沈黙するより、

 “真実”で傷つくほうが、人は優しくなれる。

 今日の授業は、青春。」

コメント:

・「#先生の授業受けたい」

・「#沈黙より真実を」

───────────────────────


「……先生、また完璧にまとめてきたな」

「先生の締めコメント、いつもラストっぽいですね」ひよりが笑う。

「俺たち、まだ続いてんだけどな」

「はい。誤解の物語、更新中です」


 ひよりの笑顔。

 そのすぐ隣にいるだけで、

 “誤解でもいい”じゃなく――

 “本当でいたい”と思えた。

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