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好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。  作者: 東野あさひ


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19/41

第19話 #恋がバレた日

 朝の教室に入った瞬間、空気が違った。

 というか、明らかに「俺、見られてるな」っていうあの感じ。


 机にカバンを置く前に、

 すでに後ろの席の女子が小声でささやいた。


「おはよう、“蒼汰くん”。」

「……やめろ」

「“ひより”って呼んだんでしょ?」

「……おい、なんで知ってんだ」

「StarChat見てないの!?」


 その言葉で悟った。

 またやらかした。


 スマホを取り出して、画面を開く。

 そこにはトレンド1位――。


───────────────────────

StarChat #恋がバレた日

【校内ウォッチ】

「屋上で“ひより”って呼んだ瞬間の空気、尊すぎた件」

コメント:

・「#正式に両想い認定」

・「#呼び方でバレる恋」

・「#ツンデレ陥落」

───────────────────────


「……悠真、てめぇか」

「いやぁ~、つい手が滑った」悠真が机に突っ伏して笑う。

「滑ったじゃねぇだろ」

「だってさ、見たか? お前ら、まるでドラマ最終回だったぞ?」

「最終回って、俺らまだ第19話くらいだぞ」

「自己メタやめろ」


 周囲が爆笑する中、

 七瀬――いや、ひよりが教室に入ってきた。

 ざわついていた空気が、一瞬で静まる。


 そして、全員の視線が“俺たち”に向いた。


「おはようございます」

 ひよりの声はいつもどおり柔らかい。

 でも、頬が少し赤い。

 こっちもなんとなく目を逸らす。


「……ひより」

「はい」

「なんか、俺ら、バレたらしい」

「ですね」

「怒ってる?」

「いえ。むしろ、スッキリしました」

「スッキリ?」

「だって、誤解じゃなくなりましたから」


 その一言で、クラスが一気にざわめいた。


「え!? 本当なの!?」

「#ガチだった」

「#誤解終了のお知らせ」


 桜井先生が教室のドアを開けて入ってくる。

「おはよう。……ああ、トレンドの件ね」

「先生、見てたんですか」

「もちろん。教育者としてチェックは怠らん」

「監視者だろそれ!」

「青春の経過観察だ」

「いや、研究対象扱い!?」


 クラス全体が笑いに包まれた。

 でもその中で、ひよりだけは少し照れくさそうに俯いていた。


 昼休み。

 屋上に出ると、

 すでにひよりがベンチに座っていた。


「……ごめんな。なんか、全部バレた」

「謝らないでください」

「でも、こういうのって、面倒くさいだろ」

「いいえ。

 “好きって言ってないのに、バレる”って、ちょっと面白いです」

「……お前なぁ」

「だって、今までも全部“誤解”でしたけど、

 今日だけは、“誤解でいい”って思いました」


 その言葉に、思わず黙る。

 風が頬を撫でて、ひよりの髪が揺れた。


「ねえ、蒼汰くん」

「うん」

「もし、誤解が続くなら――

 私は、それでもいいです」

「なんで」

「だって、誤解の中に、ちゃんと本当があるから」


 心臓の鼓動が、耳の奥で鳴っていた。

 言葉が出てこない。

 でも、伝わっている気がした。


───────────────────────

StarChat #恋がバレた日

【桜井先生@担任】

「“誤解”とは、恋の予告編である。

 本編が始まる勇気を、どうか失わないでほしい。」

コメント:

・「#先生、完全に監督」

・「#誤解の本編スタート」

───────────────────────


「……先生、またポエム投稿してる」

「名言メーカーですね」

「お前、褒めすぎだろ」

「だって、今日は本当に“本編”が始まった気がします」


 ひよりが笑う。

 その笑顔は、誤解じゃなくて、

 ちゃんと“好き”の形をしていた。

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